研究課題/領域番号 |
21K11397
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
馬場 猛 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (80366450)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | インスリン / 翻訳後修飾 / 2型糖尿病 / 心筋 / シグナル伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
タンパク質のニトロ化修飾は、疾患など酸化ストレス条件下で、タンパク質の機能障害をもたらすと考えられているが、シグナル伝達への関与は不明な点が多い。申請者は細胞内のインスリンシグナルにおいて解糖系酵素GAPDHのニトロ化、およびその後脱ニトロ化される知見を得ている。この事実は、シグナル伝達におけるニトロ化修飾の解明に最もふさわしい現象であり、この現象の詳細な検討によって時空間的にダイナミックなシグナル伝達の仕組みを解明できる。また2型糖尿病モデルラットを用いて、運動が及ぼすGAPDHのニトロ化修飾への影響を解析することで、糖尿病発症の遅延あるいは糖尿病の合併症予防に役立てることが期待される。
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研究成果の概要 |
解糖系酵素であるGAPDHは、心筋由来H9c2細胞株においてインスリン刺激依存的なリン酸化やニトロ化に伴いその酵素活性が亢進することをこれまで明らかにしてきた。本研究のH9c2細胞株によるGAPDH変異体発現解析系から、インスリンシグナルにおいてはニトロ化されたGAPDHのトリプトファン残基が自身の四量体形成に関与し、その結果解糖系酵素としての活性を上昇させていることが示唆された。細胞内シグナル伝達への関与に不明な点が多いタンパク質のニトロ化修飾が、本研究の知見により、シグナル伝達の制御に本質的な役割を果たしている可能性があることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により解糖系酵素GAPDHのニトロ化修飾がインスリンシグナルの制御に本質的な役割を果たすことがわかった。タンパク質翻訳後修飾の制御破綻が、癌、心血管疾患などの病因・病態に関与しており、ニトロ化修飾のシグナル伝達への影響解明は、ダイナミックな高次のシグナル伝達の仕組みを明らかにできるだけでなく、様々な疾患に対する新たな治療開発に結び付くことも期待される。また2型糖尿病モデルラットでは血糖値上昇時にGAPDHのニトロ化が亢進しないことを見出しており、今後このモデルラットを用いた運動の効果、特にニトロ化修飾への影響を検討し、糖尿病発症の遅延あるいは糖尿病が引き起こす合併症予防に役立てたい。
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