研究課題/領域番号 |
21K11496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
梅澤 秋久 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (90551185)
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研究分担者 |
村瀬 浩二 和歌山大学, 教育学部, 教授 (90586041)
大橋 さつき 和光大学, 現代人間学部, 教授 (60313392)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 評価の三角形 / 体育 / CBA / AARサイクル / リフレクション / 形成的アセスメント / 共生 |
研究開始時の研究の概要 |
全ての人/社会のWell-beingがこれからの教育の目的である。日本の教育においても持続可能な社会形成に向けた資質・能力育成及び主体的・対話的で深い学びが希求された。また,高度情報技術の進展に応じた学習評価の充実による教育システムの再構築が課題とされている。具体的には,①認知,②観察,③解釈の「評価の三角形」への情報技術の活用研究が喫緊の課題である。さらに,希求される「共生体育」での高度情報技術を活用した学習評価に関する研究は国内外においても散見されない。 本研究では共生体育での認知・観察・解釈の「評価の三角形」においてCBAを実践し,その効果と具体的な活用方略を実証的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
評価の三角形について体育分野の実技においてパフォーマンスがオープンエンドである場合が多く,情報技術によって「観察」が精緻になることで,学習者の主体的な学びと評価(解釈)を誘発しやすくなると考えられた。一方,本研究では「技名」(例えば,開脚前転等)が例示される器械運動領域であり,比較的クローズドエンドの領域であった。そのため,正解に近しい見本と自身の運動パフォーマンスとのすり合わせによる「観察」と「解釈」がなされたと考えられる。 本研究における「評価の三角形」では,証拠中心の社会において一人一台端末における器械運動のAARサイクルの学習の中で,自身の運動パフォーマンスを観察,解釈し,その運動領域における知識や技能を表現し,能力を伸ばしていく方略である。その能力育成に資する学びのプロセスの個別のデータ・エビデンスとして,本研究のPowerPoint データが活用できることが示唆された。他方で,教師側としては,高度情報技術によるCBA(Computer Based Assessment)にて,①観察機会の多様化,②見たい認知過程や解釈規準の明確化,③解釈結果を次の学習テーマ策定,④カリキュラム・マネジメントへの活用といった指導と評価の一体化に繋げることが必要だといえよう。とかく自己調整学習格差に着目し,ただ運動しているという深い学びに至っていない学習者への支援は不可避である。また,解釈規準の明確化はパフォーマンスデータとして蓄積され,学習者の振り返り及び教師の省察の視点として活用できると考えられる。さらに「観察」するパフォーマンスデータは蓄積可能であるため,アカウンタビリティにおける「証拠中心デザイン」に活用可能である。すなわち,保護者らステイクホルダーへの学習状況の質的な説明責任を果たすための方略を創発できよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度は,新型コロナウイルスの対応で,体育での協働的な学びの場面が限定されたが,本年度は多少の緩和がなされ,実践研究に取り組むことができた。「評価の三角形」は学習者主導のAARサイクルを基盤とし,そのReflection場面で観察と解釈が重要になることが明らかとなったのは,大きな成果である。昨年度の遅れを取り戻しつつあるため,「概ね順調」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
「評価の三角形」におけるクローズド・スキルに関する学習者の傾向は考察できた。他方で,オープンエンドなパフォーマンス課題において,学習者の解釈と認知の場面の構造が明確になっていないのは,研究上の課題である。3年次に明確にしていくべき点だと考える。 また,共生社会における体育の学びの在り方を検討するなかで,ウェル・ビーイングの視点を重視する必要があると考えている。心理的・身体的・社会的に「よい」状態に資するための評価の在り方について並行して検討していく。
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