研究課題/領域番号 |
21K11618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中嶌 岳郎 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (30581011)
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研究分担者 |
田中 直樹 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80419374)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | スルファチド / 老化 / 硫酸化糖脂質 / 老化促進モデルマウス |
研究開始時の研究の概要 |
脳に特徴的にみられる脂質スルファチドは、正常な神経活動に必須であり、アルツハイマー病の超早期に減少することが知られている。本研究では、老化促進モデルマウスを用いて、①脳内スルファチドの減少は脳の老化に関連するか、②スルファチド産生を促す食事由来成分は脳の老化を予防できるか、について検証する。本実験から、脳の老化に関する新しいメカニズムを見出し、早期実行可能な認知症の予防法開発に繋げることを目指す。
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研究実績の概要 |
脳に特徴的にみられる脂質スルファチドは、正常な神経活動に必須であり、アルツハイマー病の超早期に減少することが知られている。本研究では、老化促進モデルマウスを用いて、①脳内スルファチドの減少は脳の老化に関連するか、②スルファチド産生を促す食事由来成分は脳の老化を予防できるか、について検証する。本研究では、これらの実験を行うことにより、脳の老化に関する新しいメカニズムを明らかにし、早期に実行可能な認知症の予防法の開発に繋げることを目指している。 これまでに、スルファチド産生を促す低分子化合物・食品由来成分を数種類、細胞を用いた実験から見いだした。これらの化合物はスルファチド合成系酵素を遺伝子発現レベルで誘導することを確認し、その作用に関連する候補分子とおおよその作用メカニズムを特定した。これらの化合物のうち最も強い作用がみられた化合物Aについて、マウスへの投与を行い、in vivoでスルファチド産生促進作用がみられるかを検討したところ、化合物Aを低濃度・長期間投与した場合に、脳内のスルファチド含量が増加することを確認した。化合物Aは生体内で産生されるため、その産生を抑える処置をマウスに施したところ、一部の臓器ではスルファチド産生が低下することが示唆された。また、このマウスに化合物Aを投与したところ、低下したスルファチド産生が回復することが分かった。このことから、化合物Aは生体内のスルファチド産生を維持する生理作用をもつことが新たに示唆された。また、研究分担者の協力のもと、老化促進マウスの長期飼育サンプルの解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
配置換等に伴い本研究以外の業務が増えたため。また、スルファチド分析に使用している本学共用施設のMALDI-TOFMS装置にトラブルが生じ、装置の様子をみながらの運用となっているため。本装置に関しては買い替えの目途はたっておらず、これまでのスルファチド分析法の代替法の検討を進めている。これらの影響から、実験計画は当初予定したよりも遅れたため、補助期間延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
老化促進マウスと同系統コントロールマウスの脳サンプルを用いた解析を引き続き行い、加齢に伴い脳内のスルファチド含量は減少するのか、それは脳内のどの領域でみられるのか、また、スルファチドの分子種組成に変化はあるか、などについて検討する。また、細胞実験から見いだされたスルファチド産生を促進する化合物Aを老化促進マウスへ投与する実験を行い、脳内スルファチド量は増加するか、老化抑制作用はみられるか、加齢病変の出現は抑えられるか、認知機能の低下は抑えられるか、などについて調査を行う。加えて、老化個体の血清サンプルを用いてスルファチド分析を行い、脳の老化を反映しうる血清スルファチド分子種を探索する。
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