研究課題/領域番号 |
21K11311
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 和義 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70528637)
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研究分担者 |
黒川 幸典 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10470197)
西塔 拓郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20646468)
山下 公太郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20747159)
高橋 剛 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50452389)
田中 晃司 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (70621019)
牧野 知紀 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80528620)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | サルコペニア / リハビリテーション / アプリ / 筋肉量 / 術前リハビリテーション / 栄養療法 |
研究開始時の研究の概要 |
筋肉量の減少は高齢胃癌患者全体の課題と考えるため、対象は高齢胃癌患者全体と設定する。本研究では、①高齢胃癌に対する術前リハビリ+栄養療法の開発を行い、単群での介入研究を行う、②筋肉量の多寡がどのように癌治療の治療成績に影響を与えるのか、筋肉量が増加すればどのように抗腫瘍効果を発揮するのかメカニズムを解明するため、筋肉関連マイクロRNAやマイオカインの発現変化などを、臨床検体を用いて検討し、in vitro研究にて確認する。
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研究実績の概要 |
2021年4月より本研究を始動した。 2021年4月から11月までは、外来患者に対するスマートフォンを用いたリハビリテーション(以下リハビリ)を導入するために、使用するアプリの選定を行い、患者の身体機能、筋力に応じたリハビリメニューを作成した。アプリは「リハサク」というスマートフォンやパソコンを介して、患者さんに独自の運動メニューを処方できるものを導入した。リハビリメニューは、ADLが低下している高齢者でも(座ったまま)出来る「低」、普通の高齢者を対象とした「中」、運動習慣のある高齢者(とくに男性)を対象とした「高」を作成した。2021年12月から2022年6月の期間で、当科通院中の胃癌患者のうち「リハサク」を提案した22例。リハビリの実施状況と、リハサク(+) vs. リハサク(-)症例との間でリハビリテーションの効果は、以下の項目①体組成計(BIA法)による体重、除脂肪量、脂肪量、②握力、③PNIなど血液検査項目を3週間ごとに評価することとした。22例中10例(45.5%)が「リハサク」をダウンロードし、リハビリの処方を受けた。リハサク(+)群における30日当たりのリハビリ実施日数は17(2-30)日であった。日リハサク(+) vs. (-)群との間で、年齢、性別、治療状況に有意な差を認めなかった。BIA法による除脂肪量の変化量は3週間後、6週間後、9週間後がそれぞれ +0.95、+0.65、0.95kg vs, 0.35、0.15、0.25kg と有意差は認めなかったが、リハサク(+)群で増加量中央値が高値で推移した。脂肪量変化、握力は両群間で差を認めなかった。PNIは開始3週間後で48.2 vs. 44.1(P=0.037)とリハサク(+)群で有意に高かったが、それ以外は有意差を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胃癌患者を含め、癌患者において筋肉量の減少ならびにサルコペニアは治療合併症の増加、予後悪化につながることが多数報告されている。筋肉量増加のためにはリハビリテーションと栄養介入、薬剤投与の3つのアプローチがあるが、とくにリハビリテーションが重要であり、その継続がポイントであると考える。令和3年度の計画は順調に達成でき、令和4年度ではその症例登録を推進した。QRコードをスマートフォンで読み込み、あとはガイダンスに従って登録すれば、管理者側に通知がくるので、忙しい外来の合間でもリハビリの紹介と導入がスムーズであった。チャットによる声掛けもおこない、運動の継続、実施率向上も達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に開始した「スマートフォンアプリを使用したリハビリの導入」により、外来通院中の胃癌患者に対しても、アプリのダウンロードと使用方法が記載されたマニュアルを手渡すことで時間と人手をかけずにリハビリを処方するノウハウが確立した。栄養剤の介入についても筋肉増加作用が報告されているHMB含有飲料を紹介し、運動後に内服することを推奨している。現在、術前、術後フォロー中、術後補助化学慮訪中、再発化学療法中の4グループにおいてそれぞれリハビリ導入はスムーズに行えており、その効果を最終年でまとめ、解析・検証していく予定である。
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