研究課題/領域番号 |
21K11281
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 福岡国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
松藤 佳名子 福岡国際医療福祉大学, 医療学部, 准教授 (60883246)
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研究分担者 |
山田 絵美 九州大学, 人文科学研究院, 助教 (60737310)
中薗 寿人 福岡国際医療福祉大学, 医療学部, 准教授 (70814771)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | プリズム順応 / 半側空間無視 / 事象関連電位 / キメラ視覚画像刺激 / 主観的正中面 / N170 / 視線解析 |
研究開始時の研究の概要 |
両眼に同じ基底方向のプリズムを装用すると視界が平行に移動し、その状態で視覚目標に向けて手を伸ばすと最初は誤差を生じるが、繰り返すと正確に指せるようになり、これをプリズム順応という。プリズム順応を半側空間無視の患者に行うと無視が改善することが報告され、有望なリハビリテーションであるが、その神経基盤は不明である。 本研究では、プリズム順応前後にキメラ視覚画像刺激を使って左右の視野を同時刺激したときの高密度事象関連電位を測定し、1次視覚野、4次視覚野での脳活動と行動指標を対比して、その脳内基盤を明らかにする。
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研究実績の概要 |
プリズム順応(PA)を左半側空間無視(USN)の患者に行うとプリズム除去後に無視が改善することが報告され、有望なリハビリテーションであると考えられているが、そのメカニズムは明らかになっていない。本研究では、PA前後に事象関連電位(ERP)と、主観的正中面位置、線分2等分試験、グレースケールタスク等の行動指標を計測することによって、PAが視覚情報処理経路に影響を及ばしているのかを電気生理学的に解明し、さらに、注意との関連性を明らかにすることを目的としている。 計測時間短縮のため計画は当初からいくつかの点を変更している。まずは、脳波計である。当初は128 チャンネル高密度脳波計を使用する予定であったが、現在は短時間で電極の装着が可能なヘッドセット型脳波測定装置を使用している。それに伴い電極の配置も変わり、現在はOz、O1、O2、PO7、PO8の5か所に配置している。また、当初は視覚刺激もサイン格子縞と顔画像を使用していたが、現在は刺激を2顔刺激のみを使用している。Upright face、inverted face、chimera faceの3種類である。PA前後にERPを測定し、顔刺激によって惹起されるP100、N170 について刺激種類による違いを、第1次視覚野と第4次視覚野(V4)に絞って解析している。 行動指標である主観的正中面位置、線分2等分試験、グレースケールタスクは変更なく測定できており、プリズムシフトの違いが主観的正中面位置に及ぼす影響を検討している。 被験者については、新型コロナウイルス感染症拡大防止措置の影響によりUSN症例を対象とした実験を行えず、現在もその状況は継続している。現在は健常高齢者を対象に実験を行い、健常若年成人と比較検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、測定時間短縮のため脳波計を3回変更することになった(128 チャンネル高密度脳波計→ニューロパック→ヘッドセット型脳波測定装置)。そのため、実験開始時期が大幅に遅延した。その後、脳波計変更に伴う刺激の変更、刺激呈示プログラムの変更、さらにプログラムの不具合等が続き実験が一時期停滞した。2024年度はデータ収集とあわせて、データ解析も行っていたが、解析ソフトも修正が必要となったため、解析のやり直しなどがあり手間取ってしまった。また、解析をERP成分(P100成分、N170成分)だけでなく、時間周波数解析まで行うことにしたため、解析が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
現在はERP成分(P100、N170 )の解析と時間周波数解析を行っている所である。しかし、もう少しデータ数を増やしたいと考えており、10名ほど被験者を追加募集し、PA前後の顔刺激によるERPと、主観的正中面課題、グレースケール課題、線分2等分試験などの行動指標の計測を予定している。USN患者の測定に関しては施設に依頼しているが相変わらず困難な状況が続いている。そのため、健常者(若年成人、および高齢者)を対象とする。PA前後の差だけでなく、加齢の影響も含めて検討する予定である。 1年間の延長が認められたので、2024年度は研究成果を学会や論文で発表する予定である。
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