研究課題/領域番号 |
21K11026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
高瀬 佳苗 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (20455009)
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研究分担者 |
稲毛 映子 医療創生大学, 看護学部, 准教授 (00315673)
中野 裕紀 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10736721)
丸谷 美紀 国立保健医療科学院, その他部局等, 特任研究官 (50442075)
川島 理恵 福島県立医科大学, 看護学部, 講師 (90336470)
蓬田 美保 福島県立医科大学, 看護学部, 助手 (90895450)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 高齢者 / 災害 / 健康危機管理能力 / 尺度開発 / 健康危機管理 / 能力 / 健康管理 / 危機管理 / 測定尺度 / 災害時健康危機管理 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究では、帰納的および演繹的な研究を行い、災害時に自分の健康を守るうえでの健康危機管理能力を測定する尺度を開発する。研究期間は、4年間として、第一段階では、国内外の災害時の健康危機管理に関する先行研究の文献検討を行い、災害時の健康危機管理の概念を分析する。第二段階では、第一段階の知見をもとに危機管理能力を測定する質問項目を作成する。第三段階では、第二段階の質問紙を精錬させ、65歳以上の高齢者、心身の障害のある人々、一般住民を対象に調査を行い、質問紙が災害時の健康危機管理能力を測定することが可能か否かを検討する。本研究は、この三段階を経て災害時の健康危機管理能力を測定する尺度の開発を行う。
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研究実績の概要 |
この研究の目的は, 65歳以上の高齢者のために用いる災害時健康危機管理能力測定尺度を開発することである。2022年度から2024年度までの4年間にかけて, 災害時健康危機管理能力に関する概念分析, 能力測定尺度の項目抽出, 尺度項目の精錬, 尺度の有用性の検討を行う計画である。 本年度は, 健康危機管理は, 厚生労働省が定義している用語で, なんらかの原因により生じる国民の生命, 安全を脅かす事態に対して行われる厚生労働省が所管する業務であることを踏まえ, 学術研究で用いる災害時健康危機管理能力に対する用語の再定義をし, 尺度項目の原案を作成する質問紙調査を行った。 その結果, おおむね65歳以上の高齢者650人を対象として, 451人(回収率75.4%)から回答を得た。本研究では, 災害時健康危機管理能力として, 災害時の健康行動, 健康を脅かす危機を乗り越えるための力, 健康を脅かす危機を心理的にかわす力の3つの概念で構成した。統計的検討を行った結果, 因子分析では, 健康を脅かす危機を心理的にかわす力に関する質問項目のほとんどが, 複数の因子対して因子負荷量0.4以上分散してみられ, 概念構成としては一つにまとまらないことがわかった。これにより, 高齢者の災害時健康危機管理能力は, 災害時の健康行動, 健康を脅かす危機を乗り越えるための力から構成されるとし, この2つの質問群を尺度原案とすることに決定した。 今後は, この2つの質問群の統計的検討を深め, 尺度項目を精鋭し, 尺度の有用性を検討する質問紙調査を行う。本研究により, 日本全国で頻発する自然災害時に, 高齢者の健康障害回避に役立てられる尺度が開発されると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
この研究は, 2022年度から2024年度までの4年間にかけて, 高齢者の災害時健康危機管理能力測定尺度の開発を行う予定である。 2022年度は, 災害時健康危機管理能力に関する概念分析の研究を行い,その成果を日本老年医学会東北大会(2023/10/28)に口頭発表し, おおむね順調に進んだ。2023年度は, 能力測定尺度の項目抽出と尺度項目の精錬に関する質問紙調査を実施する予定であったが, 能力測定尺度の項目抽出の質問紙調査のみ実施した。 その理由としては, コロナ感染症の影響を受けて, 本研究計画で予定していた質問紙調査の協力者の10分の1しか調査票を配布できなかったことがあげられる。本調査では, 研究協力自治体が実施する高齢者を対象とした交流サロン等の集合場所で調査票を配布する予定であった。しかし, 2023年5月にコロナ感染症が5類に分類されても, 一般高齢者は人が集まる交流サロンを避け, サロンへの参加者が極端に少なくなり, その状況が9月まで継続した。これにより, 能力測定尺度の項目抽出に関する質問紙調査は実施したが, その統計的分析を行い, 尺度項目精錬に関する質問紙調査票の原案を作成することができなかった。 これに加えて, 所属の倫理審査では, 「研究協力自治体が高齢者福祉事業として実施する交流サロンとは何か」「サロンの参加者はどのように集められるか」といった, 研究倫理には直接関係しない, 義務教育の社会科・道徳の授業で学ぶ内容の説明や審査書類の書き直しが複数回にわたり求められ, 能力測定尺度の項目抽出に関する質問紙調査の開始が8か月以上遅れて, 上記の交流サロンでの質問票の配布が不可能であったことがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の遂行は, 研究計画よりも大幅に遅れているが, 本年度は現在の所属において倫理審査が円滑に受けられるように, 記述に十分な注意を払いたい。これまでよりも, 一層, 共同研究者と吟味を重ね, 誰にでもわかる記述を行うように努める。研究者同士のピュアレビューを活用した倫理審査申請書類の客観的な長所短所の発見, 短所の記述修正に取り組みたいと考えている。 また, 研究協力自治体からは, 災害支援を通じたこれまでの関係性を大事にしながら丁寧に説明し, 質問紙調査研究の協力を得たいと考えている。しかしながら, 現時点でもコロナ感染症の流行とその影響がどの程度あるか, 予測が難しいことから, 研究期間がなお与えられれば, 本来の研究課題の研究計画のとおり, 尺度の有用性の検討まで完遂することができると考えている。
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