研究課題/領域番号 |
21K11466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐藤 幸治 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20584022)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 炎症 / 2型糖尿病 / 肥満症 / 性ステロイドホルモン / 糖代謝 / 骨格筋 / 免疫調節システム / 糖尿病 / 予防 / 性ステロイド / 運動 / 栄養 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はこれまでに、糖尿病モデルラットにおいて、運動後の血糖値の低下に炎症反応を制御するオンコスタチンM(OSM)の増加が骨格筋糖代謝調節経路の活性化に関与していることを網羅解析により明らかにしている。本研究では、血中の性ステロイドホルモン濃度を増加させる運動トレーニング並びに性ステロイドホルモンの前駆体であるDHEA摂取が、OSMの増加を介して2型糖尿病の予防・改善に関与していると仮説を立て、骨格筋細胞培養を用いて仮説検証し、肥満症・2型糖尿病予防のための新たな生活習慣の改善策を提示する。本研究の成果は、超高齢社会における医療費削減、健康寿命延伸という社会的課題の解決への展開が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、2型糖尿病予防に向けた新規骨格筋糖代謝調節経路を確立するために、細胞培養実験を用いて以下の点を解明することを目的としている。 「新規の骨格筋糖代謝調節システムの同定:肥満や2型糖尿病に由来する炎症性サイトカインや酸化ストレスの増加によるOSMの低下が、骨格筋糖代謝調節経路の活性化抑制に関与することを示すとともに、性ステロイドホルモン投与によるOSMの増加が、骨格筋糖代謝調節経路を亢進するか否かを確かめる。」
今年度は、炎症作用等を有するオンコスタチンM(OSM)を遺伝子導入によりノックダウンさせ、骨格筋糖代謝調節経路および、骨格筋の糖取り込みへの影響を検討した。遺伝子導入は、OSM抑制のためのshRNAプラスミドベクターを骨格筋細胞に導入し、インスリンや性ステロイドホルモンの前駆体であるデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)を増加させる栄養成分であるトゲドコロ芋の粉末を骨格筋細胞に添加し、24時間後細胞を回収しWestern Blotting法により、骨格筋の糖代謝調節経路活性及び糖取り込みを検討した。OSMを欠損させた骨格筋細胞において、インスリンを添加すると、通常の骨格筋細胞と比較し、骨格筋糖代謝調節経路の活性や糖取り込みは有意に亢進していることが明らかとなった。また、トゲドコロ芋粉末の投与により、通常の骨格筋細胞のOSMの発現は抑制され、骨格筋糖代謝調節経路の活性や糖取り込みはOSMを欠損させた骨格筋細胞と同様に亢進した。 これらは、ストレス(高強度の運動や日常生活)によるOSMの増加は、下流のシグナル因子であるSTAT3のリン酸化活性を亢進し、骨格筋糖代謝活性を抑制させる可能性が示唆され、肥満や2型糖尿病の発症にOSMの増加が関与している可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では予定通り炎症作用等を有するオンコスタチンM(OSM)を遺伝子導入によりノックダウンさせ、性ステロイドホルモンの前駆体であるデヒドロエピアンドロステロ(DHEA)を増加させる栄養成分であるトゲドコロ芋の粉末を細胞に添加し、骨格筋糖代謝活性や当取り込みへの影響を検討できた。
骨格筋への電気刺激による影響は、まだ検討中であるが、最終年度には終了できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、現在、条件検討を行っている、オンコスタチンM(OSM)を遺伝子導入によりノックアウトさせた細胞に電気刺激をして筋収縮させ、OSM発現の有無が筋収縮による糖代謝調節経路への影響を検討する予定である。細胞は、電気刺激24時間後に回収し、課題1と同様に、骨格筋糖代謝調節経路活性や糖取り込みへの影響を検討する予定である。
さらに、インスリン産生がない、1型糖尿病とOSMの関連を明らかにすることで、運動が血糖値や骨格筋糖代謝へ及ぼす影響に関して検討することで、血糖コントロール悪化の機序を解明することも検討する予定である。
現在、論文を執筆中であり、今年度中に投稿予定である。
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