研究課題
基盤研究(C)
骨格筋の容量の制御には、食事や肝臓由来のアミノ酸、インスリンや脂肪組織からのアディポカインなどの関与が報告されている。高蛋白質食負荷とGCGKOでは血中アミノ酸濃度の増加が認められる。しかしながら、肝臓でのインスリン・グルカゴン作用や脂肪組織でのインスリン作用は、高蛋白質食負荷モデルとGCGKOでは異なることから、これら2つの血中アミノ酸濃度増加モデルにおいて骨格筋の形態や機能は異なるのではないかと考え、骨格筋に及ぼす影響を明らかとすることとした。
グルカゴンは、肝臓でのアミノ酸代謝によるグルコース産生に重要な役割を果たしている。アミノ酸は筋肉合成に寄与しているが、筋肉にはグルカゴン受容体は発現していない。高蛋白質食負荷マウスとグルカゴン欠損(GCGKO)マウスの2種類の血中アミノ酸濃度上昇モデルマウスを使用して筋肉の解析を行った。通常食を負荷したマウスと比較して1週間高蛋白質食を負荷したマウスでは、摂食量の低下により脂肪重量、骨格筋重量の低下を来したため、骨格筋繊維の縮小化を認めた。高蛋白質食負荷マウスでは、グルカゴン分泌が促進し、肝臓でのアミノ酸代謝が亢進したため、分岐鎖アミノ酸以外の血中アミノ酸濃度の上昇は起こらなかった。一方、GCGKOマウスは対照マウスと比較して、肝臓内のアミノ酸代謝障害のためすべての血中アミノ酸濃度の上昇が起き、脂肪重量は変わらなかったが骨格筋・肝臓など除脂肪重量の増加がみられた。GCGKOマウスの前脛骨筋では、対照マウスと比較して筋肥大がおき、遅筋優位のⅡa型繊維の割合が減少し、速筋優位のⅡb型繊維の割合が増加し、握力は増加傾向であった。また、IGF1-Aktシグナルの亢進がみられた。これらのことから、血中アミノ酸濃度上昇は筋合成促進と中間筋の速筋化を引き起こすが、蛋白質を豊富に含む食事はグルカゴン分泌亢進による肝臓でのアミノ酸代謝促進作用により血中分岐鎖アミノ酸濃度上昇を起こすにとどまり、筋肉への影響は少ないと考えられる。
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