研究課題/領域番号 |
21K11234
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
河村 顕治 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40278974)
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研究分担者 |
井上 茂樹 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (40531447)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | サルコペニア / 閉運動連鎖 / 経頭蓋直流電気刺激 / 随意運動介助型機能的電気刺激 / 皮質脊髄路促通効果 / tDCS / IVES / 電気刺激 / 皮質脊髄路 / 促通 |
研究開始時の研究の概要 |
寝たきりの発生要因となる大腿骨近位部骨折の98%が転倒によって起こり高齢者の転倒の多くは歩行中に発生する。転倒のリスク因子としては歩行機能障害、筋力低下(サルコペニア)、バランス機能低下などが主な因子である。そこで大脳皮質興奮性を調整できる神経調整機能を持つ経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と、歩行時の下肢筋から計測した筋活動電位をスイッチとして筋電信号に比例した電気刺激を行うことができる随意運動介助型機能的電気刺激(IVES)を組み合わせることにより、歩行時の運動学習を促進するとともに筋力強化とバランス機能向上が可能となる新しいニューロリハビリテーションシステムを構築する。
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研究実績の概要 |
寝たきりの発生要因となる大腿骨近位部骨折の98%が転倒によって起こり高齢者の転倒の多くは歩行中に発生する。転倒のリスク因子としては歩行機能障害、筋力低下(サルコペニア)、バランス機能低下などが主な因子である。そこで大脳皮質興奮性を調整できる機能を持つ経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と、末梢から中枢へフィードバックが行える随意運動介助型機能的電気刺激(IVES)を組み合わせることにより、皮質脊髄路促通効果が得られるという仮説に基づき、併用電気刺激前後の等尺性CKC下肢最大筋出力時の脚力計測および内側広筋の表面筋電図波形解析を行った。 対象者は、健常若年男性10名とした。tDCS装置GD-800で左側一次運動野刺激を行い、IVESによって右内側広筋の刺激を行った。等尺性CKC下肢筋出力計測はIsoforce GT-330を使用し、さらにNicolet Viking IV 筋電計を用いて筋電図波形解析を行った。右下肢について疲労をきたさない10%MVCの出力で4秒間等尺性CKC下肢伸展運動を行い4秒間休むというリズミカルな運動を20分間行わせ、その前後で等尺性CKC下肢最大筋出力及び内側広筋表面筋電図を計測した。 等尺性CKC下肢最大筋出力は刺激前 17.1±3.1 N/kgに対し、刺激後 22.7±4.3 N/kgと有意に増加した。さらに内側広筋表面筋電図波形解析の結果、筋出力を表すRMSが刺激前373.3±155 μV、刺激後424.9±157 μVと有意に増加した。平均周波数は刺激前 67.0±4.0 Hzに対し、刺激後 73.9±8.4 Hzと有意に増加した。また周波数中央値も刺激前 61.0±7.4 Hz,刺激後 70.0±6.7 Hzと有意に増加した。 これらの結果から、tDCSとIVESを併用することで、皮質脊髄路促通効果を得ることができることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
等尺性下肢閉運動連鎖運動における経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と随意運動介助型電気刺激(IVES)の併用による皮質脊髄路促通効果を確認することができた。 2年目の計画は動的な運動時の効果を検証するために等速性CKC下肢最大筋出力時の分析と、歩行時の分析を行う計画とした。等速性CKC評価訓練機については、 河村がこれまでに開発した試作機を用いて高解像度ビデオカメラで撮影した動画とロードセルの出力を同期して下肢3関節のモーメントを解析できるシステムを構築して、tDCSと大腿四頭筋へのIVESを組み合わせた刺激による皮質脊髄路促通効果を検証できるようになった。 tDCSとIVESの併用による歩行の分析としては足圧分布計測機能を持つトレッドミルZebris FDM- Tによる解析が可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の計画としては、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と随意運動介助型電気刺激(IVES)の併用による皮質脊髄路促通効果を動的な実験で検証する。 まず、等速性下肢閉運動連鎖運動におけるtDCSとIVESの併用による皮質脊髄路促通効果について健常若年男性10名を対象として実験を行う。等速性下肢閉運動連鎖運動において、tDCSと大腿四頭筋へのIVESを組み合わせた刺激を実施し、その前後で膝伸展モーメントのピーク値の変動を解析する。 tDCSとIVES刺激前後の歩行運動の足圧解析については、足圧分布計測機能を持つトレッドミルZebris FDM-Tを用いて、歩行時の連続した足圧および足圧中心(COP)を計測する。これまでの我々の研究ではバタフライイメージでCOP軌跡を出力して評価すると、tDCSとIVES刺激を行うとバランス能力が改善し、COP軌跡が後方へ偏移して安定化することが判明している。健常若年男性10名を対象としてtDCSとIVES刺激前後の歩行運動の足圧解析実験を行う。
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