研究課題/領域番号 |
21K11068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
西上 あゆみ 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (30285324)
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研究分担者 |
渡邊 智恵 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (00285355)
松本 晃子 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (50813622)
宮岡 裕香 藍野大学, 医療保健学部, 助手 (60882909)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 病院 / 看護師 / 防災リテラシー / 災害看護 / 備え |
研究開始時の研究の概要 |
①2021年度:防災リテラシーに関する看護師へのインタビュー調査:近年の災害発生時に被災地で有用な活動した看護師に、そのときにどのような能力を必要としたか、なぜその力を発揮することができたかについて質的調査で明らかにする。 ②2022年度:災害看護経験者による防災リテラシーの実践と妥当性の調査:災害看護経験者に対して、2021年度の研究で明らかになった活動に対する実践経験について量的調査で明らかにする。 ③2023年度:研究結果を統合した総合分析:前年度までの調査結果を基に病院看護師の防災リテラシーについて質的調査・量的調査の両面から検討し、防災リテラシーの実態とその向上に関して総合的に分析する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、病院における看護師の防災リテラシーを明確にし、その実態を確認した上で、防災リテラシーを高める方策を見つけることとして、調査に取り組んできた。令和3年度に計画していた防災リテラシーに関する看護師へのインタビュー調査結果を令和6年2月に開催された日本災害医学会において口演で発表を行った。この内容を用いて災害看護経験者による防災リテラシーの実践と妥当性の調査を令和5年3月より質問紙による郵送調査を行った。実際には、近年発表された先行研究より病院での災害対策の実施や、被災病院で実践活動を報告した看護師に郵送での質問紙調査を依頼、前年度にまとめた防災リテラシー82項目の妥当性(2件法)と実施状況(4件法)を調査した。データの入力は4月からとなり、分析は単純集計後に、実施状況を対象者の背景とクロス集計した。455名に配布、回収196名(回収率43%)で、回答者は災害拠点病院77%、被災経験者38%、主任以上の役職者が62%であった。82項目に関して、81項目は70%以上で妥当と判断されたが、「地域の病院に看護師を派遣する」は65%であった。これは実施状況も44%であった。職位と実施状況のクロス集計では多くの項目に有意差が出ており、病院看護師の防災リテラシーは職位で内容が異なる可能性があった。また、項目については修正や追加に関する意見も記載され、精練化にあたってはさらに検討が必要であることが示唆された。これについても令和6年2月に日本災害医学会において発表した。令和5年度の調査として、国内の3つの看護系学会で交流集会を開き、これに参加した看護師に対してこれまでの研究成果をもとに作成した防災リテラシー項目を説明したうえで、必要度を質問紙で調査した。このことにより、これまでの結果を学会で報告するとともに、出席者・参加者からの意見を求めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度に実施された防災リテラシーに関する看護師へのインタビュー調査については、令和6年2月に開催された日本災害医学会において発表を行った。さらに令和4年度の調査についても同学会においてその成果の発表を行った。令和5年度の調査として、交流集会等を開いて調査を進められるよう、所属施設における倫理部会への書類の準備を行い、6月2日承認を受けた。交流集会については災害看護に関心の高い看護師が集まっていると考え、日本災害看護学会、病院の看護師を対象にしていることや近年病院のBCPを進める上で看護管理分野での興味も高いと考え、日本看護管理学会、また、災害看護に関する研究発表も可能で、看護師が多く参加することから日本看護科学学会の3学会で交流集会を企画した。各交流集会で看護師の防災リテラシーが作成された経緯やその内容を説明する時間を持った後、質問紙を用いて、項目の必要性について調査を行った。第27回日本看護管理学会学術集会(2023年8月25日開催)のインフォーメーションエクスチェンジでは53名に配布、日本災害看護学会第25回年次大会(2023年9月3日開催)交流集会では61名に配布、日本看護科学学会第43回年次大会(2023年12月9日開催)交流集会では8名への配布となった。調査に関しては71名から返答があった(回収率64.3%)。データの入力を終え、参加者は50歳代が最も多く41.4%、病院看護師の回答が87.1%で災害拠点病院勤務の看護師が68.9%と多かった。現在はさらに分析を進めている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度に行われた調査が12月までかかってしまったこともあり、データの入力や分析に時間がかかり、年度内に終わらせることができなかった。交流集会を割り当てられた会場の広さ、プログラムの関係(災害看護に関する他のプログラムが同時開催された)等で想定するだけでの回答数は得られなかったが、交流集会に参加した出席者・参加者は、災害看護に関する興味や関心も高く、意見を得ることができた。先行研究では看護師の防災リテラシーの尺度点数は計られておらず、今後、他職種や他の看護師との比較が必要であると考えている。また、これまでの成果である82項目の看護師の防災リテラシーについてはその必要性を調査しており、令和5年の郵送調査による項目の妥当性の結果とあわせて検討をすすめる必要である。これらの成果については令和6年11月に開催される世界災害看護学会WSDNでの発表を含め、研究者間での分析、有識者からの助言をいただく機会を持つようにすすめる予定である。これらをとおして研究全体の目的であった病院看護師の防災リテラシーの実態とその向上を進める方策を検討したい。
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