研究課題/領域番号 |
21K11502
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
儀間 裕貴 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (50708039)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 低出生体重 / 自発運動 / 可聴化 / 新生児 / 乳児 / 低出生体重児 |
研究開始時の研究の概要 |
『新生児・乳児期初期における全身性自発運動(General Movements;GMs)を可聴化し,その音声特性を利用した早産・低出生体重児の発達支援手法を開発する』ことが,本研究の目的である.申請者がこれまでに蓄積した乳児期初期の四肢自発運動3次元座標データ(約200名分)を使用し,運動の速度,躍度,相関等の指標を音響パラメタ(音量,音高,音色など)に関連付け,GMsを音として表現(可聴化)する.また,GMsの増加・促進につながる「GMs促進音」を作成し,これを早産・低出生体重児の自己身体運動に同期した聴覚フィードバックとして提供して,感覚運動経験の促進,発達支援としての効果を検証する.
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研究実績の概要 |
本研究では,早産・低出生体重児を能動的に動いて発達する主体として捉え,自己の身体運動に同期した音声をリアルタイムな聴覚フィードバックとして提供することにより,児の全身的な自発運動を増加・促進することを目指している.令和4年度は,取得した生後1~3ヵ月齢児における四肢自発運動の3次元座標データを使用し,これを音響信号に変換(可聴化)することに取り組んだ.特に,後の良好な運動発達を予測するとされる運動の特性(Fidgety movements)を表現する「音」を作成することができた.また,令和4年度は最終的に介入の対象としている早産・低出生体重児の運動発達の特性について把握するため,乳児期初期の自発運動特性と修正3歳時点の運動発達特性の関連について検討した.その結果,乳児期初期の自発運動(Fidgety movements)に異常性を認めた時では,後の粗大運動の発達が遅れる傾向にあることが明らかとなり,発達支援において促すべき運動の基礎的な知見を得ることができた(Association between General Movements Assessment and Later Motor Delay (excluding Cerebral Palsy) in Low-Birth-Weight Infants,Brain Sciences,2022).また,以下の論文においても研究成果の一部を掲載した(①Relationship between fidgety movement and frequency of movement toward midline: An observational study .Early Hum Dev, 2023,②赤ちゃんの自発的な運動・行動の特性からみえるもの-低出生体重児の発達支援を目指して-,ベビーサイエンス,2023).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は,満期産で出生した1~3ヵ月齢児30~40名を対象に,GMs音の聴覚入力の有無やパラメタ(音量,音高,音色など)調節が自発運動の量や質におよぼす影響を検証することを目標としていたが,四肢運動データから算出した速度,運動単位数,躍度,運動の同時性(相関)等の指標を音響パラメタ(音量,音高,音色など)に関連付けるパラメタマッピング可聴化の手法が予想以上に難航し,特に,後の良好な運動発達を予測するとされる運動の特性(Fidgety movements)を表現する「音」の作成に時間を要した.令和5年度は,作成した音源を利用し,その音を聴くことが乳児の自発運動特性におよぼす影響,養育者や運動評価者が聴いたときにもつ印象などについて継続して検討を進めていく.
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今後の研究の推進方策 |
身体運動可聴化技術に詳しい研究協力者へ助言を積極的に仰ぎ,特に,後の良好な運動発達を予測するとされる運動の特性(Fidgety movements)を表現する「音」を作成することに成功した.研究計画当初は,この方法によってつくられる音を早産・低出生体重児にリアルタイムな聴覚フィードバックとして提供することにより,自己の身体運動に同期した音を児の全身的な自発運動を増加・促進することを目指した.しかし,作成した音がFidgety movementsを鋭敏に反映したものとなっており,乳児の自発運動特性を観察によって評価する専門家の補助データとできる可能性が出てきた.また,乳児期初期の自発的な運動・行動の特性に関する検討を進めた結果,やはり乳児期初期の自発運動特性を詳細かつ適切に評価することは,後の神経学的な発達を予測する上で非常に重要であることが示唆された.よって,今後の研究では,作成した音を自発運動特性の評価ツールとして使用できる可能性についても検証していく予定とする.得られた成果は,関連学会や論文等を通じて広く発信する.
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