研究課題/領域番号 |
21K11487
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
三谷 保弘 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (50567071)
|
研究分担者 |
木村 佳記 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (00571829)
小柳 磨毅 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (20269848)
山田 大智 大阪大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (60858562)
松尾 高行 大阪行岡医療大学, 医療学部, 教授 (80643593)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 膝蓋骨 / 膝蓋腱 / 超音波画像診断装置 / 三次元動作解析装置 / ジャンパー膝 / 膝蓋腱付着部症 |
研究開始時の研究の概要 |
膝蓋腱付着部症は、膝蓋骨後傾角の増大に伴う膝蓋腱の応力集中が発生要因とされている。しかし、スポーツ動作における膝蓋骨後傾角は明らかでなく、スポーツ動作に起因する膝蓋腱付着部症の発生メカニズムの解明には至っていない。本研究では、超音波画像診断装置と三次元動作解析装置を併用した膝蓋骨後傾角の新たな計測法を確立し、スポーツ動作における膝蓋骨後傾角の特徴を明らかにする。また、膝蓋骨付着部付近における膝蓋腱の応力を推定するために組織弾性を計測し、膝蓋骨後傾角と膝蓋腱の組織弾性との関係性を明らかにする。この研究によってスポーツ動作に起因する膝蓋腱付着部症の発生メカニズムを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
膝蓋腱症(ジャンパー膝)は、膝蓋腱に加わる過度な伸張負荷や膝蓋骨後傾角の増大が発生要因の一つと考えられている。なかでも膝蓋骨後傾角の増大は、膝蓋腱の膝蓋骨付着部付近に応力が集中するとされている。これらのことから、膝蓋腱長や膝蓋骨後傾角の計測は、膝蓋腱症の発生メカニズムを検討するうえで重要となる。従来から矢状面のX線画像において膝蓋腱長(膝蓋骨下極と脛骨粗面との距離)と膝蓋骨後傾角(膝蓋骨上極と膝蓋骨下極を結ぶ線と、膝蓋骨下極と脛骨粗面を結ぶ線のなす角)が計測されてきた。ただし、X線画像を用いた計測は頻繁に行うことができないため、我々は超音波画像診断装置と三次元動作解析装置を併用し、膝蓋腱長と膝蓋骨後傾角を計測する方法を考案した。 考案した新たな計測方法の信頼性を検証するために、予め距離と角度を設定した3つのランドマークに対して計測を行った。その結果、ランドマーク間の距離と角度の計測誤差は僅かであり、再現性のある計測方法であることが明らかとなった。さらに、生体での計測に先駆け、骨模型に対して本計測方法にて膝蓋腱長と膝蓋骨後傾角を計測したところ、検者間の誤差が小さく信頼性が高いことが示唆された。これらのことから、超音波画像診断装置と三次元動作解析装置を併用することで、膝蓋腱長と膝蓋骨後傾角の計測を可能とし、高い信頼性が得られると推察された。 現在、生体での計測を進めており、MRIにおいて異なる膝関節屈曲角での膝蓋腱長と膝蓋骨後傾角を計測し、我々が考案した計測方法との計測値の違いについて検証している。今後、対象者を増やし本計測方法の信頼性と妥当性を明らかにするとともに、膝蓋腱症の発生メカニズムについて検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々は、超音波画像診断装置と三次元動作解析装置を併用することで、膝蓋腱長と膝蓋骨後傾角を計測する方法を考案した。予め距離と角度を設定した3つのランドマークに対して計測を行った結果、ランドマーク間の距離と角度の計測誤差は僅かであり、再現性のある計測方法であることが明らかとなった。また、骨模型に対して膝蓋腱長と膝蓋骨後傾角を計測したところ、検者間の誤差が小さく信頼性が高い計測方法であることが示唆された。これらランドマークや骨模型に対する検証は順調に進めることができたが、生体での計測は医療機関の協力も必要としたことから、長期化した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、研究の進行に遅れが生じた。現在は、医療機関との調整が進み、生体での検証が進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
超音波画像診断装置と三次元動作解析装置を併用した計測方法は、ランドマークと骨模型に対する計測において高い信頼性が得られた。今後、生体における膝蓋腱長と膝蓋骨後傾角の計測を行い、その信頼性と妥当性を検証する。現在は、生体においてMRIでの計測値と考案した計測方法の計測値との比較を進めており、対象者を増やして検証する予定である。また、膝蓋腱症の症例において同様の計測を行い、膝蓋腱症の発生要因についても検討する予定である。得られた研究成果は、関連する学際領域において学会発表ならびに論文投稿へと進める。
|