研究課題/領域番号 |
21K11167
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
遠藤 加菜 広島大学, 医系科学研究科(保), 助教 (60584696)
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研究期間 (年度) |
2022-02-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 主観的快・不快度 / 嗅覚刺激 / 認知機能 / 感情 / 顔面皮膚血流 / 局所脳ヘモグロビン動態 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの感情惹起パターンは一様でなく、身体感覚の感受性や嗜好性の個人差を考慮した感情評価法は十分確立されていない。本研究は、嗜好的個人差を考慮した身体感覚刺激による感情状態と認知機能との関連を前頭葉脳血流動態から解明することを目的とし、嗜好的個人差を考慮した身体感覚刺激に伴う感情反応を顔面皮膚血流反応と主観的感情度との双方から包括的評価することを計画している。顔面皮膚血流反応と主観的感情度から感情を定量的・定性的に評価できれば、個人差を考慮した感情調整により認知機能改善を図れることから、リハビリテーション臨床において意思疎通が困難な方の個性に合わせた非言語的コミュニケーション支援の実現に役立つ。
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研究実績の概要 |
嗅覚刺激により誘発された感情が認知パフォーマンスに及ぼす影響について、従来の研究ではにおいの快・不快度が予め定義されていることが多くあった。一方で、嗅覚刺激によって誘発される感情には個人差があり、嗅覚刺激による快・不快の情動変化と認知機能との関係は未だ十分理解されていない。 本研究は、嗅覚刺激により誘発される感情の個人差に着目し、感情調整によって認知機能が変化するメカニズムについて検討することを目的としている。 本年度は、「嗅覚刺激が快・不快度に与える影響と認知機能との関係」の実験を実施した。若年成人を対象に、5種類の異なる嗅覚刺激(バラ、カラメル、靴下、桃、糞便のにおい)と対照臭に伴う快・不快度の変化とストループ課題の成績を解析し、両者の相関性を検討した。快・不快度の評価には、ラベル付きVASスケールを用いて、(-5:非常に不快~5:非常に快の11段階)、主観的覚醒度(-5:非常に眠かった~5:非常に覚醒の11段階)、におい強度(0:無臭~5:強烈な匂いの6段階)を口頭での回答により聴取した。認知機能の評価には、前頭葉脳活動が関与すると考えられるストループ課題を用いた。所要時間は、検者の「スタート」合図で被験者がパソコンのキーを押したときから、課題終了画面が表示されるまでの時間とし、誤答数は回答の言い間違いや言い直しの回数とした。 嗅覚刺激に伴う不快感情の誘発時に、ストループ課題の所要時間は有意に増加した。快・不快度とストループ課題の所要時間の間には有意な負の相関がみられ、課題所要時間は個人にとっての不快度が増加するほど延長した。これらの結果から、個人の快・不快評価に基づき、一般的な不快臭ではなくても、同一のにおいに対して不快に感じる個人においてはストループ課題反応時間が低下することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、育休復帰初年度で子や自身の健康状態によって、想定通りに研究時間を確保できないことがあった。状況に応じて、テレワークや育児支援事業等も利用したが、計画通りにデータ整理等を進捗することができない時期があったことから、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度で得られた結果は、相関関係に基づいており因果関係を示すものではないため、不快感情による認知機能低下のメカニズムを検討するために、感情の客観評価指標としての顔面皮膚血流データの精査と脳機能計測等の実験を引き続き行う予定である。 嗅覚刺激において、不快感情は誘発されやすく参加者個人の快・不快評価から不快感情は調整しやすかったが、快評価は比較的得られにくい結果となった。そのため、快感情を誘発する嗅覚刺激について、これまでに得たデータを精査し、今後の嗅覚刺激の選択方法の改善と追加実験の必要性について検討する。
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