研究課題/領域番号 |
21K11527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 流通経済大学 |
研究代表者 |
立川 和美 流通経済大学, 社会学部, 教授 (70418888)
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研究分担者 |
小粥 智浩 流通経済大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20358774)
稲垣 裕美 流通経済大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20433568)
小峯 力 中央大学, 理工学部, 教授 (60382826)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ライフセービング / コミュニケーション教育 / ライフセーバー育成 / コロナ禍 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ライフセービングのコミュニケーション活動を網羅的に調査・分析することで、、ライフセーバーが獲得すべきコミュニケーションスキルを理論的に解明する。特に、COVID-19の影響によってライフセーバーの活動内容が変化している現状に即し、今後の活動内容の充実を見据え、研究に当たる。 そして、これらをもとに、ライフセービング活動全般に応用可能なコミュニケーション能力の獲得に向けた実践的な教育プログラムを体系的に構築する。さらにこのプログラムを広く現場に普及させ、ライフセーバーの育成に貢献する。
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研究実績の概要 |
2023年度においては、当初の研究計画において2022年度に実施予定であった救命・防災活動及び教育活動のデータベース化・分析を継続させながら、2023年度に実施予定であったライフセーバー育成現場におけるコミュニケーション教育の体系化と教材開発の両面にわたる研究活動を進めた。 さらにライフセービング活動のコミュニケーションに関するヒアリングとアンケートについては、コロナ禍以降、国内での人的移動が活発になったことに加えて、社会的・経済的な要因から外国人観光客が増大していること、SDGsの浸透によりレスキュー活動のみならず救命啓蒙活動においても対象者の多様化が進んでいることに鑑み、迅速で正確な情報伝達に加えて、具体的な日本語運用の方策として、「やさしい日本語」の導入を取り上げた。 「やさしい日本語」は、阪神淡路大震災以降、災害時における在留外国人への情報伝達の方策として研究や実践が進められているが、言語学の領域にとどまらず、すでに医療や介護の現場で一定の成果が見られている。しかし、ライフセービングにおける実績は皆無の状況であり、本研究はその嚆矢と位置づけられるものと考えられる。そこで、実際の現場での高い応用性を見据えながら、ライフセーバーがすでに認識している「やさしい日本語」の現状を明らかにし、加えてそれを生かしつつより効果的なコミュニケーション活動につなげるための方策を洗い出したうえで、「やさしい日本語」の運用能力育成に向けた言語教育活動の実践も含め、多面的なアプローチをスタートさせた。 具体的には、大学生のライフセーバーに対して緊急放送の内容における「やさしい日本語」に関する言語的特性の理解に向けた取り組み(勉強会等)を行い、ライフセービングにおける「やさしい日本語」とは何かについて、意識を高める活動を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、研究の進捗状況はやや遅れている状況にある。その理由は、以下の通りである。 当初計画していた2023年度の研究内容については、前年度に積み残した2022年度分の研究とともに総合的に進めることによって、ライフセーバー育成現場におけるコミュニケーション教育の体系化に向けて、その方向性をある程度絞り込んでいくことができている。これについては、今年度以降もさらにその深化を図っていくとともに、現場での実践もふんだんに盛り込みながら展開していくことを予定している。 しかし、その一方で、前述のように、コロナ禍以後のドラスティックな社会状況の変化に伴い、当初予定していた研究成果をより高めるためには不可欠と判断される新たなテーマとして、ライフセービング活動における「やさしい日本語」の活用という課題が生まれた。これは前述のこれまでの研究活動を進めていく中で新たに提起された本研究独自のテーマである。この重要な課題を新たに盛り込むこととしたため、並行して行う研究活動の内容が増加し、そのために進捗状況として全体として若干の遅れが発生することになった。この新たなテーマはもちろん本研究の大きな目標の一部として位置づけられるものであり、今後、当初の研究予定から生まれた結果とあわせ、総合的により充実した成果を生み出せるよう研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に加えて、前述した新たな課題をも盛り込みながら研究を進めていく予定である。 本研究は、コロナ禍の中のスタートであったため、情報収集やデータ収集などの部分において、やむを得ず延期などを余儀なくさせられた関係から、部分的に作業の進捗が遅れてしまったが、当初の計画内容そのものについては、おおむね予定通りに進めることができている。 但し、コロナ禍以後の社会状況の大規模な変化により、本研究の目的達成に向けて、新しい重要な課題も見つかっており、加えて直近のライフセービング活動の現場での実態調査から、コミュニケーションの対象となる要救助者やゲストとしての外国人の増加、日本人の中でもこれまで以上の多様なコミュニケーションスタイルが認められるようになっている。これは単に日本語の言語技術のみで解決できるものにとどまらず、年齢や性差のほか、SDGsへの配慮も重要な要素として含まれる。そのため、新テーマである「やさしい日本語」の導入は、緊急性並びに応用性が極めて高いと考えられる。「やさしい日本語」はライフセーバーのコミュニケーション能力育成において不可欠な要素であることから、こちらについても、ライフセービング活動の現場でその運用や効果についてのデータを収集したうえで、早急に実際の教育活動につながる教材開発に着手する予定である。 加えて、近年心配される国内における災害に対して、ライフセーバーが果たすべき役割を踏まえながら、レスキュー技術と並んで重要性を増している対人コミュニケーションの方策について、さらに多面的に議論を進めていく。
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