研究課題/領域番号 |
21K11077
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大宮 朋子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90589607)
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研究分担者 |
戸ヶ里 泰典 放送大学, 教養学部, 教授 (20509525)
出口 奈緒子 静岡大学, 教育学部, 准教授 (20824204)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 思春期 / 生きる力 Sense of Coherence / コロナ前後 / 親子 / 学校 / COVID-19パンデミック / 母親 / 中学生 / 縦断研究 / 学校所属感 / 家庭 / COVID-19パンデミック / コロナ前後比較 |
研究開始時の研究の概要 |
中学生とその保護者を対象として、「生きる力」としてのストレス対処力Sense of Coherence(以下SOC)を指標として、COVID-19によるパンデミック前から継続している縦断研究により、パンデミック前後のSOCの変化をとらえ、またパンデミックが中学生に及ぼした影響について明らかにし、中学生SOC向上に向けての支援策を探求する。
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研究実績の概要 |
2023年度までの親子(中学生)のデータを分析している中で、思春期生徒の親世代である中年期女性のパンデミック後の脆弱性が先行研究で指摘されていることを鑑み、今年度は母親のデータに着目した。収集したデータから、合計138組の母親、ならびに子ども(中学生)のSOCスコアを、2019年(パンデミック前、T1)と2020年(パンデミック中、T2)の2つの時点で比較した。T1-T2間で、母親のSOC合計スコアに有意差は無かった。しかし、T1よりT2のスコアが下がった母親は44%いた。この群においては特に、SOCの下位尺度である「把握可能感」「処理可能感」の2つが低下していた。SOCが維持・上昇した母親グループ(G1)と、低下したグループ(G2)との間には、精神健康、主観的身体健康、ソーシャルキャピタル、就労状況において有意差は無く、子どもの関連変数も有意差は認められなかった。T2のSOCを従属変数としたG1とG2の重回帰分析の結果、G2については、T1時点において、健康状態が良好であること、ソーシャルキャピタルが豊かであること、仕事を持っていたことがSOCと正の関連を示した。地域で生活する中年世代の女性において、気軽にコミュニケーションを取ることができる友人が身近にいるなど、社会的相互作用を維持することが重要であること、また経済的な見通しが立ちつらい時代において、仕事を持っていることが極めて重要であることが示唆された。 また、協力校とのミーティングから、診断されていないが強く Autism Spectrum Disorder (ASD)の傾向を持つ生徒の不安定さが指摘され、横断データとして生徒のSOCとASD傾向について分析を行った。分析結果からは、ASD特性を強く持つ生徒の内面的苦悩は強く、支援の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2校分についての親子の経年データ収集が終わり、現在分析を進めている。協力してくれた2校において、年2回のデータ収集はできたが、各校の事情によってそれぞれの調査時期や回収率に大きな差があること、また、調査した学年の状況も異なっていることから、どのようにこの2つの集団を取り扱い、また分析を進めて行くのかについて模索し、トライアルを繰り返している状況である。また、親子データも取っていることから、データがかなり複雑になっており、それも分析の進行を遅らせている原因の一つであると考えている。今後、横断データについては多母集団同時分析、縦断データについては共分散構造分析を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
縦断データ、横断データ共に取り終えたので、対象校ごとに学年別、男女別で経時的変化を追い、上昇・下降の関連要因を中心に縦断データの分析を行う予定である。これまでの分析結果から、親と子のデータはリンクしないと予想されるが、親子の関連についても再度検証していく。親(母親)については、パンデミックの影響を受けやすい世代、性別であることが先行研究から言われており、子どもとは異なる状況にあると考えられる。親子の関連とその影響の検証と同時に、親世代である中年期女性についても経時的に分析し、結果を検討していく必要がある。以上の分析結果については、国際学会の発表、国際学術雑誌への投稿を予定している。
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