研究課題/領域番号 |
21K11561
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
大上 安奈 東洋大学, 健康スポーツ科学部, 教授 (00550104)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 一酸化窒素 / 静脈貯留量 / 静脈還流量 / ビートルートジュース / 血管内皮機能 / 静脈血管伸展性 / 静脈血管平滑筋 / 血管拡張 |
研究開始時の研究の概要 |
一酸化窒素(NO)は血管平滑筋を弛緩させ血管を拡張させる働きを有する.内皮細胞由来のNO産生経路を介した従来の検討では,安静時の静脈血管応答はNOの調節を受けることが示されているものの,運動時におけるNOの役割までは明らかにされていない.近年,消化管に存在する細菌の働きにより,野菜に含まれる硝酸塩が,亜硝酸塩,NOの順で変換されることが示されており,この経路で生じるNO活性上昇も,血管応答の調節に関与する可能性が示唆されている.本研究では,この経路を用いて,運動時における静脈血管・血流応答の調節に対するNOの役割を明らかにすることを目的とする.
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研究実績の概要 |
運動時において心拍出量増大を維持するためには静脈還流の調節が重要となる.下肢運動時の下腿部静脈還流を評価する実験モデルとして,つま先足立ち運動を行なった時の下腿部容積の変化量を測定し,静脈側から心臓側に移動した血液量(静脈還流)を評価する方法がある.これは,運動に伴う骨格筋収縮が静脈血管を機械的に圧迫することで,静脈血管内の血液を心臓側に戻す筋ポンプ作用を利用した方法である.静脈容量が大きいほど,筋ポンプ作用による静脈還流が多いことから,最終年度は,硝酸塩摂取に伴う一酸化窒素(NO)活性上昇が静脈血管平滑筋を弛緩させるならば,静脈容量が増大し,それに付随して,つま先足立ち運動に伴う筋ポンプ作用による静脈還流も増大するという仮説を検討した.ビートルートジュースとコントロール飲料(プルーンジュース)を摂取する2条件を設定した.各飲料摂取2時間後に,仰臥位から立位姿勢への姿勢変化時およびそれに引き続くつま先足立ち運動時における右下腿部容積の変化を測定した.姿勢変化時の右下腿部容積増加量とつま先足立ち運動時の右下腿部容積低下量をそれぞれ,下肢静脈血液貯留量と静脈還流量として算出した.また,血漿中の硝酸イオン濃度を測定するために,本実験とは別の日に各飲料摂取2時間後に採血を行った.なお,各測定は1週間以上のウォッシュアウト期間を設け,ランダム順で実施した.本研究で得られた結果は以下のとおりである.ビートルートジュース摂取により血漿中の硝酸イオンは上昇したが,姿勢変化およびつま先足立ち運動時の下腿部容積変化は条件間で差は認められなかった.以上の結果から,健康な若年成人において,野菜由来の硝酸塩摂取は,硝酸イオン→亜硝酸イオン→NO経路を介して体内のNO活性を高めるが,姿勢変化時の下腿部静脈血液貯留量および筋ポンプ作用による静脈還流量は変化させないことが明らかとなった.
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