研究課題/領域番号 |
21K11178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
田辺 茂雄 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (50398632)
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研究分担者 |
小山 総市朗 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (90754705)
井伊 卓真 藤田医科大学, 保健衛生学部, 助教 (50815074)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 脊髄損傷 / ロボット / リハビリテーション / 歩行 |
研究開始時の研究の概要 |
歩行器を併用する,脊髄損傷者のための歩行再建ロボットWPALを用いた自立歩行には,残存する上肢および体幹の随意筋収縮を用いた,自身の重心移動と歩行器の前方移動が必要である.歩行器の前方移動は,歩行周期の決められた時期に行うため難易度が高く,その練習支援システムの開発が望まれている.本研究の目的は,ロボット使用時の歩行器操作の練習支援システムを考案し,その有用性を明らかにすることである.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,脊髄損傷による対麻痺者(両下肢麻痺者)の歩行再建を目的に開発された,装着型歩行支援ロボットWearable Power-Assist Locomotor(WPAL)を用いた歩行時における,歩行器操作の練習を支援するシステムの開発である. 一昨年度(2021年度)は,WPALを用いた歩行時における,歩行器を押し出す時期に歩行速度が与える影響について,予備的な検討を進めた.その結果,歩行器を押し出す時期に対する歩行速度の影響については,3名中2名では,最も遅い歩行速度条件と最も速い歩行速度条件を比較して,歩行器を押し出す時期に5-12%程度の変化を認め,歩行速度が速い方が押し出す時期が遅い傾向であった.残り1名では一様な傾向を認めなかった. 昨年度(2022年度)は,WPALを用いた歩行時における,歩行器を押し出す時期を聴覚提示もしくは視覚提示によって伝える練習支援システムについて,探索的な試作検討を進めた.具体的には,WPALの歩行周期と同期して,その特定の歩行周期でPCスピーカから音が鳴るように設定できるシステムである.加えて,予備的検討によって得られた適切な歩行器押し出し時期(音が鳴る時期)と実際の押し出し時期との差を記録するシステムも併せて構築した. 今年度(2023年度)は,試作構築したシステムを用いて,健常者を対象に実験を進め,Visual Analogue Scale(VAS)またはSystem Usability Scale(SUS)などで,その伝わりやすさや,臨床現場での使いやすさ等を評価し,効果的な練習支援システムについて検討を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,脊髄損傷による対麻痺者(両下肢麻痺者)の歩行再建を目的に開発された,装着型歩行支援ロボットWearable Power-Assist Locomotor(WPAL)を用いた歩行時における,歩行器操作の練習を支援するシステムの開発である. 研究計画としてはまず,歩行器を押し出す時期に歩行速度が与える影響について検討する.次に,歩行器を押し出すべき時期を伝える練習支援システムを構築する.最後に,練習支援システムを使用した際の,歩行器操作の習熟過程を計測することによる,提案システムの有用性の検討を行う. 昨年度(2022年度)は,WPALを用いた歩行時における,歩行器を押し出す時期を聴覚提示もしくは視覚提示によって伝える練習支援システムについて,探索的な試作検討を進めた.今後も,歩行速度による影響について,より詳細に検討を行いつつ,並行して歩行器を押し出す時期を伝える手法について検討を行う予定である.具体的には,「歩行を押し出す時期に歩行速度が与える影響」を考慮した,PCスピーカ等用いた適切な時期を提示するプログラムを用いて,健常者を対象として探索的な実験を行う.聴覚提示での指示理解が困難な場合は,WPAL歩行器に照明を追加設置して,視覚提示等を行う手法も検討する.歩行器を押し出す時期の提示による練習支援システムの構築後は,本研究の中心的な課題である,歩行器操作の習熟に対する練習支援システムの有用性の検討を行う.いずれも対象者の安全を十分に確保して実施する.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度(2022年度)は,WPALを用いた歩行時における,歩行器を押し出す時期を聴覚提示もしくは視覚提示によって伝える練習支援システムについて,探索的な試作検討を進めた.本研究全体の具体的な目的は下記の3項目である. 1)レーザ式変位計(測距計)を用いて,歩行器と被験者の体幹との距離を計測する.その距離が離れ始めた時期を被験者が歩行器を押し出す時期とし,歩行器を押し出す時期に歩行速度がどのような影響をもたらすのかを明らかにする. 2)被験者に歩行器を押し出すべき時期を提示するシステムを構築する.時期の提示には聴覚提示や視覚提示を用い,Visual Analogue Scale(VAS)などで,その伝わりやすさや,臨床現場での使いやすさ等を評価し,効果的な練習支援システムについて検討を行う. 3)WPALを用いた歩行の未習熟者に対して,2)で構築した練習支援システムを用い,歩行器操作の習熟に対する有用性を検討する.主要な評価指標は,歩行器を押し出すべき時期と,実際に押し出された時期の差とし,練習支援システムを用いた群と用いない群での比較検討を行う. 今年度(2023年度)は,昨年度(2022年度)に続き,1)および2)の継続的検討を行う予定である.主な購入物品としては,歩行計測用のビデオカメラ,画像および動画処理用のソフトウェアを予定している.その他,センサの固定用器具などの実験用品(消耗品)については,研究の進捗に伴い,さらなる改良が必要となった際に購入を検討する.
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