研究課題/領域番号 |
21K11204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
中野 治郎 関西医科大学, リハビリテーション学部, 教授 (20380834)
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研究分担者 |
福島 卓矢 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 理学療法士 (50779535)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | がんリハビリテーション / がんサバイバー / 酸素濃度 / 運動負荷 / 腫瘍運動療法 / 再発 / 腫瘍 / 運動療法 / 低酸素濃度 / 電気刺激 / アポトーシス |
研究開始時の研究の概要 |
運動によって分泌される物質の中には癌細胞の活動を抑制するものがあり、運動はがんの発生や再発を予防すると期待されている。しかし、そのためには強い運動を行う必要があり、高齢者には適用できていない。そこで本研究では、高齢者でも実施可能な弱い運動で癌細胞の抑制ができる方法を開発する。注目したのは空気中の酸素濃度であり、低酸素状態であれば電気刺激で誘導されるような弱い運動でも癌細胞を抑制する可能性がある。逆に高濃度の酸素内で運動したとしても同じ効果が得られる可能性があり、これらの点を科学的に明らかにする。本研究は動物実験、健常人を対象とした予備調査、がん患者を対象とした介入研究の3段階で行っていく。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、予定より遅れている動物実験を進めることを目標とした.具体的には,がんモデルに対して低濃度および高濃度酸素環境下での運動を負荷し、癌細胞および骨格筋に対する影響について血液学的、組織学的、生化学的に検討した。ただ,十分なエフォートを注ぎ込むことができず,学会発表,論文発表といった成果には至っていない.なお,実験は開始しており,予備実験は既に終了した.がんモデルを化学発がん物質誘発乳がんモデルラットから培養細胞によるがんモデルマウスに変更した.その結果,腫瘍の進行を調整することが可能となり,1×10^6個のC26細胞をBALB/cCrSlc背部に注射すると2週間で腫瘍直径2cmに成長することを確かめた.また,実験装置として酸素と窒素の濃度を調整できるチャンバーを作成し,実験環境を整備した.予備実験の結果,マウスは酸素濃度が30%以上または17%以下となると,運動しないことが観察されたため,本実験の酸素濃度は高酸素濃度条件が30%,低酸素濃度がと17%とした.各条件での運動による腫瘍抑制効果については現在検討中である. 一方,臨床研究においては,昨年調査したがんサバイバーが利用する通所リハビリテーションのデータを再解析した結果,興味深いデータが得られたため論文として発表した.具体的には,がんサバイバーを含むフレイル高齢者は,非フレイル高齢者に比べ長期間の運動療法によって利得が大きことが明らかになった。その他,本課題を進める上で得られた外来化学療法を受けるがん患者の観察データの一部をまとめて学会発表した.これらの実績は本課題の主目的とは異なるが,がんサバイバーの運動機能特性を理解する上で重要な知見である.なお,ヒトを対象とした運動効果の検証は,環境は整えているが参加者が少なく,今のところ解析に至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
使用するがんモデルは,当初は化学物質誘発乳がんモデルラットを作成する予定であったが,これをC26培養細胞を用いたがんモデルマウスへ変更した.その理由は,前者のモデルラットは腫瘍発生数や進行にバラツキがあるため介入条件の効果を検討するには動物の対象数を多くする必要があった.それを避けるべくバラツキの少ない培養細胞を用いたモデルマウスを用い,必要とする動物数を抑えることとした.そのため,モデル作成に時間を費やし,本実験の完了には至らなかった.実験は現在進行中であり,令和5年度9月までに終了する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
課題の方針は予定通りとする.ただ,環境調整と動物モデルの変更により進行が予定より大きく遅れている.順調に進めば来年度には動物実験の成果を発表することができる見込みではある.エフォートを獲得しやすい夏期に集中して実験を進める予定である.臨床でのヒトを対象とした検証については,課題に参加する対象者が少ないことから,予定より時間を要する見込みである.現在,課題期間を1年間延長することを検討している.
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