研究課題/領域番号 |
21K11051
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
益満 智美 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (10788136)
|
研究分担者 |
宮田 昌明 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00347113)
丹羽 さよ子 鹿児島国際大学, その他部局等, パート職員 (00197550)
牧迫 飛雄馬 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70510303)
田平 隆行 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50337432)
大石 充 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50335345)
窪薗 琢郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00598013)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 睡眠時間 / CAVI / 睡眠の質 / 高齢者 / 動脈硬化 / 睡眠 / 地域在住高齢者 / 入浴習慣 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,健康寿命の延伸を目指して,動脈硬化における睡眠と入浴習慣との関連を検討し,睡眠や入浴習慣への介入により動脈硬化やADLおよび認知機能が改善するかを検討することである。 研究①(横断研究):地域在住高齢者において動脈硬化と睡眠や入浴習慣との関連を検討し,動脈硬化に陥りにくい睡眠や入浴習慣を明らかにする。 研究②(前向き研究):地域在住高齢者において睡眠や入浴習慣への生活改善のための広報誌や健康教室を行い,1年前後で睡眠や入浴習慣についての質問紙調査,CAVI測定,認知機能検査,ADL評価,自律神経活動量測定,ストレスチェックを測定して生活改善介入の効果を検討する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、健康寿命の延伸を目指して、動脈硬化における睡眠と入浴習慣との関連を検討し、睡眠や入浴習慣への介入により動脈硬化やADLおよび認知機能が改善するかを検討することである。本研究では、超高齢社会が特に進んでいる鹿児島県垂水市で、以下の横断研究と介入研究を行う。 研究①(横断研究)睡眠時間や入浴習慣と動脈硬化の指標である心臓足首血管指数(以下、CAVI)との検討:垂水市で行われている「たるみず元気プロジェクト」の2018年から2019年の健康チェックに参加した地域在住高齢者(65歳以上)997名を対象に、主観的な睡眠時間と睡眠の質のデータを用いてCAVIとの関連を解析した。これらの結果を論文にまとめ、Journal of Atherosclerosis Thrombosisに掲載された(Association of Sleep Duration and Cardio-Ankle Vascular Index in Community-Dwelling Older Adults. 2022; 29: 1864-1871)。 垂水研究2021年の健康チェックに参加し、CAVIを測定した524名を対象に入浴習慣との関連を検討した。自宅や温泉で毎日入浴する群(472名)は、毎日入浴しない群(52名)と比較してCAVI値は有意に低値を示した(p=0.002)。週1回以上温泉に行く群(124名)と週1回以上温泉に行かない群(400名)のCAVI値に有意な関連は認めなかった。 研究②地域在住高齢者において睡眠や入浴習慣への生活習慣への生活改善の介入:報告会で睡眠調査の結果をフィードバックし、良い睡眠をとるために日常生活で取り入れやすい取り組みを紹介した。また、相談できる窓口を設けて対応した。今後は、縦断研究で睡眠や入浴習慣についての生活改善介入の効果を検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度、垂水市で行われた「たるみず元気プロジェクト」の健康チェックの参加者を対象に、基礎情報、ADL、入浴習慣に関する情報を聴収し、血管の柔軟性を表すCAVI、認知機能(MMSE)、身体機能、フレイルの有無などを測定した。睡眠に関する調査は、今年度、睡眠測定機器を10台追加購入(計35台)し、希望した40歳以上の187名の方に機器を用いて1週間の睡眠状況についての調査と主観的睡眠(ピッツバーグ質問票)の調査を行った。客観的睡眠のデータは、調査を途中で中断した1名を省いた186名のデータ分析を終了し、参加者全員に結果報告と良い睡眠をとるための日常生活の過ごし方についての資料を作成して配布した。また、報告会では、相談できる窓口を設け、対応した。 主観的な睡眠時間や睡眠の質とCAVIとの関連について、2022年7月に開催された第54回日本動脈硬化学会で発表し、Journal of Atherosclerosis Thrombosisに掲載された(Association of Sleep Duration and Cardio-Ankle Vascular Index in Community-Dwelling Older Adults. 2022; 29: 1864-1871)。 垂水研究2021年の健康チェックに参加し、CAVIを測定した524名を対象に入浴習慣との関連を検討した。自宅や温泉で毎日入浴する群(472名)は、毎日入浴しない群(52名)と比較してCAVI値は有意に低値を示した(p=0.002)。 年度初めの計画では7月から12月にかけて実施し、11回で予定されたすべての方の健康チェックを終える予定であったが、コロナ感染拡大の影響を受けて2回調査を延期し、日程の延期・人数の変更をして、3月に1回の追加調査を開催して終了した。
|
今後の研究の推進方策 |
垂水研究2021年度の客観的睡眠の時間と質とCAVIとの関連を分析したところ、有意な関連は認めなかった。垂水研究2022年度のデータを追加し、横断的な解析を行い、関連について検討していく。 2023年度は、2021~2022年度に調査した客観的睡眠のデータを分析し、客観的睡眠の時間と質とCAVIとの関連、入浴習慣とCAVIとの関連、認知機能とCAVIとの関連を明らかにする。第56回日本動脈硬化学会(2月頃演題締切)で主観的睡眠時間・睡眠の質と動脈硬化との関連を演題登録し、発表予定である。動脈硬化と入浴習慣との関連については、第89回日本温泉気候物理医学会(2月頃演題締切)で、演題募集に向けて解析を進めていく。客観的な睡眠時間・質とCAVIとの関連を報告したものはないため、きわめて貴重な報告となると考えている。これらの結果は英論文での投稿を検討している。 2023年度の調査は7月から12月にかけて、2022年度と同様に睡眠測定機器を用いてデータを収集し、2021~2022年度のデータも含めて横断的・縦断的研究を検討している。また、参加者の状況をみて機器の追加購入を検討し、多くの方に参加していただけるように準備していくことを検討している。 健康チェックの開催は、コロナ感染拡大の状況から日程の延期・人数の変更を行ったが、市の協力により、安全に参加できるよう多くの対策を講じて実施された。2023年以降も市民の安全を図りながら開催するとこに努めていく。
|