研究課題/領域番号 |
21K11439
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 敦 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20572332)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アンドロゲン / 骨格筋 / 筋力増強 / パイオニア因子 / 核内受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢化社会を迎えた本邦における健康寿命の延長は社会的に喫緊の課題である。要支援の主な原因となる転倒/骨折を予防するためには筋力強化が重要である。現在のところ、筋力を強化する代表的な分子はアナボリックステロイドであるアンドロゲンであるが、心血管イベントを中心に多様な副作用リスクを有し問題である。本研究では、このアンドロゲンが骨格筋に影響を与える分子メカニズムを、主に遺伝子発現メカニズムに着目して詳細に解析する。本研究の成果は、将来的にはサルコペニアなどの筋力低下疾患に対する副作用の少ない治療法開発につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
超高齢化社会を迎えた本邦における健康寿命の延長は社会的に喫緊の課題である。要支援の主な原因となる転倒/骨折を予防するためには筋力強化が重要である。現在のところ、筋力強化に資する代表的な分子はアナボリックステロイドであるアンドロゲンであるが、心血管イベントを中心に多様な副作用リスクを有し問題である。アンドロゲンはアンドロゲン受容体(AR)を介してその作用を発揮する核内受容体である。ARをはじめとする核内受容体は、これまでリガンドと結合することでDNA上の結合配列に結合し標的遺伝子の発現を制御すると考えられてきた。だが近年、これらの結合配列近傍には“パイオニア因子”と呼ばれる別の転写因子群が存在し、核内受容体の組織特異的な転写調節能を規定していることが明らかとなってきた。しかしながら、骨格筋におけるARのパイオニア因子の詳細は全く不明である。この因子は骨格筋のアンドロゲン応答能を規定していると予想される。そこで本研究では、新たなプロテオミクスの手法を導入することで、骨格筋細胞におけるARのパイオニア因子を同定・解析することを目的としている。本研究の成果はサルコペニアなどの筋力低下疾患に対する副作用の少ない治療法開発につながることが期待される。 本年度の実験では、昨年度に樹立したマウスC2C12細胞由来のアンドロゲン応答能を獲得した細胞C2C12-AR細胞を用いて、RIME法による相互作用因子の網羅的取得を行った。これらの取得した因子の中には目的の骨格筋特異的なARパイオニア因子が含まれている可能性があり、今後機能解析を行いこれを同定したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の実験では、昨年度に樹立したマウス由来筋芽細胞C2C12細胞由来のC2C12-AR細胞を用いてRIME(Rapid immunoprecipitation mass spectrometry of endogenous proteins)法による網羅的な相互作用因子の精製・同定を行った。10 cmディッシュ5枚分のC2C12-AR細胞をコンフルエントの状態にし、3%ウマ血清を含むDMEM高グルコース培地で2日間培養した後に、10 nMのDHT刺激を6時間行った細胞をホルマリン固定の後に回収した。細胞から核を単離し、DNAを超音波破砕した細胞核抽出液より抗AR抗体を用いた免疫沈降を行い、得られたサンプルをオンビーズでトリプシン消化した。消化後のペプチドをLC-MS/MSにて解析したところ、AR相互作用候補因子として472種類のタンパク質を同定することに成功した。これらの取得した因子の中には目的の骨格筋特異的なARパイオニア因子が含まれている可能性があり、今後機能解析を行いこれを同定したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度からは、本年度に同定されたタンパク質群の中から、目的の骨格筋特異的ARパイオニア因子を同定したいと考えている。そのためには、さらなる絞り込みを行う必要があり、まずは再現性よく同定できる因子を抽出するために、RIME法によるプロテオミクス実験を再度行う。同定された因子群の中から、既存のヒストン修飾酵素、ATP依存性クロマチンリモデリング酵素等の転写共役因子を除外し、DNA結合ドメインを有する因子をARパイオニア因子候補として抽出する。続いてこれら遺伝子を樹立した細胞株においてゲノム編集による遺伝子ノックアウトを行いアンドロゲン応答遺伝子誘導への影響を評価する。これにより、筋管細胞特異的なARパイオニア因子の絞り込みを行う。絞り込みが完了した後には、ARや新規パイオニア因子の抗体を用いたChIPシークエンス解析を行い培養筋管細胞内、もしくはマウス筋肉組織内におけるアンドロゲン応答遺伝子付近へのリクルートを確認する。これにより、骨格筋におけるARのパイオニア因子とARの標的遺伝子を網羅的に同定していきたいと考えている。
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