研究課題/領域番号 |
21K11019
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
田村 須賀子 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (50262514)
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研究分担者 |
八塚 美樹 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00293291)
安田 貴恵子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (20220147)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 生活保護担当課保健師 / 生活保護受給等の経済的生活困窮者・家族 / 糖尿病等生活習慣病予防健康自己管理 / 家庭訪問等個別援助 / 保健師の意図 / 保健師の行為 / 生活困窮者・家族 / 健康管理支援 / セルフケア能力獲得 / 家庭訪問等の支援 |
研究開始時の研究の概要 |
生活保護受給等の経済的生活困窮者・家族への健康管理支援のために、市町村の生活保護担当課に配置された保健師(以下、生活保護担当課保健師)による支援活動の特徴を明確にし、食育推進と生活習慣病予防等のセルフケア能力獲得に向けた支援活動方法を検討する。特に幼少・学童期からの糖尿病等生活習慣病予防自己管理に向けて、学校給食と子ども食堂実施者との協働について提言する。 食育推進先進モデル地域における生活保護担当課保健師の関与の実態を把握し、家庭訪問等の支援により捉えた生活困窮者・家族個々の特徴的な生活実態から、食育推進と生活習慣病予防に向けた取り組み課題を明らかにし、他市町村への波及・発展可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
生活保護受給者は「健康上の課題を多く抱えるにもかかわらず、健康に向けた諸活動が低調な状況」にあり、医療扶助費の増大とともに不健康な食生活や生活習慣の問題が指摘されている。生活保護受給等の経済的生活困窮者・家族への健康管理支援のために、市町村の生活保護担当課に配置された保健師(以下、生活保護担当課保健師)による支援活動の特徴を明確にし、食育推進と生活習慣病予防等のセルフケア能力獲得に向けた支援活動方法を検討する。特に幼少・学童期からの糖尿病等生活習慣病予防自己管理に向けて、学校給食と子ども食堂実施者との協働について提言する。 生活保護担当課保健師による食育推進・糖尿病等生活習慣病予防健康自己管理支援の方法とアウトリーチ機能について、熟練保健師(原則5年以上の実務経験)の実践事例を調査する。 データ収集は、生活保護担当課保健師に個別支援再現記録を作成してもらい、研究者がその記述内容を理解するためインタビューで内容確認する。ここでの記述表現は、保健師が内面で考えたことが、事実に忠実に伝わるよう、保健師の行為と意図の内容に分けて詳細な分析を行う。記述データの記述と分析の適切さは、研究組織内の家庭訪問実践・教育経験のある看護研究者2名に検討してもらう。 幼少・学童期からの糖尿病等生活習慣病予防自己管理に関して、子ども食堂実施者と健康生活指導に関わる小中学校教諭・養護教諭から食育推進・生活習慣改善への取り組み実態を明らかにし、幼少・学童期からの糖尿病等生活習慣病予防自己管理に向けて、学校給食と子ども食堂実施者との協働について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
熟練保健師(原則5年以上の実務経験)による家庭訪問が主軸の個別支援過程を明らかにする。生活習慣病予防等のセルフケア能力獲得に向けた支援活動において、生活保護受給等の経済的生活困窮者・家族に対して、生活保護担当課保健師が重視する支援の内容について、質問紙及び面接にて調査した。 これまでの研究で生活保護担当課保健師14名の語りの内容を23項目にまとめた。生活保護担当課保健師の有志で構成するメーリングリスト登録者22名に質問紙を配布し、23項目の支援を重視するか否かの4件法で回答し、協力が得られた者に60分程度の面接を実施した。 生活保護担当課保健師5名が質問紙回答し、うち2名に面接した。23項目のうち「信頼関係を形成・維持し継続的に関わり支援ができるようにする」等13項目が「大いに重視する」「やや重視する」の回答だった。「生活歴、治療歴について生き方も含めて把握する」では、生活背景、生活保護申請に至った経緯を申請書と調書から把握した上で、本人・家族に関わっていた。「全く重視しない」の回答項目は「保健師の役割を理解し受け入れてもらえるようにする」「関係性ができないうちは、踏み込んで勧めることは避ける」で、前者は「保健師」よりも「ケースワーカー」として関わる。後者は緊急性の高い場面に関わることが多いので、「踏み込まなければならないときがある」と確認した。生活保護担当課保健師が重視する支援は、自立・安定した生活が続けられるよう、生活保護申請に至った経緯・背景を把握し、関係性維持しつつも緊急介入のタイミングを見た関わりであると考えられた。 生活困窮者・家族個々の特徴的な生活実態から、食育推進と生活習慣病予防に向けた取り組み課題を明らかにし、他市町村への波及・発展可能性を検討する予定のところ、コロナ感染拡大のため調査開始が1年遅れとなり、未使用額も発生し研究期間を1年延長した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 生活保護受給等の生活困窮者・家族への健康管理支援のために、生活保護担当課保健師による、家庭訪問も含む個別支援の特質を検討する。 (2) 食育推進と生活習慣病予防等のセルフケア能力獲得に向けた支援方法を検討し、経済的困窮であっても学童期から獲得可能な生活習慣とセルフケア能力獲得支援するための、子ども食堂実施者と健康生活指導に関わる小中学校教諭・養護教諭から食育推進・生活習慣改善への取り組み実態と意識に関する質問紙調査を郵送法により実施する。 (3) 経済的困窮であっても学童期から獲得可能な生活習慣とセルフケア能力獲得に向けた支援方法の検討と案を作成する。全国自治体の生活保護担当課保健師、子ども食堂実施者と小中学校で健康生活指導に関わる教諭・養護教諭への成果報告と意見収集する。 (4) 学校保健及び地域自主活動グループとの協働活動を検討する。
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