研究課題/領域番号 |
21K11319
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
趙 吉春 東京家政大学, 健康科学部, 講師 (00848682)
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研究分担者 |
鈴木 誠 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (80554302)
磯 直樹 東京家政大学, 健康科学部, 准教授 (70781649)
平田 恵介 東京家政大学, 健康科学部, 講師 (50862603)
岡部 拓大 東京家政大学, 健康科学部, 准教授 (90836719)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 連合性ペア刺激 / 経頭蓋磁気刺激 / 聴覚性記憶 / 脳波 / リハビリテーション / 脳刺激 / 記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
新たな情報を記憶する能力は,加齢に伴い徐々に低下する.記憶障害に対する従来のリハビリテーションでは,単純な反復訓練や外的記憶補助具の獲得を主体とした訓練が実施されてきたが,期待通りの成果が挙がっているとは言えない.近年,末梢神経刺激と経頭蓋磁気刺激を組み合わせて呈示する連合性ペア刺激によって非侵襲的に脳機能を変化させ,シナプス伝達効率を強化することが可能になってきており,記憶障害に対する新たなリハビリテーション・ツールの一つとして期待されている.本研究では,連合性ペア刺激が聴覚性記憶に及ぼす影響を明らかにし,新たな訓練方法の開発へと展開するための研究基盤を確立することを目的とする.
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研究実績の概要 |
これまでの研究において連合性ペア刺激(paired associative stimulation: PAS)によって聴覚誘発電位の調節が可能であることが示唆されたことから,2023年度の研究ではPASの刺激パラメータ操作によって記憶の基礎的なメカニズムである長期増強(long-term potentiation: LTP)或いは長期抑制(long-term depression: LTD)の誘導可能性について検証した.Schecklmannら(2011)の手法を参考に, LTP条件では音刺激後50 ms,LTD条件では音刺激後45 msに経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation: TMS)を0.25 Hz 200回の頻度で同期させるPASを実施した.PASのためのTMSコイルは,T3上方2.5 cm,T3とCZを結ぶ線に垂直な後方に1.5 cmの位置に配置した.いずれの条件においてもPAS実施前後に長潜時聴覚誘発電位を計測し,FCzを参照電極として音刺激後75 msから250 msまでの振幅を加算平均し,実施前後の振幅の最大値と最小値を観察した.その結果,LTP条件では実施前2.18 μV・実施後2.2 μV ,LTD条件では実施前3.18 μV・実施後1.52 μVとなり,PASの刺激パラメータを操作することにより長潜時聴覚誘発電位のLTP或いはLTDを誘導することが可能であることが示唆された.2022年に構築した聴覚刺激の提示,TMS,脳波の記録の三者を同期できるシステムと2023年に行った実験の結果から, 聴覚刺激を用いたPASが記憶機能に及ぼす影響について更なる検証を実施していく.現在,PASによる長潜時聴覚誘発電位の調節が高低の異なる音刺激に対する弁別能に与える影響を明らかにするための課題及び実験設定を準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,聴覚性刺激入力とTMSを用いた連合性ペア刺激が聴覚性記憶に及ぼす影響を検証することを計画していたが,聴覚誘発電位と記憶の基礎的なメカニズムであるニューロン間のシナプス伝達効率との関連を検証するまでとなった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実績を基に,連合性ペア刺激による長潜時聴覚誘発電位の調節が高低の異なる音刺激に対する弁別能に与える影響を明らかにし,新たな訓練方法の開発へと展開するための研究基盤を確立することを目指す.
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