研究課題/領域番号 |
21K11438
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
立谷 泰久 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ医学研究部門, 先任研究員 (10392705)
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研究分担者 |
平木 貴子 日本大学, 経済学部, 講師 (00392704)
宇土 昌志 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (10648588)
村上 貴聡 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 教授 (30363344)
荒井 弘和 法政大学, 文学部, 教授 (30419460)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | メンタルトレーニング / トップアスリート / 指導者 / 心理的競技力 / 心理的能力 |
研究開始時の研究の概要 |
・JISS競技心理検査の内容を基にして、トップアスリートまたはトップアスリートになるための新たなメンタルトレーニング(MT)プログラムを開発する。 ・個々が取り組める形式として、本プログラムの教材(テキストやワークブックなど)を作成する。また、e-learningや動画などWebサイトを通して実施できるようにICT(情報通信技術)を活用する。 ・開発した本プログラムを試行して、効果を検証し、実用化する。
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研究実績の概要 |
今年度は、昨年度にトップアスリートのメンタルトレーニングプログラムを開発するために、トップアスリートの指導者6名を対象に「トップアスリートに必要な心理的要素とは?」についてインタビュー調査を行ったものを分析し、学会発表を行った。 インタビュー調査の内容は、6名の指導者にJISS競技心理検査(J-PATEA、1)心理的スキル:①自己コントロール、②集中力、③イメージ、④自信、2)自己理解:⑤一貫性、⑥自己分析力、⑦客観性、3)競技専心性:⑧目標設定、⑨モチベーション、⑩生活管理の3尺度10因子を測定)を事前に説明し、「この10因子の中でトップアスリートになるために何が重要なのか、それを向上させるためにはどのようにしたらいいのか」等であった。 最初にJ-PATEAの10因子の重要度順を尋ねた結果、⑧目標設定を最も重要と位置付けた者が4名いた。また対象者は、いずれの心理的能力(10因子)も重要であり、各因子に結びつきがあると報告した。つまり、10因子のいずれもトップアスリートにおいて重要な要素であると認知し、いずれかを高められれば、他の心理的能力も高められる可能性が示唆された。 さらに内容を整理すると、1)心理的スキルの向上方略では、実践場面で①自己コントロールを多数経験し、「良い内容」の③イメージを作り、結果を出しながら④自信を築き上げる等の実践の積み重ねの必要性が示唆された。次に2)自己理解の向上方略では、「心理指標の利用」、「オープンクエスチョンでの声かけ」等との関連が窺われる内容があった。さらに、3)競技専心性の向上方略では、⑧目標設定では、数年後への自分自身の期待や、自主的な取り組みを助ける知識・視点の提供や必要性の意識づけを志向する関わりが有効であることが窺われた。今後はこれまでに具体的に得られた方略を考慮しながら、実用的な形へと体系化し、効果検証していくこと予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の活動の実績としては、前年度に収集し6名の指導者を対象としたインタビュー調査のデータを分析し、日本スポーツ心理学会で発表を行った。データを分析していくと、JISS競技心理検査(J-PATE)の10因子の全てがトップアスリートには重要であり、また、これらは全て関連してくるものという示唆を得ることができた。 また別の研究結果において、J-PATEAとK10(メンタルヘルスを測定する検査)の関連性についても行っており、その分析では「自己コントロール能力が高いと、メンタルヘルスの問題が低い」という相関がみられた。言い換えると、本研究で実施しているJ-PATEAの因子の向上方略を行うことが、良好なメンタルヘルスにつながる可能性があり、メンタルトレーニングプログラムの開発は、トップアスリートにとって非常に有効なものということが言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、合計9名の指導者のデータを分析し、一昨年・昨年と学会発表を行った。今後は、これらのデータの分析をさらに進め、論文化を目指す。また、これまでのデータは指導者のみなので、アスリートのデータも収集することも考えている。ただ、トップアスリートにおいては、オリンピック等のビックイベントの開催時期を考慮しながら、データ収集に努めていきたい。今後は、J-PATEAの心理的競技力(10因子)を向上させるためのメンタルトレーニングプログラム(仮)を作成することを考えている。
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