研究課題
基盤研究(C)
骨格筋の容量の制御には、食事や肝臓由来のアミノ酸、インスリンや脂肪組織からのアディポカインなどの関与が報告されている。高蛋白質食負荷とGCGKOでは血中アミノ酸濃度の増加が認められる。しかしながら、肝臓でのインスリン・グルカゴン作用や脂肪組織でのインスリン作用は、高蛋白質食負荷モデルとGCGKOでは異なることから、これら2つの血中アミノ酸濃度増加モデルにおいて骨格筋の形態や機能は異なるのではないかと考え、骨格筋に及ぼす影響を明らかとすることとした。
本年度はグルカゴン欠損マウス(GCGKO)と対照マウスの比較を行った。GCGKOでは対照マウスと比較して下記の特徴があることを明らかにした。1. 脂肪組織重量は変わらないが、肝臓や骨格筋重量が重い。2. CTにて脂肪組織が少ない傾向にある。3.握力が強いが、トレッドミル負荷検査による運動耐性能が低下している。さらに骨格筋(前脛骨筋)の形態解析を行った。筋肉ラミニン染色における筋繊維のヒストグラム解析では、GCGKOでは対照マウスと比較して筋繊維の大型化を認めた。GCGKOでは対照マウスと比較して、typeⅡa繊維数の減少とtypeⅡb繊維数の増加を認めた。また、C57/BL6マウスを用いてグルカゴン受容体の発現の検討をPCR法を用いて行った。グルカゴン受容体は、肝臓で高発現しており、白色脂肪組織や褐色脂肪組織でも発現を認めたが骨格筋においては発現が認められなかった。すなわちGCGKOで認められた骨格筋の表現型はグルカゴンの直接作用ではなく、間接作用であると考えられた。
3: やや遅れている
進捗の遅延の要因としては、骨格筋のメタボローム解析の条件設定に時間を費やしたことがあげられる。
1.GCGKOと対称マウスの骨格筋の遺伝子発現、メタボローム解析を行う。2.野生型マウスにグルカゴン中和抗体を投与して肝臓・骨格筋の解析を行う。3.高蛋白質食負荷マウスと通常食負荷マウス、GCGKOと対照マウスの肝臓のRNAseq解析により筋肉に影響を与えるへパトカインの探索を行う。
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