研究課題/領域番号 |
21K11445
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 立命館大学 (2022) 神戸大学 (2021) |
研究代表者 |
為井 智也 立命館大学, 理工学部, 准教授 (40548434)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マルチラベル分類 / シナジー / 言語インストラクション / モーションキャプチャ / 筋電位 / 機械学習 / 運動課題 |
研究開始時の研究の概要 |
スポーツなどの運動学習において,言語によるインストラクションが頻繁に行われる.しかし,言語による表現は無数に存在しうる上に,一般的には全く異なる意味を持つ表現が,運動指導の文脈ではほぼ同じ意味で使われることがしばしばある.個々のスポーツ特有の比喩的な表現も多い. 本研究では,学習者の運動フォーム(モーション)に対して指導者が言語インストラクションを与えるというプロセスを,機械学習の問題としてモデリングすることで,多様なインストラクション表現間の意味関係を抽出し可視化・体系化を行う.また,学習者のモーションを入力すれば,それに合わせた言語インストラクションを出力するAIエージェントの開発も試みる.
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研究実績の概要 |
本研究は,運動指導における多様なインストラクション表現の意味関係を体系化することを目指している.指導者が学習者のフォームのどこ(どのような身体部間の連動)を見てインストラクションを行っているか,を明らかにする必要があると考えている.そのためには,効率的に運動データを集め,学習者に共通/非共通のシナジー(身体の各部位の協調)を抽出し比較する必要がある. 今後リモートによる運動指導システムの需要が高まることを予想し,前年度に引き続いて,複数の安価なwebカメラで撮影した動画から,3次元モーションを再構築しデータを蓄積する課題に取り組んだ.前年度に開発したシステムを改良し,協力を引き受けてくれたランニングショップにおいて,トレッドミル上でのランニングフォームの計測・収集を試みた.結果として,安定的に運用することができ,レベルの違うランナー複数人のデータを収集することができた.また,収集されたモーションデータからモーションシナジーの抽出を行い,ランナー間での比較を行った. また,シナジーと運動学習の関係を捉えるためには,シナジーの発現や発達についての知見を得ることが必要と考え,新生児の歩行発達の筋活動データの解析も行った.生後4~18週の乳児1名を対象に計測した筋活動から, 筋シナジーを非負行列因子分解(NMF)を用いて抽出した.その結果,原始反射の一つである原始歩行の消失前後で変化するシナジーと,構成する筋肉は維持されるが活性化の開始タイミングが変化するシナジーがあることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍が長引いたため被験者実験が行いづらかったことや,代表者の異動により研究環境を整えるのに時間が掛かってしまったため,全体の進行はやや遅れている.しかし,新生児の筋シナジーの発現や発達についの新たな知見が得られたことは,当初の見込みを超えるものであり,本課題のこれからの進展に役立つことが期待される.
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今後の研究の推進方策 |
モーションからインストラクションを推定する問題においては,シナジー(身体の各部位の協調)抽出とスパースモデリングを組み合わせて使用し,指導者が学習者のフォームのどこ(どのような身体部間の連動)を見てインストラクションを行っているかを明らかにする.モーションキャプチャで計測した学習者のモーションを入力すれば言語インストラクションを出力するAIエージェントの試作,妥当性の検討を行う. また,新生児の歩行発達の筋活動データの解析も深化させ,シナジーの発現や発達についての更なる発見を目指す.シナジーと運動学習の関係を深く捉えることで,インストラクションを推定のアルゴリズムのブラッシュアップに役立てていく.
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