研究課題/領域番号 |
21K11232
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 藍野大学 |
研究代表者 |
宮本 陳敏 藍野大学, 医療保健学部, 講師 (00785892)
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研究分担者 |
兼清 健志 びわこリハビリテーション専門職大学, リハビリテーション学部, 准教授 (20525399)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 電気刺激 / 脊髄損傷 / リハビリ / 生化学的分析 / 再生医療 |
研究開始時の研究の概要 |
臨床における脊髄損傷のリハビリでは、運動機能トレーニングの他に、機能的電気刺激によるリハビリが行われており、損傷した下肢・上肢の可動性の改善に有効である。しかし、近年の再生医療の発展によってリハビリの需要がますます高まる中、リハビリの分子メカニズムはあまりわかっていない。 本研究では、脊髄損傷に対するFESが損傷脊髄内の中枢神経系細胞を取り巻く環境にもたらす変化を①形態学的に解析し、②さらにニューロンや各種グリア細胞の反応を遺伝子レベル、タンパク質レベルで解析し、③これによって、電気刺激による神経再生の分子メカニズムの一端を明らかにすることでエビデンスに基づいたリハビリ方法の開発が期待できる。
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研究実績の概要 |
電気刺激による脊髄損傷治療効果を細胞レベル・分子レベルで解析するには、まず電気刺激の効果を検証する必要があるため、脊髄損傷モデルを作成し、損傷モデルの電気治療を行った。脊髄損傷は8週齢のラットの第8ー9胸椎レベルを切開し、脊髄圧挫損傷作成装置を用いて、第9胸椎レベルで露出した脊髄に25㎜の高さから直径2㎜の重さ20gの棒を落下し、挫滅損傷を与えた。電気刺激の効果を確認するため、脊髄損傷したラット4匹をコントロール群2匹と電気刺激群2匹に分けて比較した。電気刺激群において、左右両方の剃毛した後肢に電気刺激を実施した。その際、下肢の動きから適切な筋肉刺激を確認した。急性期からの治療効果を検証するため、損傷後翌日より電気刺激を開始し、刺激は1日20分/回、週5回、4週間に渡って刺激を行った。運動機能評価として、脊髄損傷後2 日目, 7 日目, 14 日目, 21 日目, 28 日目, 35 日目においてすべてのラットの両後肢それぞれのBasso-Beattie-Bresnahan(BBB)スコアを計測し、記録した。統計処理した結果、両後肢BBBスコアの経時的変化は、コントロール群より電気刺激群が改善しており、特に損傷後後14~21日の間に著明であった。この改善は観察期間の28日目まで持続し、その後減退が見られた。後退になってもコントロール群よりBBBスコアが高いか同じ程度を示した。 今後、実験条件を調整し、n数を増やして、脊損に対する電気刺激が損傷脊髄内の中枢神経系細胞を取り巻く環境にもたらす変化を形態学的に解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度、コロナ禍や物品の品薄などの社会的な要因により、実験機器の入荷が遅れることと、入荷後に機械の調整、電極の変更・再オーダーが必要となり、実験の進行が遅れていた。実験開始後、機械の出力端子に故障が生じ、修理のため、メーカーに返送し、実験がストップした時期が生じていたため、予定より進行が遅れている結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
電気刺激リハ実施群と損傷のみの群の脊髄組織を比較解析する。脊髄組織を各種抗体(ニューロンやグリア、栄養因子や細胞増殖マーカー)を用いて免疫組織化学染色することで、軸索の再生度合いやグリア細胞の増殖度合い、シナプス形成、中心管上衣細胞の反応などを比較する。さらに、電気刺激開始からタイムコースで脊髄組織を解析することで、電気刺激による損傷脊髄内の経時的な変化を明らかにする。組織学的な差が最も顕著にみられるタイミングを後述する解析に供する脊髄組織のサンプリングの目安とする。電気刺激実施群と損傷のみの群の脊髄からtotal RNAを抽出し、DNA microarrayを用いて各群のmRNAの発現レベルを比較することで、リハビリによる脊髄組織の応答を遺伝子レベルで網羅的に解析する。個々の遺伝子変動の単純な比較のみでは差がみえてこないことも想定されるので、種々のデータマイニング(パスウェイ解析、GO解析、クラスター解析など)によってさらに詳細に解析することで、電気刺激による細胞応答メカニズムの足がかりを得る。
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