研究課題/領域番号 |
21K11244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
美津島 隆 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80279348)
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研究分担者 |
秋山 純和 東都大学, 幕張ヒューマンケア学部, 教授 (10285976)
入澤 寛 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (70467231)
高森 正祥 獨協医科大学, 医学部, 研究生 (80898007)
瀬尾 芳輝 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 特別協力研究員 (90179317)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 骨格筋 / 動作解析 / 筋活動 / MR像 / 主動筋 / 共同筋 / 共縮 / 痙縮 / 脳血管障害 / 拮抗筋 / 核磁気共鳴画像法(MRI法) / ボトックス |
研究開始時の研究の概要 |
0.2TコンパクトMR機器を用いて、健常者において上肢の自動運動、他動運動の際の筋活動(主動筋、共同筋、拮抗筋)の違いを検証する。また脳血管障害による片麻痺患者の上肢の運動に際しての筋活動の動態や近年行われているボトックス注射後の筋弛緩状態における運動時の筋活動状態も検証し、ボトックスの治療効果の評価を行う。本法は自動運動や他動運動による活動筋分析の新しい手法として、研究のみならず臨床応用にもその成果が十分期待できると考えられる。
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研究実績の概要 |
骨格筋の動作解析法の中でもMR機器による画像解析は、侵襲が少ない。四肢運動動作後MR機器にて撮像し、標的部位の活動筋と非活動筋の様子を1スライスの画面で観察するという画像解析により、上下肢における主動筋や共同筋、拮抗筋などの活動状況を観察できる。 今回は健常者に対して前腕の回内、回外運動を行い、その時の筋活動を観察するという研究で、前腕回内運動に動員される骨格筋を解析した。健常成人8名に対して、左前腕回内運動を徒手筋力計で測定し,100% MVCを決定後それぞれ25%,15%,5%MCVの重錘を負荷して等性収縮運動を2秒周期で行った。前腕回内運動は疲労により運動継続が困難となるまで繰り返し、その後すぐに前腕部を対象にMRI装置を用いて撮像した。撮像部位は前腕近位1/3とし、撮像はマルチエコー法を用い、運動直後に撮像を行った。撮像から得られたT2値を累積頻度曲線(CFZ)を用いて解析した。 解析の結果、主動筋と共に働く共同筋には2種類のパターンがあることがわかった。すなわち運動強度に依存する場合と個人に依存する場合である。運動強度に依存する場合は従来言われている共同筋と考えられるが、個人に依存する筋活動は共縮などの影響を受けている可能性がある。これらの研究成果は共同筋の認識を変える運動学に一石を投じるものである。この研究成果はTwo synergistic types muscles were detected during forearm rotation exercise by T2cumulative frequency curves at 0.2 T magnetic resomance imagingとして2024年4月The journal of physiological sciencesに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 現在のところ進捗状況としてはやや遅れている。 対象がヒトであることからコロナ禍の影響で、基本的に被験者集めがうまくいっていなかった。、実験計画自体が一時頓挫してしまったことが大きな要因である。さらにまたMR機器のプローべの故障やアンプ(増幅器)の不具合などが生じてしまい、その修理、交換に手間取っていた(専門の業者に依頼する必要があるが、コロナ禍の関係で、学内への出入りが禁止されていた期間が長かった)が、昨年度はMRIの修理も終了し、本格的に研究ができるようになった。 まず健常者を被験者として、前腕の回内外運動を中心に筋活動を評価して、徐々にデータを収集し、解析した成果がTwo synergistic types muscles were detected during forearm rotation exercise by T2cumulative frequency curves at 0.2 T magnetic resomance imagingとして2024年4月The journal of physiological sciencesに論文として発表できた。 今後は十分な被験者数を獲得した上で、研究結果を解析して早期に学会発表、論文の作成へ進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2023年度にできなかった研究内容を踏襲していくことになる。すなわちリハビリテーション治療の視点に立ち、訓練方法の違いが筋活動にどのような影響を与えているかを観察する。 まずは健常者の前腕に対して日頃行われている訓練内容(手関節の自動運動訓練、他動運動訓練)を行って、MR像でそれぞれの訓練の際の活動筋に差があるかを検討し、訓練内容の効果、筋への影響について考察する。運動に対する筋活動には運動依存性によるものと個人差によるものがある可能性があるが、今回用いた累積比率曲線の手法を用いて、解析を進める。次に脳血管障害者を対象として、同様な方法を用いて活動筋様子をMRの画像により評価する。その後、脳血管障害者の痙縮に対して行われるボトックスの施注に対して、その効果を筋の活動の面からスポットを当てる。このボトックスの施注は痙縮によって活動が制限されている筋に対して筋弛緩作用のあるボトックスを注入することにより、関節の動きを改善させる。一般的には他動運動を容易にして、日常生活動作に寄与することをそのとする治療法だが、痙縮によって妨げられていた自動運動を改善させる効果もある。しかし施注した筋(主動筋)の筋活動並びに共同筋、拮抗筋に対する効果は明確でないので、MR像によってボトックスによる筋弛緩効果を評価する。
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