研究課題/領域番号 |
21K11363
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
橘 香織 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80453025)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 車いすバスケットボール / クラス分け / 運動範囲 / 定量化 / 三次元動作解析 / 座位バランス |
研究開始時の研究の概要 |
2020年1月,国際パラリンピック委員会は車いすバスケットボール競技のIPCクラシフィケーション規程不遵守に対し,パラリンピック・パリ大会以降,実施競技から除外する旨を通達した.除外解除のためには,IPC規程に定められたエビデンスに基づく客観的クラス分けシステムの開発が急務である.本研究の目的は、車いすバスケットボールの競技スキルに影響を及ぼす動的座位バランスに着目し,現行のクラス分けの目安となっている“Volume of Action(以下、VOA)”(両手による支持なく体幹を動かしかつ直立位に戻ることができる最大限の範囲)を客観的な方法で評価する方法を検討することである。
|
研究実績の概要 |
【目的】車いすバスケットボール選手の運動範囲を定量化すること。 【対象】日本車いすバスケットボール連盟に選手登録している選手のうち、J公認(日本選手権出場経験があり、国内でのクラスが確定している選手。 【方法】競技用車いすおよびトレーナーベッド上端座位の2条件で、①30秒間の静的座位保持②動的座位バランス課題(前・後・左・右の各方向において、両手で持ったボールを下方から頭上まで動かし、最大限の範囲に達したら2秒保持した後、元の位置に向けてボールを下方へ動かす)を実施した際の動作を3台のカメラを用いて撮影し(120fps)、三次元ビデオ動作解析システムFrame-DIAS Ⅴを用いて各動作実施中のマーカー位置をデジタイズし、三次元DLT法を用いて身体基準点とボールの中心点の位置座標を抽出した。 その後、基準座標からボールへ向かう二次元ベクトルを計算し、前後方向は矢状面内で、左右方向は前額面内で、ベクトルの大きさと角度変化の範囲を算出した。 【結果と考察】①同じ動的座位バランス課題(ボールを両手で持って、矢状面内、前額面内でそれぞれできるだけ下方から頭上まで、体からできるだけ遠い位置を一定の速さで動かす)を行った場合、本人用の競技用車いすを用いた時よりもトレーナーベッド上端座位で行ったほうがそれぞれの運動範囲の差は明確になる。②ハイポインター(4.0/4.5)とローポインター(1.0/1.5)は矢状面内の運動範囲の違いで十分判別可能であった。③今回新しく国際クラス分けルールに加わった競技特異的スキルテスト(椅子またはトレーナーベッド端座位で行うもの)はクラス分けの判定に有用であることが示唆される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響もあり、計測がうまく進まない時期もあったが、初年度の計画をほぼ実行できている。データの解析に時間がかかるため、次年度もデータサンプリングと並行して解析を進めていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
①現在は矢状面及び前額面の運動範囲のみ計測しているが、水平面(座位での体幹回旋運動)における運動範囲を計測条件に加える必要がある。 ②国内大会では健常者の競技参加が進んでいるが、健常者のクラスの割り当てについてはまだ一定の見解が出ていない。本研究にて比較的障害が軽い選手と健常者の比較を行うことが一つのエビデンスの提供につながると思われるが、キネマティクス的な運動範囲の計測と合わせてどのくらいの荷重を座面や足部に加えているかを測定し、片側切断者と健常者の比較などを行う必要がある。 ③「運動範囲」というボールの軌跡のみならず、その際の体幹の代償的な動きやボールの動きの滑らかさ、などクラスの判定に有用な手掛かりを明確にしていきたい。 ④結果の信頼性を高めるために、より多くのデータ(できれば全国の選手)を集める必要があるため、二年目も感染対策に留意しながら測定を進めていきたい。
|