研究課題
基盤研究(C)
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)は生体に必須の補酵素であり、また体内のNAD量は老化によって減少することから、老化研究における重要な因子とされている。本研究は、老化に伴うNAD代謝の変化が腸管でのアミノ酸吸収能低下を介してサルコペニア発症に関わっているという仮説の検証を目的としている。また、NAD代謝を介したアミノ酸吸収制御機構を標的としたサルコペニアの新たな予防・治療法の開発を目指す。
サルコペニアは老化による骨格筋量の減少と筋力の低下によって定義される。筋機能の低下は骨折や寝たきりの原因になるほか、認知症の発症にも関わると考えられている。そのため、高齢化社会におけるサルコペニアの予防・治療戦略の確立は急務である。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)はすべての生物に必須の分子であり、生体内で多くの反応の補酵素として用いられる。また、近年NADは老化関連分子として注目されており、老化による体内NAD量の減少がさらなる老化の引き金になると考えられている。特に骨格筋ではNAD量の減少が顕著であり、加齢による骨格筋機能の低下との関連が示唆されている。そこで、本研究ではNAD代謝と骨格筋機能の関連について解析している。本研究では、NAD量の減少が骨格筋に与える影響について解析するため、サルコペニアのNAD合成酵素欠損マウスを解析している。本マウスでは野生型マウスと比較して骨格筋のNAD量が減少するほか、筋力や持久力といった骨格筋機能が低下する。このマウスにNAD前駆体であるニコチンアミドリボシド(NR)を長期間経口投与すると、骨格筋のNAD量が増加し、筋力や持久力が改善した。以上のことから、NAD量を補充することによる骨格筋機能の改善が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
NAD前駆体の投与による骨格筋機能の改善を確認し、筋機能の維持にNAD代謝が関与していることを明らかすることができた。
NAD代謝がどのようなメカニズムで筋機能の維持に関わっているかを検討する。
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