研究課題/領域番号 |
21K11218
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
大城 琢磨 琉球大学, 医学部, 非常勤講師 (00536550)
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研究分担者 |
宮里 実 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70301398)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 低出力体外衝撃波 / 加齢 / 排尿障害 / 低出力対外衝撃波 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢に伴う排尿障害に対して低出力対外衝撃波に治療介入による改善効果を評価する。 低出力対外衝撃波の組織再生、神経再構築の作用を利用し、加齢により機能的、器質的変化を来した薬物療法に抵抗性の排尿障害に対して治療介入を行いその効果を検証することを目的とする。方法としては加齢動物モデル(ラット)を使用して、麻酔下での膀胱機能、尿道機能の測定及び採取した膀胱、尿道組織の解剖学的、免疫組織学的評価を行る。また、代謝ケージ内での動物の行動及び24時間排尿記録で生理的な評価を行う。ヒトに対する体外衝撃波の安全評価をおこない、薬物療法に抵抗性の加齢に伴う排尿障害に対して治療効果を検証する。
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研究実績の概要 |
加齢に伴う排尿の変化について、これまで膀胱および尿道の機能的及び器質的変化に着目して研究を行っている。 加齢に伴う排尿障害は膀胱組織においては膀胱平滑筋同士のギャップジャンクションの量的変化が確認されており、細胞間伝達の低下が排尿障害の一因で膀胱収縮力の低下に関係していることを確認している。加齢と若年モデルラットの比較実験で非麻酔下の環境においては膀胱収縮に明らかな差はみられていないが、残尿は加齢モデルで増加しているため、加齢に伴う排尿障害について尿道の機能について着目して研究を継続している。尿道平滑筋は畜尿時に収縮をしており、排尿時に弛緩をしているが加齢に伴い尿道平滑筋の弛緩が減弱しており排尿効率が低下、残尿が増加していることが確認され、さらに一酸化窒素がその律速の要因となっていることが確認された。 尿道には平滑筋の他横紋筋の外尿道括約筋が存在しており随意的に尿道を収縮させているが、げっ歯類では排尿時にも尿道から効率よく尿排出をする役目を果たしていると考えられている。排尿時に見られる律動的な外尿道括約筋の収縮は若年に比べ加齢モデルでは減弱していることを確認し国際学会で発表を行いその内容についての論文を学術雑誌のPhysiological reportsに掲載している。 これらの膀胱及び尿道の加齢に伴う変化については酸化ストレスや虚血が原因となっている可能性があり、また臨床において薬物治療に抵抗性の加齢膀胱も多くみられることから、薬物治療に寄らない治療方法として低出力体外衝撃波に着目し研究を行っている。加齢モデルのラットに対して骨盤に照射することにより尿道の機能が改善している。効果の検証として組織学的アプローチで現在検証を行っている。さらに低出力体外衝撃波は物理的刺激でありそれに対する組織の反応、変化について検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低出力体外衝撃波の加齢に伴う排尿障害に対する治療効果を検証中である。麻酔下での排尿機能の比較においては、コントロール群、低出力体外衝撃波治療介入群において膀胱機能に関しては膀胱基線圧や膀胱収縮閾値圧、膀胱収縮圧にコントロールと治療介入群との比較で有意な差は認められなかったものの尿、道機能に関して低出力体外衝撃波介入群はコントロール群に比較して、尿道基線圧は有意に高く、尿道弛緩時の圧差(尿道弛緩)について有意に大きいことが示された。生理的環境に近づけるため、代謝ケージでの実験においては加齢コントロール群と治療介入群それぞれで、活動期と非活動期における排尿回数の減少や1回排尿量の増加傾向がみられる有意な差はなく、さらなる検証が必要と考えている。さらに組織の変化について形態評価としてはMasson's trichrome染色、機能の評価については免疫組織学的検証として、酸化ストレスマーカーや神経成長因子、s-100タンパクの発現について検証中である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果から麻酔下の実験において低出力体外衝撃波は加齢における排尿障害に対して、尿道機能に関して改善が認められている。現在覚醒した状態における代謝ケージでの排尿評価についても効果がみられておりそのデータの検証を行っている。 今回もたらされた結果について論文発表する予定であり、さらに解明すべき効果の機序については、組織学的に形態変化や免疫染色により評価を継続する予定である。低出力体外衝撃波の物理的刺激機能的な評価については末梢組織のみならず、末梢および中枢神経の評価が必要で神経伝達機構の研究を予定している。
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