研究課題/領域番号 |
21K10891
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岩田 幸子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (40465711)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 新生児 / 産後うつ / 精神疾患合併妊娠 / 母児関係 / 育児不安 / 認知機能 / 乳児概日リズム / 認知発達 |
研究開始時の研究の概要 |
早産児の救命率が高くなり,同時に遠隔期の高次脳機能障害発症リスクの高さが認識されるようになった.一方,正期産児においても,特定妊婦や産後うつと関連した児の発達障害リスクが知られており,児の環境因子を科学的に最適化する必要が指摘されている.申請者はこれまで,新生児の概日リズム確立遅延の関連因子や,新生児の睡眠が母親の睡眠・抑うつに影響する事象を解明してきた.本研究では,母児の睡眠覚醒リズムの同期過程を中心に,母児相互作用を多面的に観察し,環境・睡眠・母児の関連性確立と遠隔期の認知機能が密接に関係していることを証明することで,将来の前向き介入研究につなげる.
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研究実績の概要 |
乳幼児の認知機能の発達は,早産やNICU入院に代表される新生児側の因子,母体精神疾・産後うつ・育児不安などの母体側の因子,そして,母児の相互作用に強い影響を受けることが知られている.本研究は,新生児の睡眠覚醒リズムの確立過程を,睡眠同期を中心にした母児間の相互作用を通じて多面的に観察し,両者の関係性が児の遠隔期の認知機能に影響を及ぼす影響を明らかにすることを目的としている. 研究初年度は,研究計画の確定,倫理委員会の承認,症例リクルートメントの開始を目標にしていたが,新型コロナウイルス感染症のアウトブレイクによる研究施設面会制限により,症例リクルートメント開始に至らなかった.その間,倫理審査及・プロトコル改定および確定・アクチグラフをはじめとする必要モニタリング機材の整備・研究協力者のトレーニングを進め,保護者の面会制限解除と共に研究が進められるように準備を整えた.幸いにも,2022年3月には,大半の臨床研究の再開が可能となり,研究2年度である2022年4月より症例リクルートメント開始予定としている. 関連研究として,過去に実施した1か月健診を受診する母子約1300人の質問紙評価のデータベースから,児の夜間覚醒に対する母親の対処行動が母児の睡眠に与える影響についての解析を進め,Scientific Reports誌に投稿・掲載した(Kuroda et al. 2021 Sci Rep.).また,本研究の前提となるアクチグラフによる睡眠評価の妥当性を,睡眠ポリグラフを用いて評価した研究の成果を,Journal of Sleep Research誌に掲載した(Unno et al. 2022 J Sleep Res.).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は,度重なる新型コロナウイルス感染症のアウトブレイクによって,研究施設である名古屋市立大学病院全体で面会が禁止となり,特例措置として母児面会が継続されたNICUにおいても,治療に関わらない臨床研究を目的とした患児家族への接触が事実上不可能となった.このため,実際の症例リクルートメント開始に至らず,研究計画書の倫理委員会による審査・承認,睡眠モニタリング機器の購入と研究協力者へのトレーニングを綿密に行った.その結果,家族の面会制限が緩和され次第,症例リクルートメントが可能な状態となっている.
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今後の研究の推進方策 |
前述のように,新型コロナウイルス感染症のアウトブレイクのため,当初の計画に比して若干の遅れが生じているが,NICU入院児の保護者面会制限が緩和された2022年3月以降は,症例リクルートメントのための妊婦へのアプローチが可能となり,研究期間2年目に当たる2022年度には,予定していた症例のリクルートメントが開始される見通しである.研究計画書作成時点と比して,当院産婦人科における出産数が15%程度増加しているため,特定妊婦を中心とした本研究のコホート収集にも,追い風となり,研究期間3年目までに予定症例のエントリーを完了できる見通しである.予後情報の収集に関しても,フォローアップ外来における発達評価体制は既に構築されているため,エントリーした児の成長を待って順次アウトカムを評価することができる.
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