研究課題/領域番号 |
21K10911
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
森 慶子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (40837225)
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研究分担者 |
森 健治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (20274201)
高橋 久美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (40771085)
橋本 浩子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (80403682)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 絵本の読み聞かせ / ストレス軽減 / 脳血流動態 / NIRS / 心拍変動係数 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで、成人を対象とした研究において絵本の読み聞かせ聴取時にリラックスする効果があることが明らかになっている。本研究は、幼児から小学生における絵本の読み聞かせ聴取中の脳反応を、光トポグラフィー(near-infrared spectroscopy :以下NIRSとする)等の脳機能イメージング法にて計測し、その脳血流動態を明らかにすると同時に、心拍変動係数解析装置にて、交感神経と副交感神経の活動状態をみることで、ストレス軽減の有無を確認する。 小児のストレス軽減の効果が明らかになれば、入院患者や不登校を主訴とする外来患者に絵本の読み聞かせを継続的に行うことで、ストレスの軽減の可能性も検討する。
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研究実績の概要 |
目的:子どもに対して、絵本の読み聞かせを行い、絵本の読み聞かせ聴取中の脳反応をNIRS等の脳機能イメージング法にて計測し、絵本の読み聞かせを行うことでストレスの軽減の効果があることを、明らかにするものである。脳機能計測と同時に、心拍変動係数計測にてストレス評価を行うことは、ストレス軽減の検証をより確かなものにすることである。さらに、心理的評価法としてアンケートも行い、ストレスやリラックスの指標の検討も行うことで、入院患者・不登校を主訴とする外来患者等、種々のストレスを感じていると推測される患児に対し、小児の看護において絵本の読み聞かせの活用の一方法を提案することも目的としている。 結果:乳児、幼児、小学生、中学生 (4か月~14歳)の地域の定型発達者から参加を募り、絵本の読み聞かせ聴取時のNIRSによる脳機能測定を行う(森慶子/絵本の読み聞かせ、森健治/計測・解析)、同時に心拍変動係数解析装置にて交感神経―副交感神経の活動状態を同定するとともに、心理評価シートも記入しストレスの度合いやリラックスの度合いなどの指標、前頭前野のoxy-Hb濃度、LF/HF値等との関連を検討し、生理的指標によるストレス軽減効果を明らかにする予定であったが、まだなお新型コロナウイルス感染拡大の影響が続いており、徳島大学において、外部協力者及び、外来患者・入院患児に対して絵本の読み聞かせ聴取時の脳機能計測を行うことができなかった。本年度は、学会等で情報の収集を行うとともに、絵本の読み聞かせを中学生に行い、感想文を分析する方法で、絵本の読み聞かせの子どもにもたらす効果の検証を行った。その結果、絵本の読み聞かせを聴取することで、子どもの精神的安定がもたらされたことが分かった。今後NIRS・心拍変動係数解析装置等を用いて絵本の読み聞かせ聴取時の小児のストレス軽減の効果を明らかにしていく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、徳島大学において、学外者の入構が禁止されたため、学内における外部協力者の絵本の読み聞かせ聴取時の脳機能計測が行えなかった。また、新型コロナウイルス感染予防の観点から、病院への出入りが制限されており、入院患者・外来患者への絵本の読み聞かせを実施することができなかった。そのため、脳機能計測まで至らなかった。 現在は、絵本の読み聞かせの効果について、これまでの計測結果の分析を行うとともに、文献や講演会による最新の知見等の情報収集に努めている。 また、中学校において、中学一年生に対し絵本の読み聞かせを継続的に一年間行い、その感想を分析するという手法で、絵本の読み聞かせ聴取の心理的効果を検証した。その結果、絵本の読み聞かせを、聴取したときに、心理的に落ち着く効果があることが明らかになった。 また、これまで絵本の読み聞かせ聴取時の脳機能計測している例において心理的アンケートと脳機能測定の関係を検証した結果、絵本の読み聞かせ聴取時には、前頭前野におけるoxy-Hb濃度変化量と心理的な安定を示す尺度には負の相関があることが明らかになった。まだ症例が少ないので、さらに症例を増やして、検証を続けていく計画である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染症の分類が5類となることを受け、以下のように研究を行う予定である。乳児、幼児、小学生、中学生 (4か月~14歳)の地域の定型発達者から研究協力者を募り、インフォームドコンセントを行う。また、倫理審査委員会に申請し、病院の許可がおりれば、入院患者及び不登校や心身症のため外来通院中の患者(4か月~14歳)から参加者を募り、研究の趣旨を説明し、主治医・本人・家族の許可を得る。絵本の読み聞かせ聴取時のNIRSによる脳機能測定を行う。測定には、光トポグラフィーを使用。乳児、幼児、小学生、中学生(4か月~14歳)の定型発達者に絵本の読み聞かせ聴取時脳反応を計測する(40名予定)。関心領域は、DMNの構成部位である前頭前野である。同時に心拍変動係数解析装置にて交感神経―副交感神経の活動状態を同定するとともに、心理評価シートも記入しストレスの度合いやリラックスの度合いなどの指標、前頭前野のoxy-Hb濃度、LF/HF値等との関連を検討し、生理的指標によるストレス軽減効果を明らかにする。賛同を得られた患者に継続的に絵本の読み聞かせを行う。一回約10~15分間程度(絵本2~3冊)好みの絵本を選んでもらい、読み聞かせを行う。入院患者は毎週一回程度、患者の状況に合わせ行う。外来患者は、受診の頻度によるが毎回の受診の際に受診前後いずれか希望の時間に行う。さらに、入院患者、外来患者ともに好きな絵本を2冊程度選んで持って帰ってもらい、家庭もしくは病室で保護者、看護師、保育士等に任意の時間に読んでもらう。絵本の読み聞かせを聴取する前と、継続的に絵本の読み聞かせを聴取した後に、心理的尺度を用いたアンケートを実施する。乳児、幼児の場合は、養育者にアンケートやインタビューを行い、幼児の反応や生活の状態からストレスやリラックスの状態を聞き取る。
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