研究課題/領域番号 |
21K11306
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 (2022) 国立研究開発法人国立がん研究センター (2021) |
研究代表者 |
井平 光 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (60516590)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | がんリハビリテーション / コホート研究 / 電子化医療情報 / 疫学 / 大規模コホート研究 |
研究開始時の研究の概要 |
がん治療の飛躍的な進展により、がんは不治の病ではなくなり、がん治療後の社会復帰に向けた、積極的なリハビリテーションの重要性が高まってきている。本研究では、2011年から開始された次世代多目的コホート研究の参加者約11万人を対象として、生活に関するアンケート情報と、入院中の電子化医療情報から把握されるがんリハビリテーションの治療経過を評価し、がんリハビリテーションによる機能回復に関連する生活要因を明らかにすることで、がん患者が早期の社会復帰を実現するための具体的な改善策を提案する。
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研究実績の概要 |
がんリハビリテーションの回復過程に影響を及ぼす関連要因を、前向きコホート研究によって検証した研究はなく、早期の社会復帰を見据えた、三次予防に関連する生活要因を探索することが求められている。本研究では、地域在住の約11万人を対象とし、生活習慣に関するアンケート情報と、入退院時の電子化医療情報を用いて、がんリハビリテーションの回復過程に影響を与える生活習慣および生活環境を明らかにすることで、早期の社会復帰に資する具体的な改善策を提案することを目的とする。 R4年度までの実績として、がんリハビリテーションを実施した対象者を把握するために、診療報酬明細情報(レセプト情報)を用いて判定したがん罹患の有無について妥当性を検証した論文を公開した。当該論文において、レセプトの病名と治療行為で判定した方法の妥当性(感度・特異度・陽性的中度)は高く、それぞれ、全がん(87.0%・99.4%・74.5%)、胃がん(88.8%・99.9%・70.5%)、大腸がん(80.6%・99.9%・72.0%)、肺がん(86.3%・99.9%・73.3%)、乳がん(100%・99.9%・68.4%)、前立腺がん(91.9%・99.9%・89.2%)だった。このことから、全がん、胃がん、肺がん、乳がん、前立腺がんについては、レセプト情報の病名と治療行為を組み合わせて判定した罹患把握は、がん罹患の判定方法として利用可能であると考えられた。 次年度は、上記の通りに同定されたがんリハビリテーション実施者について、電子化医療情報から把握できる情報(年齢、性別、入院日、病名情報、手術名、診療行為名、行為回数、退院日、および入退院時のADLスコア等)と質問票から得られた生活習慣の情報を突合したデータセットを構築する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、がんリハビリテーションを実施した対象者を把握するため、診療報酬明細情報(レセプト情報)を用いて判定したがん罹患の有無について妥当性を検証した。この検証のために、2011年から開始された次世代多目的コホート研究の対象者40歳~74歳の男女約2万1千人を対象とした。妥当性検証の基準として、真にがんを罹患したかどうかを、研究開始から2015年末までのがん登録情報をもとに、全てのがん(全がん)、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がんの罹患者を確認した。また、レセプト情報を用いたがん罹患の判定方法としては、4パターン(①レセプトにおいてがんの病名がついている場合、②レセプトにおいてがんの病名と治療行為がついている場合、③DPCレセプトの主傷病名にがんの病名がついている場合、④DPCレセプトの主傷病名にがんの病名と治療行為がついている場合)の判定方法について、がん登録情報から判定したがん罹患とどのくらい一致するか比較し、その精度を検証した。 判定方法①のレセプトの病名のみによる判定では、感度は高いものの陽性的中度が低いことが分かった。一方、レセプトの病名と治療行為で判定した方法②の妥当性(感度・特異度・陽性的中度)は高く、それぞれ、全がん(87.0%・99.4%・74.5%)、胃がん(88.8%・99.9%・70.5%)、大腸がん(80.6%・99.9%・72.0%)、肺がん(86.3%・99.9%・73.3%)、乳がん(100%・99.9%・68.4%)、前立腺がん(91.9%・99.9%・89.2%)だった。 がん登録データが入手可能でない場合、全がん、胃がん、肺がん、乳がん、前立腺がんについては、レセプト情報の病名と治療行為を組み合わせて判定した罹患把握は、がん罹患の判定方法として利用可能であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、がんリハビリテーション実施者について、電子化医療情報から把握できる情報(年齢、性別、入院日、病名情報、手術名、診療行為名、行為回数、退院日、および入退院時のADLスコア等)と質問票から得られた生活習慣の情報を突合したデータセットを構築する予定である。
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