研究課題/領域番号 |
21K11146
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
|
研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
山崎 智可 富山県立大学, 看護学部, 講師 (80601666)
|
研究分担者 |
堀 悦郎 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (90313600)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 前腕浴 / 脳活動 / 近赤外分光法 / 前頭葉機能 / 前頭葉活性化 / 高齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、近赤外分光法により、非侵襲的に脳活動を観察できるようになった。温湯ケアによる前頭葉の活性化が報告されている。前腕浴は同様の温湯ケアである手浴と比較し、湯に浸ける表面積が大きいため、より前頭葉を活性化させることができる。前頭葉は遂行機能、記憶、注意、表情の読み取りなどを司り、前頭葉機能の低下は、日常生活機能の低下や認知症リスクを高める可能性がある。前腕浴での血流増加による前頭葉の活性化は実証されているものの、記憶力や注意力の向上に直結する前頭葉機能との関連は明らかにされていない。 本研究では、前頭葉機能の「注意力」に着眼し、高齢者への前腕浴が前頭葉機能に与える影響について検証する。
|
研究実績の概要 |
看護ケアの一つとして、温湯を使用した部分浴が実施されている。部分浴の効果は、循環器系だけでなく、前頭葉の血流にも及ぶ事が知られている。看護現場で広く用いられている手浴と比較し、肘関節まで湯に浸す前腕浴は湯に浸す表面積が大きいため、より前頭葉の血流を増加させることができると考える。本研究の目的は、前頭葉機能のなかでも「注意力」に着目し、前頭葉の血流増加と注意力の向上との関連について検証することである。 昨年度は、前腕浴を実施しながら前頭葉機能検査を行う基本的な実験システムと暫定的な実験プロトコールを作成し予備実験を行った。昨年度から今年度にかけては、皮膚血流を除去し脳血流を抽出する解析方法により、前腕浴が前頭葉の血流を増加させることを明らかにした。また、今年度は、前頭葉の血流のみならず、前頭葉の機能を適正に評価をするための前腕浴の浸漬時間を明らかにすることに取り組んだ。そのために、一般的に部分浴で実施される浸漬時間より長い時間を設定し、被験者10名を対象に前腕浴を行った。また前頭葉の血流のほか、前頭葉機能の評価に影響を及ぼす眠気や疲労感を評価に含めた。 先行研究では前頭葉の血流は、浸漬時間と比例し、右肩上がりに増加すると報告されていた。しかし本研究結果では、ある時間までは前頭葉の血流は増加するが、その後は徐々に低下することが明らかとなった。また眠気に関しては、眠気が強まる時間が明らかとなった。加えて疲労は設定した浸漬時間において影響がないことが明らかとなった。これらにより、昨年度の実験プロトコールを洗練するデータ取得することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、計画に遅れてが生じている理由は、昨年度に構築した実験プロトコールの見直しを図ったからである。具体的には、前腕の浸漬時間を他の部分浴を参考に設定していたが、他の部分浴に比べて浸漬面積の大きな前腕浴は効果が生じる時間が異なる可能性がある。そのため、前腕の浸漬時間を前頭葉の血流動態を基に定めるため、前腕浴による前頭葉の血行動態を詳細に調べている。前腕浴によって生じる脳血行動態の時間的変化から、浸漬時間を再検討している。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度取得できた前腕浴の浸漬時間と脳血行動態の変化に関するデータから、実験プロトコール(浸漬時間)を再構築し、実験を進める予定である。
|