研究課題/領域番号 |
21K11212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
淺井 仁 金沢大学, 保健学系, 教授 (50167871)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 脳卒中 / 片麻痺 / プッシャー現象 / 客観的評価 / 片麻痺患者 / 感覚参照機構 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、脳卒中片麻痺者の座位でのプッシャー現象に対する客観的な評価法と感覚参照機構を踏まえた治療法を開発する。具体的には、座位時の非麻痺側上肢の使い方(”押し”あるいは”引き”)の状況、左右各足部や臀部での荷重状況、体幹傾斜を客観データで捉え、発症早期でのプッシャー現象の評価と予後の推定につなげたい。そして左右方向(前額面上)で任意に角度設定できる座面と臀部から大腿後面への圧刺激を併用する体性感覚情報を中心にした感覚参照機構を踏まえた治療法によりプッシャー現象の改善を促し、客観データと感覚刺激パターンの組み合わせを確立する。
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研究実績の概要 |
【はじめに】Pusher現象(以下PB)は座位や立位において非麻痺側上下肢を用いて麻痺側へ押す現象であり、ADL改善の阻害因子として指摘されている。この評価に[BLS]や[SCP]が使われるが、基本動作の質的変化に対応し難い例も認められる。ADL動作では[掴む]ことで、[引く]力を用いることもあり、既存の[押す]評価だけでは不十分であると考えた。本研究では座位に着目し、座位でのPBに対する評価・治療精度の向上を目的に、従来の定量的な評価法と臨床症状を比較検討した。【症例報告】今年度は3症例のPBに対して検討を行った。そのうちの1症例について記述する。<方法>既存の評価法によりPBを評価した。手すりに3軸方向荷重センサーを装着した椅子型装置(テック技販 特注)を用い、座位中の上肢の使用傾向を20秒間計測し、3軸方向の力をそれぞれ平均した。また座面を非麻痺側へ傾斜させの計測もした。<症例>80歳代女性。X日右被殻出血を発症。X+2日理学療法開始。X+3日基本動作練習を開始し、X+9日平行棒内歩行練習開始、X+14日回復期病院へ転院した。【結果】初回GCS:E4V4M6/BRS上肢Ⅲ手指Ⅲ下肢Ⅳ/NIHSS8点、最終GCS:E4V5M6/BRS上肢Ⅲ手指Ⅳ下肢Ⅳ/NIHSS5点。基本動作:初回は上下肢PBにより非麻痺側荷重が困難だったが、上肢優位に軽減、介助量が減少した。PB:初回BLS10点/SCP4点、最終BLS9点/SCP4点。荷重値:初回は座面0-2°傾斜で外下方へ押す傾向があった。最終は0°で軽減し、2°傾斜で引く傾向へ変化し、4°傾斜以降はこの傾向が増強した。【考察】今回、PBにおける既存の評価の初回と最終評価の差が小さい場合にも、仮説通り姿勢保持戦略が変化する患者が存在することを客観的な数値として示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度からやや遅れいる状態であり、2022年度から症例を対象としたデータの収集に着手しているが、pusher症状を示す片麻痺患者が少なかったことや、コロナ禍等により対象者数の確保に難渋している。ようやく3症例のデータが取れたところである。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染についても5月8日から5類に移行することにより、対象者の確保は昨年度よりは容易になるものと思われる。それゆえ、今年度は対象数を15から20症例は確保したいと考えている。また、昨年度得られた症例の中から研究実績の概要で述べた1症例を学会で報告する予定である。
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