研究課題/領域番号 |
21K11339
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
二橋 元紀 城西大学, 経営学部, 准教授 (20738017)
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研究分担者 |
関口 浩文 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20392201)
伊藤 新 上武大学, ビジネス情報学部, 講師 (50581948)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | スポーツ外傷 / 中枢神経系評価指標 / 復帰判断基準 / 安全 / スポーツ傷害 / 神経生理学的指標 / パフォーマンス指標 / 機能構造学的評価 |
研究開始時の研究の概要 |
スポーツ傷害からの安全な復帰と再発予防はスポーツ現場においても重要な課題であるが、学校管理下における傷害発生は依然として減少していない現状がある。従来、スポーツ傷害からの回復過程は医学的診断を前提にパフォーマンス指標を主な評価基準としてきたが、パフォーマンスを制御するのは神経系の働きである。その点に焦点をあて、本申請研究課題ではスポーツ傷害の回復過程における神経系指標とパフォーマンス指標との関連性を明確化し、安全な復帰判断基準の策定を目指す。具体的に皮質脊髄路、皮膚反射経路を用いた神経系評価、パフォーマンス評価、超音波画像装置による機能構造評価を包括し、スポーツ傷害の回復過程を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では、スポーツ傷害の回復過程における安全な復帰判断基準の策定を目指し、1) 神経生理学的評価、2) パフォーマンス評価、および3) 機能構造学的評価アプローチから評価を進めている。 神経生理学的評価:第一に、大学生アスリートを対象に足関節不安定性の度合い(Cumberland Ankle Instability Tool:CAIT)に応じて皮質脊髄路興奮性がどのように変容しているのか立位課題にて検討した。被検筋は前脛骨筋とし、皮質脊髄路入出力特性の閾値および最大傾斜(Gain)を評価した。その結果、足関節不安定性が高くなる程(CAITが小さくなる)、Gainが高くなっていることが明らかになってきた。また、皮膚反射機構の検証として、立位時の足関節角度変化(足関節捻挫肢位)に伴う長腓骨筋の皮膚反射応答の変容を評価した。抑制性の中潜時成分に着目し、CAITによる比較検討ならびに、関節位置覚との関連性も評価した。その結果、慢性的足関節不安定性群(CAI)では関節位置覚と皮膚反射応答との関連性に差異が生じることが明らかになった。 パフォーマンス評価:Star Excursion Balance Test(3方向:Yバランステスト)、サイドホップテスト、および8の字ホップテストを実施し、足関節捻挫の既往歴、CAITとの関連性を進めている。 機能構造学的評価:引き続き、大学生アスリートを対象に超音波画像装置により足関節靭帯の連続性、肥厚、骨棘等の形態構造を観察した。前年同様、多くの被験者において距骨側のインピンジメント、靭帯の連続性が破断を認めており、足関節捻挫の反復に伴う靭帯構造の破綻ならびにそれに起因する変形性変化が好発している実態が明らかになった。引き続き、各指標の検証ならびに関連性を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神経生理学的評価アプローチとして、パフォーマンス評価にもつながる立位時において皮質脊髄路興奮性の評価を実施した。慢性的足関節不安定性(CAI)を含む大学生アスリートを対象に検証を進め、一定の知見を日本体力医学会にてポスター発表することができた。特に、皮質脊髄路入出力特性の評価指標である傾き(Gain)が、足関節不安定性が高い被験者ほど(CAITが小さくなる)高くなっていることが明らかになってきた。 また、皮膚反射による評価を不安定な立位課題によって実施し、関節位置覚との関連性も検証した。その結果、慢性的足関節不安定性群(CAI)と健常群で不安定な立位課題に対する皮膚反射の応答パターンが異なることが明らかになり、この点をExperimental Brain Researchに掲載した。 パフォーマンス評価として、Star Excursion Balance Test(3方向:Yバランステスト)、サイドホップテスト、および8の字ホップテストを実施した。現状、一定数の大学生アスリートを対象に、各指標がCAITスコアによってどのように変容しているかを検証しつつある。まだ、一定の結果は認めていない。また、ワットバイクによる評価まで進むことができなかった。 機能構造学的評価として、大学生アスリートに対する足関節周囲(足部含む)の超音波画像評価を引き続き進めてきた。前距腓靭帯、踵腓靭帯、三角靭帯線維の連続性、ストレス下における不安定性、および骨棘等の変化を検証した。併せて、股関節、足関節のタイトネスを測定し、足関節捻挫再発につながる内的リスク要因を検証してきた。今後、引き続き各評価アプローチの関連性をさらに検証していく。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、神経生理学的手法として立位課題における皮質脊髄路興奮性の変容をCAI群で検証できたため、論文執筆につなげていく。 第二に、パフォーマンス指標アプローチ、機能構造学的評価アプローチに関して、これまでに一定のコホート集団(大学サッカー選手)においてStar Excursion Balance Test(Yバランステスト)、超音波画像評価(靭帯の連続性、骨変性等)、および関節可動域評価を実施できたため、併せて神経生理学的アプローチとの関連性を検証していく。 さらに、CAI群を含めた被験者群を対象にサイドホップテスト、および8の字ホップテスト、ワットバイクによるパフォーマンステストを進め、CAIに伴うパフォーマンス変化ならびに回復度合いを評価する。併せて、神経生理学的アプローチとの関連性を検証していく予定である。
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