研究課題/領域番号 |
21K11323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 福井医療大学 |
研究代表者 |
酒井 涼 福井医療大学, 保健医療学部, 講師 (80771857)
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研究分担者 |
村田 航志 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10631913)
深澤 有吾 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (60343745)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 脳出血モデルラット / 運動麻痺 / 機能回復 / 三次元動作解析 / 神経活動操作 / 脚内核 / 大脳基底核 / 感覚障害 / 神経回路 / 脳卒中 |
研究開始時の研究の概要 |
脳出血は患者の四肢に感覚機能と運動機能の障害を引き起こす。その効果的な治療には神経学的な疾患メカニズムの理解が不可欠である。本研究では、ラットへの薬理遺伝学実験を用いて脳出血後に感覚及び運動機能障害が生じるメカニズムを神経回路構造の観点から明らかにする。また脳出血後に残存する神経細胞への神経活動操作による介入が感覚・運動機能回復に効果的に寄与しうるかを検証する。本研究では脳卒中後の感覚運動機能障害の病態および神経活動介入による回復の可能性を明らかにする。脳卒中後の機能回復のメカニズムの解明に向けた病態解析基盤を構築し、新たな治療戦略や創薬分野への応用の可能性を探る。
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研究実績の概要 |
2023度は前年度に引き続き、脚内核(Entopeduncular nucleus:EP)の損傷による運動機能障害の分析、並びにEPの組織構造の解析を行った。 前年度までの研究結果から、脳出血後の運動機能障害に脚内核が影響を及ぼしていることが示唆された。しかし、脳出血では損傷領域内のニューロンを広範に破壊することとなり、周辺のニューロンや通過する軸索の損傷の影響を除外することができない。そこで、EPを選択的に損傷させる目的でマイクロインジェクション法を用いラットのEPにカイニン酸を限局的に投与した。併せて、運動機能の変化を観察するため、ペレットを掴む際の前肢の動きを分析するSingle pellet reaching task testを複数のアングルから撮影し、DeepLabCutを用いてラットの前肢の動きを三次元的に解析した。運動機能の評価を行った後、脳組織をNissl染色、免疫組織化学染色法(IHC)を用いて損傷領域並びに損傷量を分析した。EPの組織損傷をより精度良く解析するため、SubstanceP抗体、NeuN抗体によりEPの領域と同領域内に存在する神経細胞を同定した。結果、カイニン酸投与後に前肢の運動機能が有意に低下した。さらに、EPの領域内の神経細胞数の減少が運動機能障害と相関関係にあることが明らかになった。一方で、EP内の損傷部位によっても障害の程度が変化する可能性が残されており、EP内の細胞群をパルブアルブミン、ソマトスタチンなど発現するたんぱく質によって細胞腫を分類し、どの神経細胞腫の損傷が運動機能障害に影響を及ぼしているのかを継続して調査している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カイニン酸投与実験とEPの組織解析の実験を同時に進行したことで当初の予定よりも実験量が大きく増大した。また、カイニン酸投与においては対照群のサンプルデータを集める必要があり、これらの理由から研究期間を延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、EP損傷によって生じる運動機能障害像を明らかにするため、EPを標的としたカイニン酸投与実験のサンプルデータを増やす。また、損傷したEPの組織解析からどの神経細胞腫が運動機能障害に影響を及ぼしているのかを分析する。また、マウスに比べラットのEPの構造は未解明な点が残されており、アデノ随伴ウイルスベクターを用いて神経回路構造を明らかにする必要がある。
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