研究課題/領域番号 |
21K11312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
四本 かやの 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (10294232)
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研究分担者 |
橋本 健志 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60294229)
胡 友恵 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (20882971)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 作業療法 / 心理社会療法 / 社会参加 / 精神科外来 / 生活機能分類 / 精神科リハビリテーション |
研究開始時の研究の概要 |
環境の変化に伴う社会的不適応による精神科受療者は増加し続けている.受診後,薬物療法により症状が消失・軽減され復学・復職等の社会参加に再適応できる層がある一方で,薬物療法により症状が改善し家庭内では自立生活ができるようになったものの復学・復職等には至らず,休学・休職を継続する外来通院患者が存在する. 後者のような層は従来リハビリテーションの対象ではなかったがこれを研究対象とし,復職・復学等の社会参加状態の改善に寄与する新たな支援方法の開発を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、社会参加不適応による精神科受療者の中で,復学・復職等には至らず、休学・休職を継続する外来通院患者を対象として、彼らの社会不適応状態を国際生活機能分類(ICF)によって類型化し、社会参加を改善するリハビリテーション手法を開発することである。 令和4年度には、令和3年度にこれまでの集積事例と先行研究事例の検討により作成したICF類型を利用して、社会不適応状態を類型化し介入を継続した。また、不足している対象者のリクルートを継続して評価・分析を集積した。 これまでの介入の経過や成果の一部について、第56回日本作業療法学会(令和4年9月16日-18日現地開催・ライブ配信)において「不安障害患者の余暇活動を改善した短期間の作業療法」を研究分担者・研究協力者と共にポスター発表し、情報収集、意見交換を行った。「引きこもり統合失調症外来患者における社会参加水準を改善した作業療法」(精神分析&人間存在分析)を発表した。 新型コロナ感染症による社会の変化により、就労・就学形態の変化や退職・退学・解雇などが起こり、それぞれの社会参加形態が変化し、自殺者の増加などメンタルヘルス上の問題が取り上げられるようになった。研究計画時に対象としていた休学・休職中の症例のみならず、精神神経科診療所等の受診が必要な者に対する早期のリハビリテーション手法の確立が重要であり、このような新たな対象の出現からも本研究における社会参加の改善のためのリハビリテーション手法の開発の意義は大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は①対象者リクルートとアセスメントの実施、②集積してきた事例については、評価結果を討議し介入の経過や成果について、事例検討などを関連学会等で報告し③令和4年9月に開催された第56日本作業療法学会でポスター発表を行い、支援者である作業療法士らと意見交換を行った。さらに④「引きこもり統合失調症外来患者における社会参加水準を改善した作業療法」2022年2月、精神分析&人間存在分析、人間存在分析学会2022,85-97)を執筆し、掲載された。 具体的には、社会不適応状態の背景は、環境因子、個人因子に主要な特徴があり、環境因子の中では、仕事内容や業務量などの物理的因子が主であるタイプと、上司や同僚などの人的因子が主であるタイプに分類、類型化された。また個人因子は、発達的偏りや発達障害などの傾向が主であるタイプ、認知の歪みが主なタイプに分けられた。以上類型化が行われ、各タイプに対するリハビリテーション介入方法を検討した。すなわち、現在までの介入を分析し、社会不適応状態から社会参加が部分的にでも可能になった、つまり社会参加水準が改善した対象者について分析・検討を行い、それぞれのタイプに有効な方法を、事例集積して検討中である。社会参加水準の改善に対しては、対象者のライフステージや個人因子や環境因子の影響も大きいことが明らかになっており、類型別の介入方法は、さらに増加・多様化する可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症による受診控えなどのため、予定していた研究参加対象者を得られていない。引き続き定期的に研究代表者が個別介入を実施している施設に関連する診療所勤務の精神科医らと定期的に研究打ち合わせ会合をもち、対象者数の増加に向けリクルートを継続する。さらに対象者数の不足に対しては、その他精神科診療所受診者などの候補をもつ精神科医を研究分担者から紹介を受けることができるよう依頼する。 また出勤を伴う場合は復職に至らなかった事例でも、新型コロナ感染症による社会的な変化によって、働き方が変わり出勤ではなくリモートワークを利用することによって復職する事例が増加し、他方、出勤が減少したために抑うつ症状の再燃が認められ再度休職に至るなど、環境因子の変化を大きな誘因とした社会参加形態の変更が認められる。新型コロナ感染症の流行のみならず、就労の形態変化は今後も緩やかに継続することを考慮し、類型化および介入方法の検討を進める。 新型コロナ感染症による社会参加形態の変化は、徐々に明らかになっている。学会・関連の専門雑誌などの情報収集を行い、研究対象として組み入れる場合の視点を研究分担者・研究協力者らとさらに整理していくため会議を定期的に開催し、進捗を確認する。
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