研究課題
基盤研究(C)
パーキンソン病(PD)に伴う姿勢異常の中でも、垂直姿勢保持困難の前屈姿勢はQOL低下に関わる重要な徴候である。垂直姿勢保持困難の原因は複数考えられるが、申請者は、固有受容感覚の統合異常による主観的垂直位の認識の不良が大きな原因であると考え、これまでに主観的垂直位の認識不良と垂直姿勢保持困難との関連を明らかにしてきた。本研究において、発症早期PD患者を対象に主観的垂直位測定法を導入し、定量的評価を経て病期の進行度との関係を明らかにし、早期的な評価手法を確立させるべきである。さらに、リハビリ治療における姿勢異常の進行を予防するためのモデルケースを提案する。
発症早期パーキンソン病(PD)症例に対して主観的垂直位測定法を導入し、病期の進行度との関係を明らかにするために、前向き観察研究を行った。姿勢評価は体幹前屈(FFT)角度、体幹側屈角度、被験者が主観的に垂直位と認識する位置での角度(主観的垂直姿位:SPV角度)を初回観察、半年後、12ケ月後に測定した。SPV角度は初回と比べ半年、1年で有意に増悪(9.3±6.7 vs 10.8±8.2度, 10.6±7.8度、P<0.05)、FFTは初回と比べ1年後で有意に増悪した(11.1±8.1 vs 12.2±8.8度, P=0.004)。以上よりSPVがFFT増悪を予測できる可能性が示唆された。
パーキンソン病(PD)における垂直姿勢保持困難の要因は多岐にわたり、評価と治療に対する手法の開発は急務である。本研究では、前屈姿勢は運動機能評価を指標に薬剤調整したとしても改善が得られにくい症例が存在し、主観的垂直位による評価は薬剤調整とは異なって変動することを示し、PDに対する主観的垂直位評価の有用性が証明された。こられらの成果は垂直姿勢保持困難の早期出現 が重要な指標となり、リハビリプログラムの早期導入に貢献できる。また、より早期の段階 で垂直位の認識不良への検出が可能となれば、薬剤の適切な調整や、転倒・転落防止対策等 の的確な対応もでき、予後を改善させる臨床的な意義がある。
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