研究課題/領域番号 |
21K11389
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小野 くみ子 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (30467667)
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研究分担者 |
木戸 良明 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10335440)
小野寺 昇 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (50160924)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 水中運動 / 高強度インターバル運動 / 腎血流 / 中等度運動 / 健常成人 / 腎動脈血流 / 水中環境 / リカンベントエルゴメータ運動 / 糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓は臓器内最大の血液供給を受け、体液調整を行っている。陸上の高強度運動は腎血流量を低下させることが明らかになっており、腎血流量維持・増加の観点から運動療法の具体的な方法を検討することが重要となってくる。本研究の目的は、運動時腎血流量の観点から水中運動の利点を明らかにするために、水位の違いが安静座位時の腎血流量に及ぼす影響を明らかにすること、水中運動が高強度インターバル運動(HIIE)時の腎血流量に及ぼす影響について基礎的なデータを明示することである。陸上条件と比較して水中HIIE条件において腎血流量が保たれることが予想され、この結果は腎血流維持運動モデルの構築の基礎資料となり得る。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、水中での高強度インターバル運動(HIIE)が腎動脈血流動態に及ぼす影響を、中強度連続運動(MICE)および陸上運動との比較によって明らかにした。 健常若年成人男性9名を対象とし、インターバル1分間と最大下運動20秒間を10セット、合計13分20秒間行うH条件、中等度持続運動を13分20秒間行うM条件の2条件で、リカンベント型エルゴメータを用いて行った。環境条件は、水中(水位:剣状突起、水温:31.3±1.4℃)(W条件)と陸上(L条件)の2条件とした。これらを組み合わせて、合計4条件(WH条件、LH条件、WM条件、LM条件)とした。測定項目は、右腎動脈の血行動態(時間平均血流速度:Vm)、酸素摂取量(VO2)、心拍数(HR)、心臓副交感神経系活動(LnHF)、尿量であった。 運動中のVO2とHRは、運動強度条件内の環境条件間で有意差はなく、それぞれ同じ強度で運動が実施できたと言えた。Vmは条件間で有意差を示し、エルゴメーター上安静時は陸上安静時と比較して有意に増加し、運動直後はエルゴメーター上安静時と比較して有意に減少したが、4条件間の交互作用は認められなかった。LnHFは有意な交互作用を示し、LH条件では陸上安静時と比較して運動直後に有意に低下したが、他の3条件では有意差は認められなかった。WH条件では、入水後に有意ではないがLnHFが増加する傾向がみられ、この傾向はLM条件と有意差はなかった。尿量は、WM条件では運動前と比較して運動後に有意な増加が認められた。 HIIEは、異なる環境条件下では、腎動脈血流動態に有意な影響を与えなかった。一方で、WH条件では尿量が増加し、運動後のLnHF活性化を認めた。これらのことから、水中HIIEは中等度運動と比較して腎負荷と心臓副交感神経系活動に有意差なく実施可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、3段階の研究計画を立て進行する予定としていた。 第2フェーズである、若年健常成人を対象としたフェーズまではコロナ禍もあり、エアロゾルの発生する状況での運動を伴う研究計画が少し遅延したが、第3フェーズの研究計画を同時並行することによって、おおむね順調に進行していた。 一方で、最終(第3)フェーズとして糖尿病患者を対象にして研究計画を倫理審査する段階で安全面に数多くの指摘があった。そのため、研究計画を修正、倫理審査を複数回重ねたことによって、研究を進行することに大幅な遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
倫理審査委員会からの指摘に対し、安全面に配慮した研究計画となるように修正を進めるとともに、研究保険への加入などの調整も並行して実施し、安全面に最大限配慮した上で、研究を進めていけるように整えているところである。また、附属病院ならびに周辺の医療機関とも連携し、安全に実施できるための環境調整、など並行して実施できることを整えていき、倫理審査承認ならびに実施許可が出た際に速やかに研究遂行できるように多方面から進めていくこととする。
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