研究課題/領域番号 |
21K11505
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
数馬 広二 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 教授 (30204407)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 馬庭念流 / 江戸道場 / 念流正法兵法未来記 / 樋口家文書 / 友松偽庵 / 樋口頼次 / 寛政の改革 / 樋口定暠 / 松平定信 / 藤岡屋日記 / 念流兵法正法未来記 / 敵討ち / 養元論 / 盗妖騒動 / 樋口十郎兵衛 |
研究開始時の研究の概要 |
馬庭念流は、群馬県高崎市吉井町馬庭で16世紀末から現在まで450年以上続く剣術流派で、門人の9割は農村部の人々であったが、江戸幕府高家衆の新田家や大身の旗本近藤登之助、七日市藩主前田家などの士分も入門した。しかも「農民で馬庭念流宗家の樋口家」の13世・樋口将定(1665~1751)が1740年代には江戸に道場を開設し、幕末に至るまで数代にわたり100年以上、馬庭村道場とともに二元的道場経営を行った事例は珍しい。本研究では、上野国農村を拠点に普及した馬庭念流が、18世紀以降、江戸にあった出張道場とともに発展したことを明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究は「江戸時代上野国における馬庭念流剣術の発展と江戸道場の活動に関する研究」であり、馬庭念流剣術(念流兵法正法未来記)が江戸初期から幕末まで存続した要因を江戸道場の活動を含め明らかにすることである。また関東における在村剣術流派のうち江戸で道場を開いた流派は少なかったが馬庭念流が江戸で成功を収めた要因を考察する研究でもある。2021年度は天明の打ちこわし以降続いた、江戸市中の混乱を収める武力を旗本が強化すべきであることを示した寛政の改革と馬庭念流の江戸進出の関連性について調査した。2022年度は江戸在勤中にも念流の稽古をしたであろう彦根藩士と馬庭念流の江戸道場がつながる可能性について考察した。しかし彦根藩江戸屋敷での念流兵法正法未来記の稽古の実態解明については課題となっている。2023年度は研究代表者(私自身)の都合(親族の看病および逝去)により、調査にゆく機会が少なく、計画した研究の多くを実施できなかった。しかし「農民剣術」という語彙の明確化する必要があり、17世紀初期の樋口家文書を翻刻し考察を加えた。すなわち樋口定次が念流兵法正法未来記を継承後、馬庭村を出奔したため、弟樋口頼次が家を守ると共に念流兵法正法未来記も継承したのであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
親族の看病および逝去のために調査期間での調査ができず、当初の計画どおり進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は「江戸時代上野国における馬庭念流剣術の発展と江戸道場の活動に関する研究」である。馬庭念流剣術(念流兵法正法未来記)は中世末期に上野国で継承された剣術流派であり、本年度は「農民剣術」という語をより鮮明にするため、江戸初期、友松偽庵から樋口定次に念流兵法正法未来記が継承されて以降、弟樋口頼次が念流を継承する一方で、農民としての樋口家について記す文書の所在や、樋口頼次ー定久ー定勝ー定貫ー将定へつながる念流の継承の様子を調査したい。また江戸道場に関しては、樋口家文書や18世紀に目録を得た有力門人家の文書などに記述を探し、その記述を分析してみる。これにより「農民剣術」が存続できた要因を明らかにすることにもつながると考える。
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