研究課題/領域番号 |
21K11551
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
上野 耕平 香川大学, 教育学部, 教授 (20311087)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 体罰 / スポーツ指導者 / 不正のトライアングル / 犯罪機会論 / 環境心理学 / 暴言 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では「子どもを体罰から守るためにはどうすればいいのか?」を学術的「問い」とし,例え指導者が体罰を厭わない(子どものことを考えての体罰は許されると考える)人物であったとしても,そうした人物から子どもを守ることのできる環境,つまりは「体罰が行われにくい状況」を構成する要因について,スポーツ指導者を対象とした調査を通じて明らかにする。その上で,子どもを体罰から守るための具体的方略を提言する。
|
研究実績の概要 |
本研究は「子どもを体罰から守るためにはどうすればいいのか?」を学術的「問い」とし,例え指導者が体罰を厭わない(子どものことを考えての体罰は許されると考える)人物であったとしても,そうした人物から子どもを守ることのできる環境,つまりは「体罰が行われにくい状況」を解明することにより,子どもを体罰から守るための具体的方略を提言することを目的としていた。 研究1年目は,公認スポーツ指導者資格を有する指導者158名を対象とした調査の結果,指導者に対する「保護者からの期待」が,スポーツ指導者を体罰に駆り立てている可能性が窺われた。そこで研究2年目は,指導者が保護者を中心とする周囲から受けている期待・プレッシャーの内容について,公認スポーツ指導者資格を有する指導者136名を対象として調査を行った結果,「礼儀」の指導に対する保護者の期待が指導者による「威圧」を助長することを示す結果が得られた。ただし本結果は,指導者から得られたデータに基づく分析結果であることから,次年度は保護者を対象に調査を実施し,指導者に対して保護者が期待する内容を確認することにした。 そこで研究3年目は,小学生及び中学生の子どもをスポーツ活動に通わせている保護者362名を対象として,1)スポーツ指導に対する期待,2)体罰の容認度に関する質問に対する回答を求めた。分析の結果,1)保護者の多くは,勝利や成績を残すことに対する期待が比較的低いものの,体力・技術,挨拶・礼儀,努力・我慢,協力,楽しさ全ての側面の指導に対して高い期待を頂いている,2)小学生の保護者では,努力に対する期待が高い保護者ほど,中学生の保護者では,勝利を期待する保護者ほど体罰容認度が高くなることを示す結果が得られた。本研究の結果,保護者は多くの期待をスポーツ指導に寄せていると共に,一部の指導に対しては体罰を容認する可能性が認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍を経て対面による調査機会が減少するなかにあって,オンラインによる調査方法を選択することにより何とか調査は実施できた。当初の計画内容は十分にクリアできていることから,研究は順調に進んでいると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果から,体罰の実行や容認に結びつきやすい「指導に対する期待」が明らかになってきた。しかし,それらの期待がなぜ体罰の実行に結びつくのかについては推測に頼る部分が大きい。今後は,指導者を取り巻く環境に注目して調査を進める予定である。
|