研究課題
基盤研究(C)
我が国の糖尿病患者数は、患者調査の概況によると過去最多の 328万9000人と報告された。厚生労働省は 2008 年より都道府県に医療費適正化計画の策定を義務付け、2018年度から第 3 期医療費適正化計画の取り組みの 1 つとして糖尿病重症化予防を実施している。糖尿病と診断されている群だけでなく、将来、糖尿病の発症リスクの高い糖尿病前段階群も対象とし、糖尿病重症化に関するリスク因子を抽出する。糖尿病重症化を低減する新たな視点となるか検討する。
本年の目的は、研究対象者211名のベースラインの臨床的特徴と血液検査データを検討することとし、解析を実施した。また質的には、自由記載欄の回答をカテゴリー化し、病気の困っていること、心配なことがどのようなことか調査することとした。糖尿病患者211名を対象に、CKD病期別の臨床的特徴と血液検査データを検討した。年齢を調整した2項ロジスティック回帰分析にて、CKD3期群は1・2期群と比較し、統計的有意に網膜症、中性脂肪異常値が多かった。自記式質問紙調査項目にて「自身の病気の困っていることと心配なことについて」の自由記載欄を設定した。79名を分析対象とし、質的にカテゴリー化を実施したところ、仕事、介護、人間関係等を含む日常生活、治療継続のための調整と葛藤、療養生活での精神的な負担、糖尿病の治療と合併症の症状への対処の難しさと不安があることが明らかとなった。糖尿病内科外来患者の看護として、生活面、精神面でのアセスメントと支援が重要であることが示唆された。糖尿病患者209名を対象に糖尿性腎症の病期別に臨床的特徴、血液検査データを検討した。年齢、性別を調整した2項ロジスティック回帰分析では、糖尿病性腎症2・3期群は1期群と比較し、網膜症、高血圧、HDLC異常値の割合が有意に多いことが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
糖尿病患者211名を対象にしたベースラインの解析を基に学会発表した。追跡した1年のデータを基に、解析を実施し、論文化する。
今後は追跡完了したデータの解析を実施、論文化をめざす。
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