研究課題/領域番号 |
21K10950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
清水 清美 城西国際大学, 看護学部, 教授 (70323673)
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研究分担者 |
久慈 直昭 東京医科大学, 医学部, 客員教授 (80169987)
長岡 由紀子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80315762)
入澤 仁美 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30788477)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 精子提供 / 生殖補助医療 / 自己決定 / 生殖補助技術 / 提供精子 / 不妊カップル / 精子提供者 / 情報提供 |
研究開始時の研究の概要 |
昨今、わが国では精子提供者の不足により、様々な提供精子の授受(親族間の精子提供・海外の医療機関やドナーバンクを利用した精子提供・SNSを利用した精子提供)の実施が散見される。これらの一部には医療機関を介さず当事者同士での授受もある。本研究では、これらの技術・方法で家族づくりをした不妊カップル、関わった精子提供者、生まれた人の短期・中長期的身体的・心理的・社会的影響について明らかにする。さらに調査で得られた情報をもとに、本技術を検討している夫婦や女性、精子提供者が自身の健康や生まれてくる子の健康、人権(出自を知る権利)、福祉を考慮した自己決定ができるような情報提供教材を作成することを目的とする。
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研究実績の概要 |
SNSによる精子提供のメリット・デメリットについて、3名の精子提供者(以下ドナーへ)にインタビュー調査を実施した。彼らは、「精子提供は医療機関を通して行われるべきで、個人間精子提供は段階的に廃止し、医療機関を通した提供に切り換えるべき」と持論を持っていた。メリットについては、「同性愛者(レズビアン)や選択的シングルマザーにも子どもをもつ機会となる、待ち時間の短縮、ドナーと対面できる、費用が抑えられる」を述べた。また、デメリットについては、「相互の信頼関係(経歴詐称・音信不通)・提供方法(シリンジ法・タイミング法)・養育費請求権や相続権への合意等に課題があること、中には私的な欲望を目的(報酬、性行為、自分と遺伝子が繋がった子を増やすこと 等)で提供を行っているドナーがいること、反対に容姿や能力のある子を作りたいというレシピエントがいること、それよって被害に合う子どもが増える可能性があること」を指摘した。生まれた子に対しては、「レシピエントはどんな子が産まれても愛情をもって育てるべき。また、ドナーも産まれてきた子の遺伝上の親として恥ずかしくない生き方をすべきで、子の要求に応じて面談する義務がある」と述べた。上述より、SNSによる精子提供の授受には多くの課題がある。しかし、「生殖補助医療の在り方を考える議員連盟総会」の議論では、対象レシピエントは婚姻関係にある夫婦に限定される可能性が高く、SNSによる精子提供は対象外の人々により継続される可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
親族の介護があり研究期間を1年延長した。今後制度化される生殖医療法に注視しながらも、3年間に実施したインタビュー結果をもとに、ESHRE(生殖提供医療に関与する人のための情報提供に関する適正実施の推奨)を参考に、意思決定支援のツールをふまえた情報提供資料の内容(項目)について検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年は本研究の最終年となる。コロナ等で諸外国の調査が未実施であるため、オンライン等を含め実施する予定である。また、今後制度化される生殖医療法に注視しながらも、生殖提供医療に関与する人が自身を含め関与する人の人権・健康・安全について熟慮し、自己決定ができる情報提供資料を作成する。また、本テーマに関連する専門家(研修者・医療者)およびセルフヘルプグループから評価を受け修正・加筆を行い、完成度を高める。成果物は、不妊関連施設や不妊自助グループに配布する予定である。
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