研究課題/領域番号 |
21K11531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
青山 清英 日本大学, 文理学部, 教授 (20297758)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | コーチング学 / 教育の質保証 / 分野別参照基準 / スポーツ学 / 教育学 / スポーツ医科学 / スポーツの倫理・哲学 / 競技力論 / トレーニング論 / 試合論 / アスリートの準備 / ピリオダイゼーション理論 / 参照基準 / 指導者養成 / 学問論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的の達成のために、本研究では①日本と欧米(英語圏・ドイツ語圏・ロシア語圏)のスポーツ指導者養成プログラムの比較分析、②体育・スポーツ学、教育学、心理学における「教育の質保証における参照基準」の批判的検討、という二つの研究課題をまとめることによって、③「コーチング学における教育の質保証のための教育課程編成上の参照基準」を作成し、これを通したスポーツ指導者養成の改善のための社会貢献のあり方を検討する。
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研究実績の概要 |
2022年度は2021年度に取り組んだ、日本と欧米のスポーツ指導者プログラムの現状分析の結果をふまえて、体育・スポーツ学、教育学、心理学における「教育の質保証における参照基準」の理論面と実務者養成面からの批判的検討を行うことであった。まず、体育・スポーツ学における参照基準の検討を行ったところ、体育・スポーツ学とコーチング学には学問構造としてどちらも学際応用理論あるいは総合科学的な特徴を持つことが確認された。このような意味において、体育・スポーツ学とコーチング学は入れ子構造の関係になっているといえる。ドイツ語圏やロシア語圏を中心としたヨーロッパにおけるスポーツ科学の構造から考えれば、それは体育・スポーツ学がコーチング学を中核理論として、それに関連諸科学が関与する形式をとるのに対して、コーチング学は、パフォーマンス論、トレーニング論、試合論、マネジメント論を中核理論として、それに関連諸科学が関与するという形式をとる。したがって、体育・スポーツ学の参照基準とコーチング学の参照基準の関係については、この入れ子構造に関する関係性の検討が新たな課題として浮き彫りにされた。 次にコーチング学の「分野の定義・特性」という観点から、教育学におけるそれとの比較検討を行った。まず、教育学を形成する研究領域との比較では、「教育方法学」との親和性が確認された。とりわけ、教育方法学における研究対象としての「教育実践」及び研究方法としての「実践的アプローチ」(行為・活動・制度をより望ましい状態に変化させていくことを検討する)にコーチング学の実践性の重視という特徴が重なってくる。また、教育学全体との関係では、教育学固有の特性として示されている①人間と社会の可変性への関心、②研究アプローチの多様性、③教育学の再帰性、④他の諸科学との協働、といった視点が親和的であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は体育・スポーツ学、教育学における「教育の質保証における参照基準」の理論面と実務者養成面からの批判的検討を行った。そのなかで学問的特性をふまえたコーチング学と体育・スポーツ学、教育学の比較検討は順調に進んだと言えるが、教育学との比較で言えば、「実務者養成のための内容としての参照基準」の検討については、「教員養成」と「スポーツ指導者養成」の関係性の検討において十分な整理を行えなかった。それは、参照基準における「学の固有性」と「固有の能力」の関係性を科学論的な観点から十分に検討できなかったことに起因する。したがって、能力養成における自然科学と人間科学の意義について考察する必要がある。コーチング学と体育・スポーツ学、教育学の比較検討の内容については、青山清英ほか(2023)コーチング学における教育の質保証に関する学問論的課題、日本コーチング学会第34回大会、2023年2月28日、日本体育大学などを中心に発表を行った。 次にコーチング学と心理学との比較検討についてであるが、今年度は心理学の参照基準を熟読し、その作成意図を整理するにとどまった。特に、検討が必要となる公認心理士や臨床心理士資格取得のための教育内容と方法に関する検討が不十分であった。 以上のことをふまえて次年度の「コーチング学における教育の質保証のための教育課程編成上の参照基準」の作成を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本研究課題の最終年度となる。2021年度には日本と欧米のスポーツ指導者養成プログラムの現状分析を行い、2022年度にはコーチング学の「参照基準」作成のための体育・スポーツ学及び教育学における「教育の質保証のための教育課程編成上の参照基準」の分析を行った。これをふまえ、2023年度は2022年度に進められなかった心理学との比較検討を行い、過去2年間の研究成果をふまえ「コーチング学における教育の質保証のための教育課程編成上の参照基準」の作成を試みる。これまでの取組で新たな研究課題が生まれている。それは、前回の申請課題のテーマでもあった「測定スポーツのコーチング学」の体系化にも関わる課題である。現在、日本コーチング学会編『測定スポーツのコーチング学』(仮)の編集責任者として内容の取りまとめを行っているが、測定スポーツはその競技成績を時間と距離の測定結果によって決定するので、量化して把握できる知識内容と親和性が高い。したがって、コーチング学における教育の質保証といったことを考える際には、測定スポーツのコーチング学の学問的特異性をどのうように教育内容に反映するかという問題にが重要となる。つまり、測定スポーツの人間科学的な研究をどのように考慮するかという問題である。最終年度となる2023年度は、予定されていた計画と共に前回申請した研究課題との関連性をふまえて研究を進めていきたい。
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