• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

四肢の体性感覚制御によるスプリントパフォーマンス改善の試み

研究課題

研究課題/領域番号 21K11410
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59020:スポーツ科学関連
研究機関相模女子大学短期大学部

研究代表者

笹田 周作  相模女子大学短期大学部, その他部局等, 教授 (80624824)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
キーワード疲労 / 体性感覚 / サイクリング / スプリント / 移動行動 / 中枢性疲労 / サイクリングパワー / 反射 / ニューロモジュレーション
研究開始時の研究の概要

短距離走などのスプリント運動後半に生じる疲労の一部は,脳や脊髄から筋へ伝達される下行性指令の機能低下に起因する.この下行性指令の機能低下は筋等より生じる感覚信号(体性感覚)の減弱がその一因である.本研究は,四肢へ人工的な体性感覚を付加することで,下肢スプリント性運動の疲労を軽減する事が出来るか否かを明らかにする.これを実現できれば,アスリートのスプリントパフォーマンスを改善できるだけではなく,スプリント性全力運動の疲労に対する四肢体性感覚の役割を明らかにし,中枢神経系のトレーナビリティーの視覚化やトレーニングの確立といったスポーツ科学における新たな分野の創造につながる可能性がある.

研究実績の概要

短距離走などのスプリント運動後半に生じる疲労の一部は,中枢神経系から筋へ伝達される下行性指令の機能低下に起因する.この下行性指令の機能低下は体性感覚の減弱が一要因と考えられるため,本研究では人工的に体性感覚を惹起する事で全力サイクリング中の疲労を軽減する刺激方法の検討を行っている.2023年度は筋の収縮や伸長をコードしている筋紡錘の活動電位を惹起する振動刺激を全力サイクリング運動中の両下肢に与えることで,パフォーマンスの改善が生じるか否かを検討した.小型の振動刺激装置を両前脛骨筋遠位部全面の足関節付近に固定した.この刺激部位は前脛骨筋を中心とした足関節背屈筋群の筋紡錘活動を惹起する事が可能であり,これにより生じる体性感覚情報は膝関節伸筋群の活動を促進すると考えられている.振動刺激の周波数は100Hzであった.被験者は5分間のウォームアップ後に,10秒間の全力努力スプリントサイクリングを連続で2試行(30s休息)実施した.実験条件は刺激有及び刺激無条件の2条件で,刺激有条件はサイクリングの2試行目,スタート後5-10秒の区間で与えた.刺激無条件は刺激装置を装着し,2試行ともに刺激を与えなかった.サイクリングの負荷は0.02kp/ kg body weightであった.7名の被験者でテストしたところ,4/7名において1試行目と比した2試行目の平均パワーが改善した.これまでは連発電気刺激を用いて体性感覚を惹起していたが,電気刺激の場合は刺激装置の装着に時間がかかる事,そして装着部位を選定する際に専用の機器が必要であるという短所があった.振動刺激で疲労を軽減出来れば,より現場レベルで使用しやすい手法の開発につながるという点で,有益な結果であった.一方で,刺激の効果は有意ではなく,より確実に効果をもたらす刺激方法の工夫が必要と考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2023年度は両下肢に対する振動刺激の知見を基に,その後に上肢への刺激及び上下肢の組み合わせ効果について検討を行う予定であった.両下肢への振動刺激は一部有益な結果を得たが,有意差を得るに至らず,より効果的な実験条件を探索する必要に迫られた.有意差が得られなかった理由の1つとしては,トレーニング効果の影響が考えられた.2つの実験条件を別日に実施したが,多くの被験者で刺激の有無にかかわらず1日目より2日目のパフォーマンスが向上していた.このような短期的トレーニング効果は日常的に運動を行っていない場合確認されることが知られており,振動刺激の効果はこのトレーニング効果によってマスクされている可能性がある.被験者の運動習慣を確認したところ,運動習慣のない者が大半であったため,運動習慣のある被験者を募集したが,十分な被験者数を集めることが出来ず,計画の遅延につながった.
上肢への刺激,及び上下肢の組み合わせ実験の実施に至らなかった為,「遅れている」と評価した.

今後の研究の推進方策

2023年度の結果を踏まえ,①トレーニング効果を可能な限り小さくする方策と②トレーニング効果を利用する方策を準備し,研究の推進を図る.
①トレーニング効果を可能な限り小さくする方策:1)被験者の選定を行い,体育会のクラブ活動など日常的に強度の高い運動を行っている被験者を募る.2)被験者が十分に集まらず,運動習慣の無い被験者集団で実験を行う場合は,心理的超越努力によるパフォーマンスの回復が生じない程度まで事前の実験慣れを十分に実施しする.
②上記の①が難しい場合は,トレーニング効果そのものを対象として,刺激の効果を検証していく.運動習慣の無い被験者を刺激有群と刺激無群に分け,トレーニング毎のパフォーマンス変化を比較する事で,刺激の効果を明らかにする.

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 経頭蓋直流電気刺激による最大努力踏み台昇降ステッピングパフォーマンスの改善2022

    • 著者名/発表者名
      笹田 周作, 石井 智也, 小林 優里, 清水 菜央, 小宮山 伴与志
    • 雑誌名

      体力科学

      巻: 71 号: 2 ページ: 239-247

    • DOI

      10.7600/jspfsm.71.239

    • ISSN
      0039-906X, 1881-4751
    • 年月日
      2022-04-01
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 脊髄直流電気刺激によるサイクリング運動中の総腓骨神経反射振幅増大2023

    • 著者名/発表者名
      笹田周作、石井智也、遠藤隆志、小宮山伴与志
    • 学会等名
      日本運動生理学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 脊髄直流電気刺激によるサイクリング中の総腓骨神経反射振幅増大2021

    • 著者名/発表者名
      笹田周作
    • 学会等名
      第29回日本運動生理学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 繰り返しのスプリント運動間に与えられる経頭蓋直流電気刺激は スプリント運動パフォーマンスを改善する2021

    • 著者名/発表者名
      笹田周作
    • 学会等名
      第76回日本体力医学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 人工体性感覚の付加による スプリントサイクリングパワーの改善2021

    • 著者名/発表者名
      笹田周作
    • 学会等名
      第9回日本スポーツ健康科学学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi