研究課題/領域番号 |
21K11619
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
兼村 信宏 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50456498)
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研究分担者 |
二宮 空暢 岐阜大学, 医学部, 招へい教員 (90444281)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | サルコペニア / 造血器腫瘍 / 骨髄異形成症候群 / CONUT / トリプトファン / IDO / アミノ酸代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
癌患者におけるアミノ酸代謝の変化が骨格筋に与える影響に着目し、サルコぺニア治療法の臨床開発の基盤となる研究を行うことが目的である。具体的には、造血器腫瘍患者の臨床検体を用いて血中アミノ酸を網羅的に解析し、CT画像から測定する骨格筋量との関係性を検討する。また、筋芽細胞やマウスを用いて特定のアミノ酸の変化が骨格筋に与える影響を明らかにするとともに、アミノ酸異常の改善により骨格筋萎縮を回復させることが可能かどうかを調べる。癌細胞のアミノ酸代謝に着目することで、サルコぺニアの発症予防、治療法の開発および癌患者の予後改善を目指す。
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研究実績の概要 |
造血器悪性腫瘍とサルコペニアの関連に関して、骨髄異形成症候群(MDS)における治療前のサルコペニアの状態が予後に相関するか検討した。53例のMDS患者に関して、azacytidine投与前に筋肉量を測定した。治療前のCT画像を用いて、第3腰椎レベルでの筋面積 (腹筋、大腰筋、傍脊柱筋)を身長で2回割った骨格筋指数を用いて筋肉量を評価した。男性で42cm2/m2、女性で38cm2/m2未満をサルコペニアと定義した。男性41例、女性12例、年齢中央値69歳(17-82歳)で検討した結果、27例がサルコペニアを有していた。Azacytidine治療後の生存期間中央値、奏功率、さらに非血液学的有害事象に関しては、サルコペニアの有無で差を認めなかった。しかし、貧血や血小板減少といった血液学的な有害事象に関してはサルコペニア合併例で有意に増加していた。 MDS患者における azacytidine治療において、サルコペニア合併例では血液学的毒性への注意が必要と考えられた。上記の結果を論文として、投稿し受理された。 一方、びまん性大細胞型Bリンパ腫患者(DLBCL)において、化学療法前の栄養状態が予後に及ぼす影響に関して検討した。末梢血中のリンパ球 数、コレステロール値、アルブミン値によって規定されるcontrolling nutritional status (CONUT) scoreを203名の65歳以上の高齢患者を対象に検討した。 CONUTスコアが3点以上(すなわち栄養不良)の症例には、有意に化学療法後の生存が低下することが判明した。これは、国際的な予後予測因子であるIPIに影響を受けることなく独立した予後予測因子であった。本研究成果も論文として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床データも用いた筋肉量や栄養状態と造血器腫瘍との予後との相関に関しては、順調に解析が進行しており、論文報告に至った。一方、基礎実験としては、当初計画していたアミノ酸欠乏培地を用いた骨格筋芽細胞(C2C12 myoblast cell)細胞増殖実験をXTTアッセイを用いて行った。また、分化培地を用いてC2C12細 胞の筋管形成実験を行い、筋細胞への分化、増殖にあたえる影響を検討し、その結果を報告した(Ninomiya et al. Nutrients 2020)。マウス実験でも、トリプト ファン欠乏食は有意に筋細胞の萎縮をきたし、通常食で萎縮した筋細胞の回復が得られることを確認した。今後は、担癌マウスでのアミノ酸とサルコペニアについて検討する予定であるが、まだ予定通りに進んでいない。実験内容は、SCIDマウスにRaji細胞(バーキッドリンパ腫)を投与し悪性リンパ腫モデルを作製する。このモデルを使い、餌中のアミノ酸を増加させることで、骨格筋の低下の予防や回復ができるかどうかを調ベる。さらに、その変化が生存率に影響を与える かどうか検討する。
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今後の研究の推進方策 |
栄養状態の一つの指標である CONUTスコアが固形がんなどの予後予測因子になり得ることが提唱されているが、我々はperipheral T-cell lymphoma (PTCL)においてもCONUTスコアが予後予測 因子となることを報告した(Nakamura et al. Leukemia & Lymphoma 2021)。今回、高齢のDLBCL患者においても同様の結果が得られた(Kaneda et al. Leukemia & Lymphoma 2023)。今後はCONUTスコアなどの 栄養指標とサルコペニアを組み合わせて、造血器悪性腫瘍の新たな予後予測因子の開発に取り組む。特に高齢化が進む中、フレイルな患者割合がさらに増加することが予想され、frailtyの評価指標としてサルコペニアやCONUTを組み込んで評価する方法の開発が必要と考える。 また、基礎実験を通して、栄養不良状態やサルコペニアにある患者に対する栄養療法が予後改善につながるか検討するための基礎資料収集に努める。
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