研究課題/領域番号 |
21K11196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
Heuser John 国際医療福祉大学, 医学部, 客員教授 (40571815)
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研究分担者 |
三宅 克也 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (30219745)
山田 晋之介 国際医療福祉大学, 医学部, 助教 (30772123)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 電子顕微鏡 / 急速凍結法 / ディープエッチング / 筋ジストロフィー / 細胞膜 / 膜融合 / Airyscan / 合成ナノ粒子 / Aryscan / 筋 / ディープエッチ法 / 急速凍結 / エンドサイトーシス |
研究開始時の研究の概要 |
筋ジストロフィー治療のため新しい化合物が開発されている。しかし、これらの化合物やプラスミドを患者骨格筋へ導入することは難しい。そこで、改良された生体由来純脂質製ナノ粒子、細胞膜透過性ペプチド群による細胞内への導入が期待される。我々は薬剤を運ぶ最適なナノ粒子を検討するため、ディープエッチ電子顕微鏡と多光子レーザーLIVEイメージングを用い、作製したナノ粒子がどのように細胞内へ移行していくかを解明する。本研究はディープエッチ法に、Airyscan搭載型の多光子レーザー顕微鏡によるLIVEイメージング法を加え、筋ジストロフィー新規治療法の基盤研究を遂行する。
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研究実績の概要 |
筋ジストロフィー治療のため新しい化合物が開発されている。しかし、これらの化合物やプラスミドを患者骨格筋へ導入することは難しい。そこで、改良された生体由来純脂質製ナノ粒子、細胞膜透過性ペプチド群による細胞内への導入が期待される。我々は薬剤を運ぶ最適なナノ粒子を検討するため、ディープエッチ電子顕微鏡と多光子レーザーLIVEイメージングを用い、作製したナノ粒子がどのように細胞内へ移行していくかを解明する。本研究はディープエッチ法に、Airyscan搭載型の多光子レーザー顕微鏡によるLIVEイメージング法を加え、筋ジストロフィー新規治療法の基盤研究を遂行する。本研究の目的は、合成ナノ粒子がヒト筋線維またはヒトiPS由来筋線維の細胞質内部へ、どのように侵入するか、まずその機序を知ることである。 本研究の問題は、今まで多くの生物物理学者や細胞生物学者がこの課題についてあまり深く考えて来なかったことと、高度な解析技術が開発されて来なかったことにある。そのため、従来の光学・蛍光顕微鏡法に重点が置かれてきた。我々の方法は、合成ナノ粒子の細胞取込み速度が最大となる、細胞に投与された直後の数分間に急速凍結・ディープエッチ法を適用して、この難局を克服できると考えられる。この機序が解明されれば多くの新規化合物を毒性なく患者細胞に導入でき、リハビリテーションのための運動能力の改善が期待される。 ディープエッチ電子顕微鏡全システムと、高速スキャン高分解レーザー顕微鏡(Airyscan,ZEISS LSM880)とによる相補的な観察により、合成ナノ粒子の挙動を高い時空間分解能で可視化する。具体的には、合成ナノ粒子の膜透過と、それに起因するエンドソーム膜やMVB膜の変化を追跡する。これらの解析結果をもとに、臨床医学への応用のための可能性を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
透過型電子顕微鏡に高感度カメラを取り付け画像解析のために調整した。ディープエッチングを行うため、急速凍結システムおよび凍結活断装置を調整した。組織および細胞のレプリカ像取得を繰り返しデータ収集している。現在我々はLipofectamine2000/3000試薬によるトランスフェクション後の細胞内で起こる事象を透過型電子顕微鏡で調査している。エンドソーム内でのLipofectamineスフェロイドの封入と圧縮、エンドソームからの放出後のスフェロイドを取り巻く大きな多層ER構造の形成、スフェロイドによるリボソームでコーティングされたように見える封入体への集合、そして最終的にこれらの封入体を囲むERの環状ラメラの形成について明らかにできた。トランスフェクションが広く使われているにもかかわらず、実際にどのように作用するのか、まだわかっていないことがたくさんあるため、電子顕微鏡によるこれらの事象の特徴解析は重要である。しかし、この研究では、これらの構造がトランスフェクトされた細胞でどの程度一般的であるかという定量的な評価や、トランスフェクション後のどのタイミングでこれらのイベントが発生するかということは示されていない。データの質は高いが、細胞生物学的プロセスに関する実質的な新しい洞察を提供できていないため、まだ発表の段階に達していない。また、研究開始時期に新型コロナウイルスが蔓延したため自由な渡航ができず共同研究が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
ディープエッチ電子顕微鏡全システムと、高速スキャン高分解レーザー顕微鏡(Airyscan,ZEISS LSM880)とによる相補的な観察により、合成ナノ粒子の挙動を高い時空間分解能で可視化する。具体的には、合成ナノ粒子の膜透過と、それに起因するエンドソーム膜やMVB膜の変化を追跡する。これらの解析結果をもとに、臨床医学への応用のための可能性を検討する。本研究の学術的独自性は、我々が既に確立したディープエッチ電顕法によるMVBの可視化法を用いることにある。培養細胞に合成ナノ粒子を投与後、申請者により開発された急凍結装置で瞬時に生きたままの状態で凍結する。その後、①フリーズフラクチャー・ディープエッチ・白金蒸着法、または②凍結置換・樹脂包埋・超薄切片法に進む。一方、レプリカ法では実際の膜トポロジーと内容物を可視化できる。特に後者では、合成ナノ粒子の膜透過機構を解明する上で決定的な画像が期待できる。レプリカ法では膜のトポロジーを面として可視化するのに加えて、化学固定無しで試料調製するからである。筋ジストロフィー治療薬候補の新規化合物を導入した合成ナノ粒子を作製し、iPS細胞から筋線維へ誘導した細胞へ投与する。合成ナノ粒子が細胞膜でエンドサイトーシスされる瞬間を捉えるために、細胞への投与直後に急速凍結固定を行う。細胞に合成ナノ粒子をある一定時間(例えば15分間)相互作用させた後、細胞膜表面の合成ナノ粒子を洗い流し、数分から数時間の培養を続ける。その後、急速凍結固定を行う。我々が独自に開発してきた「ディープエッチ電子顕微鏡法」を用いて、細胞内部を徹底的に調べ、その構造的変化を探し、合成ナノ粒子自体の特性の違いを精査する。
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