研究課題/領域番号 |
21K10966
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
三重野 英子 大分大学, 医学部, 教授 (60209723)
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研究分担者 |
小野 光美 大分大学, 医学部, 准教授 (20364052)
森 万純 大分大学, 医学部, 助教 (60533099)
吉岩 あおい 大分大学, 医学部, 教授 (70363570)
阿部 世史美 大分大学, 医学部, 助教 (30962998)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 非がん疾患 / 後期高齢者 / 緩和ケア / 非がん |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、一般病院に入院する非がん後期高齢者に対する緩和ケアプログラムを開発することである。研究フィールドに非がん患者に特化した緩和ケアチームを有する一般病院を定め、アクションリサーチにより3段階の研究過程を通して、老衰をベースに心不全や認知症等の非がん疾患をもつ後期高齢者へのチームアプローチの方法論を確立する。第1段階では、カルテ調査と緩和ケアチームのフォーカスグループインタビューにより、緩和ケア対象者の条件を整理する。第2段階では、緩和ケアチームと病棟看護師を研究参加者とし、緩和ケアプログラムの実行可能性を検討する。第3段階は、事例研究を重ね、緩和ケアプログラムの検証と洗練化を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、非がん後期高齢者(75歳以上)を対象にした一般病院における緩和ケアプログラムを開発することである。 これまで、研究フィールドを非がん患者に特化した緩和ケアチームを有する一般病院Aとし、緩和ケアを必要とアセスメントした非がん後期高齢者の看護実践について事例研究を行った。その結果、コンフォートを視点としたアセスメントとケアは、対象の回復意欲や持てる力の発揮につながることが示唆された。次いで、新型コロナウイルス感染症急拡大の影響を受け、一般病院Aでの事例検討が困難であったため、訪問看護経験がある大学院生を研究協力者とし事例検討を行った結果、終末期にある非がん後期高齢者の緩和ケアプログラムにおいて家族への支援も重要な柱であり、家族が非がん後期高齢者のからだの状態や変化を受け入れ、これまでと変わらない関係を保ち続けられるよう支援することが必要であることを導いた。さらに本年度は、一般病院Aにおいて事例検討を再開し、心不全の急性増悪により入退院を繰り返す事例への看護実践を検討した。入退院を繰り返す非がん疾患の90歳以上の高齢者の場合、老衰が加わり病期を捉えにくく緩和ケアへの移行を見逃しやすいことや、本人の身体感覚や死期に対する認識を聴きとり、スピリチュアルな苦痛を緩和するケア、家族によるこれまでの介護を理解し本人の希望にともに寄り添う姿勢が重要であることが明らかになった。 続いて、これまでの事例検討によって導いた緩和ケアを必要とする非がん後期高齢者の条件とケアプログラムの要点を検証するために、一般病院Aにおいて、後ろ向きカルテ調査および緩和ケアチームメンバーとの事例検討を行う準備をすすめた。一般病院Aの院長、看護部長をはじめ緩和ケアチーム看護師等と研究計画書を検討し、研究代表者が所属する倫理委員会にて審査を受け承認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度から本年度前半にかけて、研究フィールドとなる一般病院Aにおいて、緩和ケアを必要とする非がん後期高齢者の条件を明らかにするために、後ろ向きカルテ調査により、過去入院した非がん後期高齢者の治療・ケアの経過と転帰の実態を洗い出す予定であった。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、調査の打ち合わせや実施が困難であったため、先に事例検討を重ね、緩和ケアを必要とする非がん後期高齢者の特性と緩和ケアプログラムの枠組みを検討することにした。非がん後期高齢者の看護実践事例について、看護のプロセスと結果を記述し検討することで、後ろ向きカルテ調査の枠組みが整理され、研究倫理審査を経ることができたため、次年度は調査による検証を行うことが可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、一般病院Aにおいて、後ろ向きカルテ調査および緩和ケアチームメンバーとの事例検討により、緩和ケアを必要とする非がん後期高齢者の条件を明らかにするとともに、緩和ケアプログラムの要点を提示する。令和元年4月1日~令和6年3月31日の過去5年間において、非がん疾患により死亡退院した後期高齢者のうち、慢性的な経過をたどる事例を選別し記述統計により対象の特徴を明らかにする。さらに、その内10事例を選別し、事例毎に、初回入院から死亡退院までの経過を時系列で整理し、入院毎の状態像と苦痛(身体的、精神的、社会的、スピリチュアル的)の構造・変化を解釈し、緩和ケアが必要と判断される時期やケア内容を検討する。これらの研究過程において、一般病院Aの院長をはじめ緩和ケアチーム員を共同研究者とし、協働して研究をすすめる体制をつくっている。
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