研究課題/領域番号 |
21K11213
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池口 良輔 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80437201)
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研究分担者 |
青山 朋樹 京都大学, 医学研究科, 教授 (90378886)
野口 貴志 京都大学, 医学研究科, 助教 (50736642)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 神経麻痺 / 手指 / 上肢 / 動作解析 / 手根管症候群 / 手 / 定量化 / 指 |
研究開始時の研究の概要 |
三次元動作解析装置により歩行や大関節の解析は行われているが、指の繊細な動きを評価する技術は進んでいない。手根管症候群や肘部管症候群の手指運動障害を「猿手」「鷲手」など主観的に表現しているのが現状で、定量評価ではないため適切な治療やリハビリテーションがされていない。本研究の目的は、指の動きを定量評価するための指動作解析装置を開発することである。具体的には、健常人でパーフェクトOを定量化する装置を作成し確立する、手根管症候群患者で同装置を用いてパーフェクトOを測定し健常人データと比較検討し診断的価値を確立する、手根管症候群治療前後でのデータを比較検討し、治療効果評価法として確立する、ことである。
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研究実績の概要 |
三次元動作解析装置により歩行や大関節の解析は行われているが、指の繊細な動きを評価する技術は進んでいない。手根管症候群や肘部管症候群の手指運動障害を「猿手」「鷲手」など主観的に表現しているのが現状で、定量評価ではないため適切な治療やリハビリテーションがされていない。そのため手根管症候群では、診断法がいまだに確立されておらず、手術適応もドクター間で差がある。つまり、手根管症候群に対する装具療法と注射療法などの保存的治療や手根管開放術や腱移行術などの手術療法を定量的に評価できず、有効な治療効果判定もできていない。進行した手根管症候群でつまみ動作がしにくくなった患者に対して、定量的な効果判定データがないために、保存療法なのか手術療法なのか適切な治療法を選択できていない現状がある。本研究の目的は、指の動きを定量評価するための指動作解析装置を開発することで、具体的には、①健常人でパーフェクトOを定量化する装置を作成し確立する、②手根管症候群患者で同装置を用いてパーフェクトOを測定し健常人データと比較検討し診断的価値を確立する、③手根管症候群治療前後でのデータを比較検討し、治療効果評価法として確立する、ことである。本法では、手根管症候群の治療成果を非侵襲的に評価できるため、コスト、時間と患者に強い痛みを強いる、現在広く行われている神経伝導速度検査の代替となり、患者の社会復帰と医療費削減に大きく貢献することが期待される 健常人でパーフェクトOを定量化する装置を作成し確立し、2022年にAsian Journal of Occupational Therapy 2022, 18(1), 103-110に公開となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常人でのパーフェクトOを定量化する方法については、装置を作成し健常人でのデータ収集を行った。具体的には20-30歳の健常人13名から、表面筋電図を使用して、手関節の肢位を変えて、外在筋と内在筋の筋電図を測定した。外在筋と内在筋の振幅の比を比較し検討した。手関節のある特定の肢位で、外在筋に対する内在筋の割合が最も高く、短母指外転筋を最も使用していることを確認した。手関節のその肢位を維持する筐体を作成し、修正を行なった。筐体を使用し、健常人のパーフェクトOをスマートフォンで撮影し、パソコン上で円形に近似することによって、正円度として数値化を行なった。13人の健康なボランティアでデバイスを使用したパーフェクトOサインの平均値は約80%であった。 以上より、パーフェクトサインは、手関節をある肢位に固定することにより、他の筋肉による影響を最小限に抑えることができ、数値化し定量化することができることが確認できた。Asian Journal of Occupational Therapy2022, 18(1), 103-110に公開となった。
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今後の研究の推進方策 |
R3-R4年度で、パーフェクトOサインの定量化方法を確立できた。具体的には、手関節をある肢位に固定することにより、他の筋肉による影響を最小限に抑えることができ、数値化し定量化することができることが確認された。手関節のその肢位を維持する筐体を作成し、13人の健常人のパーフェクトOをスマートフォンで撮影し、パソコン上で円形に近似することによって、正円度として数値化を行った。パーフェクトOサインの平均値は約80%であった。この結果はAsian Journal of Occupational Therapy 2022, 18(1), 103-110に公開となった。手根管症候群患者のパーフェクトOサインのデータを収集し、健常人データとの比較検討を行っている。今後は、手根管症候群手術患者の術前術後データを収集し、術前後での比較検討を行う予定である。手根管症候群患者と健常人データでの有意差が確認でき、低侵襲なスクリーニング法として利用できる可能性がある。術前後で有意差が確認できれば治療成績判定に用いることができる可能性がある。
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