研究課題/領域番号 |
21K11503
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
松本 直幸 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (00252726)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 咀嚼 / ストループ干渉 / 動的認知機能課題 / fNIRS / 二重課題運動 / 2-back課題 / 認知機能 / 足踏み運動 / しりとり / 一過性運動 / 食品機能性 / 心拍変動 |
研究開始時の研究の概要 |
多忙な社会において、限られた時間の中でどのような身体活動が、心身の健康や認知的作業の効率改善に有効であるかを示すことは、これからの「新しい生活様式」を考える上で、「身体活動」が不可欠であることを示す重要なエビデンスとなる。本研究では、短時間で実施可能な特性の異なる4種の運動について、その事前実施がどのようなタイプの認知機能課題の効率改善に有効かを検証する。さらに、運動前に摂取する食品が、認知作業に対する運動効果をどのように修飾するのかを明らかにすることを目的として実施する。これにより、生活習慣の基本を成す「運動」と「食」の相互作用に関する知見を蓄積する。
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研究実績の概要 |
本研究は、どのような運動がどのタイプの認知機能の改善に有効かについて検証することを目的としている。2022年度は事前に行う咀嚼運動が、身体動作を伴う認知機能課題に及ぼす影響を検証した。 研究対象者は女子大学生27名とし、対照条件(座位安静)と咀嚼条件(ガム咀嚼)の2条件を設けた。2種の認知機能課題を各条件の前後(プレとポスト)に実施し、成績の変化を条件間で比較した。机上で行うストループテストでは、中立・一致・不一致試行の反応時間と正解数、およびストループ干渉量(中立と不一致試行の反応時間の差分)を、視機能トレーニング装置を用いる刺激検出課題では、パネル上のボタンが点灯してから押すまでの運動時間、および正解数を評価した。ストループテストを用いる場合は、前頭前野の血流量も経時的に測定した。 ストループテストでは、咀嚼条件における反応時間が、中立試行と不一致試行において、ポストで有意な短縮が見られた(いずれもp < 0.05)。ストループ干渉量は、両条件ともに有意な変化は見られなかった。刺激検出課題では、両条件ともに運動時間と正解数に有意な変化は見られなかった。また、ストループテストにおける前頭前野の血流量は、両条件ともに介入後に有意な増加が見られた(対照 p < 0.05 , 咀嚼 p < 0.01)。さらに咀嚼条件では、右前頭前野での血流増加が対照条件より有意に大きかった(p < 0.05)。以上より、ストループテストの反応時間短縮は、咀嚼により前頭前野が活性化し、全般的な注意の増加、あるいは覚醒度の上昇によることが示唆された。一方、刺激検出課題では、パネルとの距離や視線の高さを対象者の最適値に合わせることに限界があり、その結果、運動時間のばらつきが大きくなり、有意な変化が検出できなかった可能性が示唆された。今後、測定精度を高める工夫が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響もあり実験協力者のリクルート、および実験日の設定が想定通りに進まなかった。また実験のスループット改善のために購入を考えていた心拍変動装置が、予算額が減額となった影響で購入できなかったことも影響している。 また研究実施者の体調不良により一時期治療に専念したことも一因である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の実験において、動的認知機能課題として用いた視機能トレーニング装置での刺激検出課題は、パネル(120cm×90cm)の前に立ち39個のボタンの内いずれかがランダムに点灯するので、それを手で押すというものであった。「パネルに対する目線の高さを踏み台を用いて揃える」「立つ位置のパネルからの距離は、外側のボタンに手が届く位置」のように、可能な限り身長や腕の長さの影響を抑えるよう工夫したが、その精度が低かった可能性は否めない(例えば、踏み台は5cm単位の調節しかできない)。また頭部の動きが自由なため、網膜座標系でみた刺激提示に、対象者間で大きな差が生じていたと考えられる。これが、刺激検出課題において、事前の咀嚼運動の効果が検出できなかった一因であるとも考えられる。 今後、身長が同程度の対象者での検証、高さ5cm以下の踏み台の利用、対象者の頭部の動きを何らかの方法で制限する(検討中)、といった改善を考え検証を続ける予定である。
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